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異世界灯台守の日々 (連載版)  作者: くりゅ~ぐ
第2章 バハラと追憶と彼方

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第88話 シド・アンブレラ


姉から送られた荷を再確認したがやはり無かった


まぁ、ある訳無いか もし送ったなら手紙に書いてあるだろうし、一応 別添えの手紙もあるかもと思ったが当然無かった。


味噌や醤油はまだ出来て無かったんだな。


ちょっと期待して居たんだがなぁ‥‥


送るなら多分 次ぐらいかな?


まぁそれも上手い事 出来上がれば何だが‥‥


頼むから全滅は勘弁してくれよ、少しで良いから出来上がって欲しい物だよ。


このハルータで仕込んだ分は期待出来ないんだ、勿論無事に出来上がって欲しい、だが恐らく無理な気がする。


醤油、そして味噌も節約して使わないといけないな、気にせず使いたい物だ。


手紙をもう一度見た。


シドの奴、俺が飛ばされてここに赴任するって聞いて無茶苦茶怒ってたからなぁ。


『心配だから俺も行く』

って言って俺達を困らせやがった。


まぁ気持ちは嬉しいが俺も良い歳なんだし、自分の身位は守れる、大体シドより俺の方が強いんだ。


『それに孫達はどうするんだ?』って言って宥めたが


決め手は甥や姪達の『シドじいも居なくなるの?』

だったな、まぁ自分の孫達の事を言われて言葉に詰まってたし、甥や姪の悲しそうな顔を見て黙り込みやがった。


別にシド一人位、俺が給金を払って側に置く位は余裕で出来る。


俺の持ってる利権や、お商売の上がりはかなりの物だ。


それに加えて特級官吏としての給料もある。


まぁ帝都で働いてた時に比べればかなり給料は下がったが、それでもかなりの金額を貰ってるし、普通の勤め人に比べれば、いや、比べるのも馬鹿らしい程貰って居る。


シド一人処か十人居ても余裕で雇える。


だがこの歳になって迄、子守りされるのは流石にどうかと思う。


まぁシドが居れば楽しいだろうと思うが‥‥


お互い気心も知れてるし、楽ってのもある。


だがなぁ‥‥


シドも心配し過ぎだ、もうじじい何だから孫と共にこれからの時間を過ごすべきだ。


二十年 一緒に居たんだ、正確にいえば二十一年か、

まぁそりゃ心配だろうな。


シドは元々荷運びの仕事をして居た、

だが勤めて居た商会が潰れ職を無くした。


歳も歳だし、中々次の仕事が見付からず困って居た時に、我が家が出した募集に応募して来た。


後に聞いた話によると、四十も越えて居たし、流石に無理だろうと思って居たそうだ。


まぁ力には自信が合ったし、荷運びの仕事で雇って貰おうと思い来たそうだ。


我が家は護衛として人を募集したが、割と応募人が面接には集まった。


最初の給金は月に金貨三枚で、昇給も有り、休暇も月に五日ありで募集した。


帝都の庶民が大体ではあるが、月に金貨二枚前後であるのでまぁまぁの条件では合った。


仕事は護衛ではあるが、要するに子守りであるのだから、そう考えれば中々の雇用条件であったと思う。


シドは、若く見栄えの良い奴が選ばれると思っており、自分の様な年寄りで厳つい顔の者が選ばれるとは思って無かったと後に語った。


シドの顔はオーガより厳つく、初対面の子供には間違い無く怯えられ泣かれると自覚しており、まさか自分が選ばれるとはと、しかも俺がシドの顔を興味深そうにマジマジと見て来て、しかも驚きも泣きもしなかった事に驚いたそうだ。


