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異世界灯台守の日々 (連載版)  作者: くりゅ~ぐ
第2章 バハラと追憶と彼方

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第83話 数十年培ったもの


女の泣き声がする


女は泣くと言うより、鳴き声と言っていい程に泣いて居る


但し女は老婆である。


その老婆が獣の様に泣いて居る。


「こらババアいい加減に離せ! あっ! だから鼻水を擦り付けるな、えーい! 抱き付くな!」


「守長守長守長守長~~~ じいさんが~~」


「ちょっ! 何て馬鹿力だよこのババア! おいテッサばあさん、医者が来たから、先生にじいさんを診て貰うから、だから離せ」


「じいさんが~」


このババア話を聞いて無いじゃ無いか。


くっそー 流石にこの状況で、しかも年寄りに手荒な事は出来ない、とは言えこのままでは服が鼻水まみれになってしまう、あっ! (よだれ)が!


「ババアいい加減にしろ! お医者さんが来たと言ってるだろう! てか鼻水と涎を服に擦り付けるな、おい聞け」


「じいさんが~ じいさんが~ じいさんが~」


駄目だ聞いちゃー居ねー どうする?


「先生、こっちは大丈夫じゃ無いけど大丈夫だから、そのじいさんを診て貰えますか?」


「えっええ、そうします‥‥」


先生引いてますよね? てか俺も引いてます、ドン引きです。


「おいテッサばあさん、とりあえず、まず離せ、話はそれからだ」


「守長何とかしとくれよ・・・」


俺が何とかして欲しいよ、先生がじいさんを診察してるから大丈夫だと思うが、俺は大丈夫では無い。


アンナを呼んでばあさんにカンチョーでもさせて、ばあさんを正気に戻させるか?


カレンに貸しが19も有るんだ、一つ位使っても問題は無い。


だがこの状態でカンチョー食らったら、ばあさんがショック死しかね無い。


問題しか無いじゃ無いか、てか本当にいい加減離せよな、あっ! 又鼻水が!


くっそー コレばあさん離すのに時間が掛かりそうだな、ふざけんな! このババア話を聞けよな。


何で俺がこんな目に合わなければならない?


あー 涎が! 関節を捻ったら折れかねん。


いやちょっと待て、肘のツボを押すか?


小海ならば痛いが、寧ろ健康には良い事だ。


まぁかなり痛いんだがな、ついでに言うと痺れて 手に力も入らなくなる。


一番良いのは肘の骨を叩く事だが、折れたらヤバい、うん小海を押そう、そうしよう。


冷水を、0度に近い冷水を掛けても良い、どうせ魔法で乾燥させれる、だが暑い季節とは言えそんな冷たい水を掛ければ万が一の事が無いとも言えない。


心臓が止まったりしたら大変だからな。


うん、小海を押すのが一番だ、但し無茶苦茶痛いが仕方無いな。


「おい、テッサばあさん離さない『守長~ じいさんを助けておくれ~』‥‥と」


何でこんなにパニくってるんだ?


まだ生きてるだろうが! 意識もしっかりしてるんだぞ、頼むよ本当‥‥


「こらばあさん話を聞け! えーい、離せ、放せ、離せ、放せー!」


この場合は離せでも放せでも良いんだろうが、俺的には離して欲しい、物理的に距離を取って欲しいし、取りたい。


本当俺ってこんな時にどうでも良い下らん事を考えるよな、悪い癖だよ‥‥ あっ!


「こらババア! 本当いい加減にしろ、服が鼻水まみれじゃないか! おい! 離さないと健康には無茶苦茶良いが、物凄~く痛いツボを押すぞ、俺はやると言ったらやるぞ」


まぁどうせテッサばあさんは聞いてないだろうが、周りに居る村民は聞いている。


そう、俺はばあさんにでは無く、周りの奴等に言って居るんだ、これで俺は悪者にはならないだろう。


正に官吏的対応 極まれりだな。


「おいテッサばあさん、健康には良いからな、だが少し(・・)痛いぞ」


うん、全く聞いてないな、まぁ良いだろう‥‥


「守長~ じいさんが死んじまう~ じ‥‥ 痛たたた! 痛ったー! し 死ぬーー!」


死にゃーしないわ、まぁ‥‥ 死ぬ程痛いだろうがな、健康には良いんだ、大丈夫 大丈夫!


「心配するな、ちょっと痛いがこれは身体に良いツボだ、てか正気に戻ったかばあさん?」


「守長 守長 大丈夫だから、戻ったから~~」


やっとかよ、てか服が凄い事になったな‥‥


どうしょう‥‥


クリーンで完全に綺麗になるが、気分的にかなり嫌なんだが‥‥


捨てちゃおうかな?


「守長酷いじゃないのさ、女の扱いが成って無いんじゃないかい?」


「うっせーなババア、話を聞かず、俺に抱き付き、更に俺の服を鼻水と涎でベタベタにしやがって、どっちが酷いんだよ、てか落ち着いたか? 医者も来たしもう大丈夫だから安心しろ」


俺の言葉にばあさんがハッとした顔をしたが、目が、瞳孔が開いて明らかに目がイッちゃってたのでとりあえず落ち着かせた。


「だからテッサばあさん落ち着け、騒いだら余計にじいさんが悪くなる、お医者様が、先生が来て今診て貰ってるから」


「でもじいさんが‥‥」


「心配するな、あのお医者さんは経験豊富な人だ、軍医として長い間勤めてきた人だからな、安心しろ! 大丈夫だ、それより先生がじいさんの持病だとか、倒れる直前の事とかを聞いてくると思うから、さぁじいさんの所に行くぞ ばあさん」



