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異世界灯台守の日々 (連載版)  作者: くりゅ~ぐ
第2章 バハラと追憶と彼方

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第82話 貸し19個


つい最近聞いた声が聞こえてくる


かなりデカイ声だ、離れて居るのに聞こえて来る


声が近付いて来たが逃げたら駄目だろうか?


「守長!」


「守長は留守です」


「何言ってんだよ、普通 目の前で居留守使うか?」


「うっせーな‥‥ ちよっとした可愛い冗談だろ、マジになんなや、チンピラ顔のくせしやがって真面目かお前?」


「か 顔は関係無いだろ‥‥ ヒッ!」


何コイツはビビってんだよ? ちょっとお手てをワキワキさせただけじゃないか。


「で? どうした? 俺は今から昼食後のコーヒーを飲むとゆー とても大事な仕事があるんだが」


「守長頼むから、いや、お願いですから手をワキワキさせないで下さい」


はぁ~ 心配しなくてもお前のお粗末なモン何か掴まねーよ、てか何をコイツは慌ててんだ?


「おいブライアン、俺の所に来た理由は? てか何をそんなに慌ててる? もしかしてアンナの奴が又暴れて手が付けられ無いとかか?」


「今日は違うよ」


うん、今日は、ね。


まぁ別に良いんだけど、アンナが暴れても怪我を覚悟すればコイツらでも抑えられるだろうし、いちいちそんな事で訪ねては来ないだろうしな。


「で? 何の用だ?」


「ああ実は‥‥‥‥」


ブライアンの話によると、早めの昼飯を食って外で駄弁って居たら、近くに住むマシューじいさんがいきなり倒れたらしい。


と言ってもバタッっとでは無く、フラ~っと倒れたそうだ。


最初は立ち眩みかと思ったらしいが、マシューじいさんが呻き声を上げて苦しみ出したらしい。


近くに居た奴等が集まって来たらしいが、

ブライアンもじいさんの所に行き、その呻き声を聞いた。


何でも、耳鳴りが~ とか頭が~ とか言いながら唸って居たそうだ。


その内に心臓辺りも痛くなり始め、これはいかんとなりアリーばあ様を呼びに行った。


だが薬を飲ませても全く収まる事無く、呻き声を上げて苦しみ、アリーばあ様も困ったらしい。


薬を飲んですぐに良くなるとは言わないが、症状が全く収まらないと言うのは流石におかしい、薬で多少なりともマシになるはずだ。


それなのにマシューじいさんは変わらず苦しみ、唸って居た。


アリーばあ様も薬師として長年の経験と、その経験に裏打ちされた実力と実績もある、そのアリーばあ様が原因が分からんと首を傾げたらしい。


そしてマシューじいさんの嫁のテッサ婆さんがパニックに陥り、どうにかしてくれ、無理じゃ無い 頼むからと アリーばあ様に言ったらしい。


だがアリーばあ様も原因が分からず、程々困ったそうだ。


そしてテッサ婆さんはある事に気付いたらしい。


『守長に見て貰おう、守長は偉い官吏だし、頭も良いし、物知りだし、帝都で働いて居たからきっと分かるに違いない、そうだ守長なら何とかしてくれる』


いやいやいや、何だよ俺に対するその熱い信頼は?


てかアリーばあ様では無いが、官吏だからって何でも出来る訳では無いぞ。


「おいブライアン お前に言っても仕方無いが、官吏だからと言って何でも出来る訳では無いぞ、俺は薬師でも無いし、ましてや医者でも無いんだ」


「分かってるよ守長、俺達もテッサばあさんにそう言ったんだ、無茶言うなってな、でもテッサばあさんが泣き叫んで 『家のじいさんが死んじまうー 守長を呼んで来てくれー じいさんを助けてくれー!』って言って 俺達の話を聞きやしないんだよ、そんで俺達も困ってしまって、とりあえず守長に来て貰おうって話しになったんだ、その~ 悪いんだけど来て直接テッサばあさんに言ってくれないかな?」


「お前なぁ‥‥ そんな状態の奴がちゃんと話を聞くと思うか? どうせ何を言っても助けてくれとしか言わないと思うぞ、まぁ行くけどな・・・」


俺は医者じゃ無いんだぞ、官吏を何だと思ってんだ? 俺は未来から来た青タヌキかよ!


くっそー、今日は昼飯食うのが何時もより遅かったから、まだコーヒーを飲んで無いんだ。


俺の大切な癒しの時間なのに‥‥


まぁ行くけど、行くんだけど、何なんだかなぁ‥‥


つーか俺が行っても出来る事何て無いと思うんだが、まぁテッサばあさんを落ち着かせる位は出来るか。


医者じゃ無い俺にはその位しか・・・


ん? ん? ん~~~?


「おいブライアン!」


「あっあっあ な 何で俺の股間を握るんだ? てか い 何時の間にこんな ちか 近くに・・・」


「お前は舐めてんのか~~?」


「な 何で? 何で? 何でだよーーー?」


コイツはマジか?


マジで分かってやがら無いのか?