まぁシドが一番身体にブレが無かったし、何より護衛として考えた場合、シドの厳つさとゴツさは他に代えがたい、ある意味能力と言って良い程の物だった。


俺がシドに何か武術をやって居たのか聞いたが、

シドは何もやって無かったと言った。


だが何故か身体にブレが無かったし、

例えるなら身体に一本ビシッと線が走ってるんだ。


身体にブレが無いと言うのは動きに直結する。


シドは武術の類いを一切やって無かったのに、

何故か身体にブレが一切無かった。


しかも全身筋肉に覆われており、

最初に見た時は何らかの武を修めてると思った。


初見で、そして話をして、もう俺の中ではシド一択だった、コイツ以外考えられない程、気に入った。


他の面接者は今回ご縁が無かったと言ったが、

皆納得して居た。


まぁ護衛にするには最適の見た目の奴だからな。


姉妹の護衛は後日選ぶと言う事で、結局シドのみ採用した。


シドを連れて歩く様になってから基本絡まれたり、

アホが寄ってくる事は無く、安全が増した。


まぁそれでも拐おうとした奴等も居たが、シドがあっという間に倒し、いや違うな、叩き潰した。


俺もシドを隠れ蓑にし、誘拐しようとした奴等やアホにお仕置きしたりした。


シドにはその度にご褒美として小遣いを渡したが、

仕事だからと中々受け取らず、毎回渡すのに苦労した。


渡す金額も多すぎるとゴネて返して来る奴だ。


まぁその分、休み前の最後の夜に小遣いだって言って、銀貨五枚渡してたが‥‥


それは喜んで受け取ってたんだよなぁ‥‥


それからはシドの喜ぶ顔が見たくて、毎回休み前の最後の夜に小遣いを渡すのが習慣になった。


本当嬉しそうに笑うし、無茶苦茶喜ぶから、その顔が見たくて渡して居た。


後は年二回ボーナスとして、金貨二枚づつ年に計四枚渡して居たが、最初の契約外の金だから受け取らないかと思ったが、引く位に大喜びで受け取ってた。


シドからしたら襲ってきた奴等は、護衛の仕事として撃退するのは当たり前の事だから受け取れないし、受け取らないが、小遣いやボーナスは別らしい。


五日間働き、次の日が休みになる最後の夜に貰う小遣いは特に嬉しいらしく、本当に毎回大喜びだった。


年にしたら金貨十五枚になる。


結構な金額だ、とは言えシドに限って無いと思うが、余りケチって他の者に金で転ばれても困る。


まぁシドに限って買収される事は無いだろうが、

念の為でもあるし実際シドは良くやってくれてた。


それに渡してた金は俺のポケットマネーだ、

誰にも文句は言わせ無い。


両親も理由を説明したら納得して居たし問題無い。


シドは年に金貨五十九枚の収入がある事になる。


帝都の庶民が年に平均金貨二十五枚前後だから、

倍以上の収入がある事になる。


かなりの高収入だ、それに加えて給料は少しずつアップさせて行ったので、最終的には月に金貨五枚、年に金貨六十枚迄上がった。


それに加えてボーナスも年二回、五枚づつ渡して居たので年に合計で、金貨七十枚迄アップして居る。


更に小遣いも含めれば年に金貨八十五枚になる。


まぁ俺が飛ばされて小遣いは渡せなくなったが、

金貨二百枚を退職金の前渡しだと言って渡した。


シドはまだまだ元気だが、俺の赴任が何時までかは分からんから渡したが、万が一の事がある。


シドが生きている内に、シドとはもう二度と会えるか分からない。


歳が歳だ、どうなるか分からん。


それに下手をしなくても、俺は官吏を辞めない限り二度と帝都には戻れ無い可能性も高い。


まぁだからだろうな、シドも分かってるんだ。


もう俺とは自分が生きて居る内に二度と会えないかも知れないと‥‥


だから付いて来ようとしたんだろうな‥‥


シドにしたら俺は恩人らしい。


拾い上げてくれた上、気前良く給料を弾んでくれて、大事にしてくれて、本当に良くしてくれたし家族みたいに扱ってくれた。



シドが言うには、俺と出会って人生も捨てたもんじゃ無いと思ったそうだ。


人生の前半はろくなもんじゃ無かったが、終わりがこれなら悪くない。


そう言って何時も笑って居た。


シドは結婚するのが遅く、三十五の時にやっと結婚出来た。


学校を卒業してから苦労の連続で、正直腐りかけた事も何度も合ったらしい。


だがシドはギリギリで踏み止まり、腐らず生きて来た。


シドは時々、これは夢何じゃ無いか?


実は夢で、目が覚めたら又クソみたいな日々が、

人生が待ってるんじゃ無いか?


夢なら覚めずに一生夢を見て居たい、

覚めること無く、幸せな夢見て死んで行きたい、

いや、生きたい、そう思って居るそうだ。


結婚出来て子にも恵まれ、良い雇い主にも出会えた。


孫も出来て、家族も増えた、

生活の為の金も心配事しなくても良い。


それ処か人様よりも良い生活も出来る。


蓄えだってたっぷり出来た。


人生は案外悪く無い、もしこれが夢で無いのなら、

俺は何て幸せなんだ、生きてて良かった。


心からそう思える人生だった。


シドは嬉しそうに、少し照れ臭そうに俺に言って居た。


赴任前の最後の夜に俺と酒を飲みながら、

泣きながら言ってやがった。


良いじじいが、いや、年取って涙脆くなったから、

シドは俺にそう言って居た‥‥


サリバン商会のオーガと言われて居たシドのあの姿を思い出す。


仕方無い奴だな‥‥

まぁ来月辺りに手紙とハチミツや何かを送ろうと思って居たが、先に手紙だけでも出すか。


仕方無い奴だな・・・




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