先生がじいさんを診て居るが、表情は厳しい、ばあさんは先生にじいさんの持病だとか直前の事を説明したが、先生は時折首を傾げて居る。


「なぁ守長、何回清浄魔法掛けてんだよ? 俺にはすっげえ綺麗に見えるんだが‥‥」


「うっせーな、まだ十回位しか掛けてねーよ、てか気分的に嫌なんだよ、クソ! あのばあさん鼻水と涎でべっちゃべちゃにしやがってからに!」


「いや、守長言ってる事は分かるが、しかしマジで守長の魔力すげえよな、普通はそんな使え無いのに‥‥ 底無しの魔力だな」


「おうブライアン、羨ましいか?」


「うん、素直に羨ましいな」


とは言え使えるのは生活魔法だけだが、便利だから不満は無い、特にクリーンは本当に役に立つ。


「サリバン卿、宜しいでしょうか?」


「先生何か問題が?」


先生の顔が険しい、何か不味い事でもあったか?


「奥方、私はサリバン卿と話があるので少し離れますね」


「えっ? 奥方ってアタシかね?」


ババア以外に誰が居るんだよ、まぁこの辺りで奥方何てお上品な言い方する奴は居ないから分から無かったか。


「ばあさんの事だよ、奥方ってのは」


「あれま、そりゃーまた」


ばあさん何、照れてんだよ‥‥


~~~


「サリバン卿、あの御老人ですが何故あの様な状態なのか原因が分かりません、薬師殿とも話しましたがどの様な症例にも当たりません」


「先生もしかしてじいさんはもう長く無いのかな? 不治の‥‥」


「あー そうではありません、命に関わると言う訳ではありません、今の所でありますが、ただこの状態が続くと身体が衰弱します、ですが今すぐと言う訳でもありません」


「原因不明の病か‥‥」


「残念ながらそうです、ただ分からないのが薬の投与で状態が一切改善されない事です、どの様な症状であっても改善されるはずなのですが‥‥」


てか手術でしか治らないんじゃ無いのか?


盲腸なら散らせる事が出来る、この世界では投薬によって盲腸を散らす事が出来るから盲腸ではない。


盲腸なら先生やアリーばあ様も分かるはずだ、二人が見誤る事は流石に無い。


大体じいさんは頭が痛いとも言って居るんだ、症状的にも違うな。


そうだな、素人の俺ですら分かる事だ二人が分から無い可能性は限りなく0だな。


医者でも薬師でも無い俺が分かるとは思えんが、色々な角度から見て、その上で分かる事もあるかも知れない。


とりあえずじいさんを見てみるか‥‥



「うーー頭が‥‥ ばあさんワシはもう駄目だ‥‥ 長い間 一緒に過ごしたがここまでみたいだ‥‥」


「じいさんしっかり! 気を確かに! バハラの偉いお医者さんが見てくれてるんだから大丈夫だよ」


うわー 何か盛り上がってんなぁ‥‥


てか最後の雰囲気ぷんぷん漂わせてるけど、命に今すぐ関わる訳じゃ無いんだけどなぁ‥‥


「おいマシューじいさん、身体はどうだ?」


「守長‥‥ 頭が割れる様だ‥‥ 耳の奥から脳ミソ突っつかれてるみたいに痛いんじゃ‥‥ ワシはもう駄目だ‥‥」


「じいさんしっかり! アタシが付いてるよ!」


本当、何か恋人同士の最後の別れみたいだな。


うん、夫婦だもんな、何十年も共に過ごして時を過ごして来たんだもんな。


共に数十年、二人で培った時間があるんだよな。


まぁ盛り上がってる所悪いがな。


てか今すぐ死なねーよ、大丈夫だ。


「耳の穴に針を刺されたみたいに頭が痛い‥‥」


「じいさん、耳かい? 耳は大丈夫だよ、何時も通りだから! 気をしっかり持って!」


耳なぁ‥‥


ん? アレ? 今の見間違いか?


「おいテッサばあさん、一応聞くが、マシューじいさんは最後に耳掻きしたのは何年位前だ?」


「えっ? ん‥‥ 何年‥‥ 何年‥‥」


「おいちょっと待て、覚えて無い位、何年も前なのか?」


「細かい年月は覚えて無いけど、多分30年位前に一回見た様な気が‥‥」


「ちょっと待て、ちょっと待て! ばあさん、今30年と言ったか?」


「うん、言ったね」


言ったねじゃねーよ、マジか? えっ、嘘だろ?


じゃあさっきのは見間違いじゃ無いのか?


「おい、じいさんちょっと耳を見せてみろ」


「守長、何で?」


「良いから見せろじいさん」


見たくないが、じいさんの髪を掻き分け耳を見た。


「うげー! 何じゃこりゃーーー!」


うっわー マジかよ‥‥

さっきのは見間違いじゃ無かったのかよ‥‥


うっわ‥‥ 引くわ‥‥


「先生! アリーばあ様! 多分原因が分かった、二人共来てくれ」


うわ、うわ、きったねー マジかよ‥‥


「サリバン卿、原因が分かったとおっしゃいましたか?」


「守長、原因って何が分かったのかね?」


俺だって分かりたく無かったわ‥‥


コレ(・・)を見てくれ」


「守長何だね?」


アリーばあ様は分からんか‥‥


「サリバン卿もしかしてコレ(・・)が原因なのですか?」


「ああ先生、数十年培って、いや、放置してきた耳糞が貯まって 耳垢栓塞(じこうせんそく)になってる、恐らく原因はコレだな」


うっわ、マジできたねーな‥‥


勘弁してくれよな‥‥


まぁ治す手伝いはしてやるか、嫌だけど。

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