「お前だけじゃ無い、村の奴等は誰一人気が付かなかったのか?」


「あっあっあっあ、何が? 何が? 何がなんですかーー?」


「お前なぁ、医者は居るだろうが! バハラから軍人と官吏だけで無く、軍医(・・)も衛生兵も一緒に来ただろうが! お前らの目は節穴か? それともガラス玉か何かか? なぁ? つーか脳みそニワトリか? なぁ?」


「えっえっえっ? そ そ そう言えば‥‥」


コイツ‥‥


てか軍医に診て貰いたいから、俺に許可を取って貰いたいなら分かる。


それなのにコイツは、いや、コイツ等は‥‥


人が大勢居て誰一人気が付かなかったのかよ!


医者なら居るだろうが!


その事をブライアンでも分かる様に優しく強く(・・)教えてあげた。


「守長、緩めて、緩めて下さい、話は分かりましたから‥‥ お願いします‥‥」


「しゃーなしだぞ、つーかお前らもっと頭を使え、特にブライアン、お前周りを良く見て、頭も使わないとセレサを口説き落とす事何て出来ないぞ」


「分かってるよ‥‥ なぁ守長、頼むから股座(またぐら)掴むのは勘弁してくれよ‥‥ マジでその内潰れちまう」


「俺だってお前のお粗末なモン何ざ掴みたく無いわ、てか簡単に掴まれるお前が悪い」


「無茶苦茶だな‥‥ つーか何時の間にあんな近くに来たんだよ? 全く気が付かなかったんだが?」


「あぁ? あんなん鍛えたら誰でも出来るわ」


「いや無理だろ‥‥」


気配を消してスッと近付けば簡単に出来る。


まぁ気配を消すのが案外難しいし、俺は縮地を使ったが、俺の縮地なんか(つたな)い部類だ。


まぁ一応は使えるだけマシ何だがな。


「ホレ、行くぞ」


「えっ? 何処に?」


コイツ何時まで呆けてるんだ?


「お前‥‥ 突っ込み待ちか? 軍医殿んトコに決まってるだろ、いい加減にしないと俺の本気の本気合いのカンチョー喰らわすぞ!」


「ちょっ守長待ってくれ! カンチョーは村じゃ禁止何だぞ!」


「バカめ! 俺は村長、いや、カレンに貸しが19個有るんだ、だから大丈夫だ!」


「貸しが又増えてるじゃ無いか! 村長の奴又やらかしたのかよ!」


「何時もの事だ、さて・・・」


「すいません すいません すいません!」


コイツは何を勘違いして居るんだ?


てかやらねーよ、ブライアンの汚ねー ケツに何かしたくねーよ、冗談の分からん奴だな。


「ホレ、さっさと軍医殿の所に行くぞ、それとも本当にカンチョーして欲しいのか?」


「えっ? アレ? いや、勘弁して欲しいです」


何を驚いて居るんだ? まさかコイツ期待してたとかじゃ無いよな?


まぁ良いだろう、何時までも遊んで居られ無い、さっさと行くか。



~~~


「先生ちょっと良いかな? 実は‥‥‥‥‥‥」




「なる程、分かりました行きましょう、ですがウェリントン殿に話を通しておかなければいけません」


「勿論です、先生 ここに居る兵を伝令に出したいのですが良いですか?」



「ええ、ナット話を聞いて居たね? 行ってくれるかな」


「はっ、復唱します! ・・・・・・・・・・」



さて、許可自体は出るだろうがマシューじいさんは何の病気何だ?


まぁそれも行ってみないと分からんか。


~~~


小物君からの許可は出た。


まぁ断る理由も無いし、暇だから当たり前だな。


先生と衛生兵が二人、村に行く事になった。


村までの道程で先生と少し話したが、まさかこんなに暇だとは思わなかったと愚痴を溢された。


まぁこちらに来てから カジラを診ただけだ、

暇なのは仕方無い。


医者が忙しい状況と言うのは、あまり良い状況では無いと言う事だ、だから暇なのは良い事だと言う様な話を先生とした。


先生は「確かに」 何て言って笑って居た。


話しながらだったからか割と早く村に着いた気がした。


マシューじいさんが倒れて居る所に着くと、村民が集まって居たが、かなり人が多い。


てかコイツらは暇人か? 野次馬根性丸出しだな‥‥


「おい! 守長達が来たぞ! 皆道を開けてくれ」


ブライアンのデカイ声に皆がサッと道を開ける。


皆さんビビってますけどコイツはさっき、股間を掴まれて半泣きになってたんですよ。


だからそんなビビら無くても大丈夫ですよ。


何ならコイツは涙目になってたし、意外と気が小さい奴、ヘタレですから。



「守長~ 家の、家のじいさんが~ 守長~」


「うおい! コラ抱き付くなテッサばあさん! とりあえず少し落ち着け、て、おい! 鼻水が服に付くだろ、離れろ!」


このばあさん何て素早い動きだよ、普段腰が痛いだの手足の関節が痛いだの言ってるクセ、なんちゅー 動きだよ。


「て、おい! 離せよ、ちょっ 何でこんな馬鹿力何だ? 鼻水付くから離れろ!」


「じいさんが~ じいさんが~ じいさんが~」


分かったし分かってるわ。


あー! 鼻水付いただろ、このババア身体強化の魔法でも使ってるのか?


いやまぁ そんな魔法は無いけど、とりあえず落ち着かせなければ。


「おい! 鼻水を服に擦り付けるな、ちょっマジで、とりあえず落ち着けババア!」


もう、何で俺はばあさんに抱き付かれて、挙げ句 鼻水を付けられなければいけない?



もうもうもう!


俺は本当に帝国一 可哀想な官吏さんだよ‥‥





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