第8話 口約束は死んでも守られなければならない
カモメが鳴いている
俺も泣きそうだ‥‥
とゆうかなきたい‥‥
「守長どうした 顔色が悪いが飲みすぎか?」
灯台守の一人、アレクサンドルのじい様が
心配そうに声を掛けてきた。
「いや・・・ 大丈夫だ」
「そうか? まぁ大丈夫ならいいが」
じい様は首を傾げ俺の執務室から出て行った。
「ハァー‥‥」
マデリン嬢‥‥
今年17歳だったな‥‥
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
~ネイサン様!
~行かないで下さいマデリンはマデリンは‥‥
~ならマデリンも帝都に連れて行って下さい
~嫌ですマデリンもネイサン様と帝都に行きます
~お父様 マデリンはいつかお嫁に行きます
~ほんの少しだけ早くなっただけです!
~我が儘ではありません
~大丈夫ですマデリンはお菓子も作れます
~今はまだ少ししか作れませんが料理も覚えます
~嫌です ネイサン様はマデリンの事お嫌いですか?
~本当ですか? マデリンと両思いですね
~ならいつならマデリンをお嫁さんにしてくれ
~るのですか?
~本当に 本当ですか?
~指切り?‥‥
~ゆーびきーりげんまんうーそつーいたーら
~はーりせんぼんのーます!
~ゆーびきった!
~ネイサン様針千本はお腹いっぱいになって
~飲めませんから100本でイイですわ
~ネイサン様お顔がすぐれないようですが?
~ネイサン様 マデリンはマデリンは
~素敵なレデイになって待ってますわ
~ネイサン様・・・
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~
あーーー!
もう!
何て俺はバカなんだ!
何故俺は安易にあんな約束をしたんだ!
時が戻るのなら‥‥
もっと違うやり方があったはずだ
女は幾つになっても女
女は生まれながらにして女
そうだよな、7歳とは言え女なんだ
安易に約束した俺が悪い
とは言えなぁ‥‥
思えば 去年こっちに赴任して来た時から
ある意味問題があった。
マデリン嬢と言うよりポートマン家とだ、
そして原因は俺にある、言い訳になるのだが‥‥
こっちに赴任‥‥
飛ばされる時、問題が色々山積みであった。
まぁ簡単に言うと忙し過ぎた、
帝都では、違うな、帝国全土では、
派閥争い後の総決算が行われていた。
その前年、今から二年前陛下がお隠れになった。
派閥争いが起きたのは
陛下がお隠れになる前からだ。
まぁ、派閥争いなんてのは
どんな国どんな組織でもある。
違いがあるとすればその規模でしかない。
人間何てそれこそ二人居れば規模はともかく
派閥争いは起こる。
帝国は巨大だ、
そんな巨大な組織の派閥争いとなると
苛烈以外の言葉が見つからない位に
凄まじい争いとなる。
事の問題はその派閥争いに陛下の孫、
皇孫が直接係わっていた事だ。
先帝陛下の孫、つまり皇孫だが、皇太子でもある。
そして次の皇位継承順位1位でもある、
本来なら父が皇位継承するはずであったのだが
流行り病でお隠れになられた。
ついでに言うと直系の孫であったが長男では無く、
四男であった、長男、始め次男、三男と兄三人が父親である皇太子とともにお隠れになられた。
お隠れになられた原因は
皇太子殿下と同じ、流行り病である。
本来であれば帝位を継ぐはずで無いお人が、
継承順位が自分より上の方達が消え、
突如、継承順位1位となり次期皇帝に選ばれた。
当然後ろ楯と言えるような物は無く、
それこそ帝国の運営に多少の支障をきたすのでは無いかと言われていた。
だがここが帝国足る所以だ、
上が混乱しようとも優秀な官吏達が、
帝国自体の混乱を許さない。
当時の噂では新しい継承順位1位の皇太孫は、
自分が帝位についた場合多少、
混乱するのでは?と言われた事に
誇りを傷つけられたと激怒したとされている。
だが新しい後継者は愚かでは無かった。
後ろ楯が無いのなら後ろ楯を新たに得ればいいと
考えたのだ、屈辱であっただろう、
自分の資質に疑問を持たれ まるで自分が居なくても
官吏達が居れば帝国は揺るがぬと言う現実を、
しかし官吏達が居なければ帝国の運営等出来ない事も分かっていた。
だが納得も行かない、そして実権を握っている今の官吏共が果たして自分の力になるのか?
自分に忠誠を誓うのか?
なれば簡単だ、
冷や飯を食わされて居る官吏達を使えばいいと
。
そして派閥争いは帝国史上有数の熾烈な争いとなる。
まぁ俺に言わせれば
官吏達は確かに皇帝に忠誠を誓っているが
それ以上に帝国そのものに忠誠を誓っている。
所詮皇帝もこの帝国を回す歯車の1つなのだから。
新しい後継者、次期皇帝は猜疑心が少々強すぎた、
お陰様で俺迄巻き添えを食ってしまった。
因みに俺はその時、
只ただお仕事に精を出して居ただけだ。
それ以外にも色々あったが俺は我関せずで
楽しいお仕事をしていた訳だが‥‥
とは言え今にして思うと余りにも周りに関心が無さ過ぎた。
そう考えれば自業自得だな。
まぁそんなこんなで俺はマデリン嬢、
そしてポートマン家に連絡を忘れた。
手紙を出せばそれだけで良かったんだ。
だが其れすらも忘れる程振り回されていた。
そのせいである悲劇に見舞われる事となる。
バハラに着いてポートマン家を訪ねると一家は、
旅行に出掛けて居たのだ。
しかも俺が到着する二日前にだ、
人はそれを入れ違いと言う‥‥
バハラには到着後三日間滞在したが当然、
ポートマン家は帰って来なかった。
当然その件ではマデリン嬢に手紙で叱られた。
バハラでは派閥争いの影響で知人等も入れ替わりによって大分居なくなっていた。
上級を始め下級官吏ですら移動した者は多かった。
ただの作業員等は引退した人間以外、殆んどいたが居たが当然皆年を取っていた。
体がガタが来ただの、病気がだの、孫や子がだの、
最近は~ だの 色々話しが出来て良かった。
俺も顔が疲れた顔してるとか、
結婚はまだかとか立派になったとかも言われた。
大灯台では久々にクリーンを掛け、昔からの知り合いはやっぱ楽だ何て言われたりもした。
初めて見る奴はビックリしてて
大灯台に初めて来た時の事を思い出したりして、
少しおセンチな気持ちになったりもした。
いかんな! 現実逃避だな‥‥
マデリン嬢の事どうしよ‥‥