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異世界灯台守の日々 (連載版)  作者: くりゅ~ぐ
第1章 ある灯台守の日々
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第7話 マデリン・ポートマンからの手紙

拝啓


この時節の日差しが照らす日々

ネイサン様は、如何お過ごしでしょうか?


御変わり有りませぬでしょうか?


バハラに於いては

例年に無い暑気に辟易としております

人々はまだまだ続く焼けるような日差しに

例年に無い等と挨拶代わりに言葉を交わし


季節替わりを日々楽しみにしております


季節替わりを待つ様は

まるで祭りを待つ幼子の如く言葉を交わし

その一時だけでも暑気を忘れ笑い合い

(わたくし)も思わず笑みを浮かべてしまいます


ネイサン様に於いてはどうお過ごしでありますか?


そちらは随分過ごしやすいとお聞きしております


かの地と呼ぶには仰々しいですが

(わたくし)にとってはそうであります


帝都に比べれば距離等 無きに等しいですが

気軽に行く事の叶わぬ此の身には

遥か彼方の手に届かぬ楽園であります



ですが後少しで楽園は手に届きます

後少し もう少しと 正に一日千秋の想いにて

(わたくし)は日々過ごしております


父の許しが出たあの日を(わたくし)は生涯忘れ無いでしょう


ネイサン様に一目お逢い致しますだけなのに

只ただ其れだけであるのに

父は何故お許しをされ無いのか

本当に理解出来ませんでした


お許しが出ないのであれば

いっそ自らの足にて地を踏みしめ

駆け出してしまおうかとも思いました


ネイサン様の元へ只ただ一目だけでも

その想いを胸に父を説得し許しが出た時は

正に天にも昇る気持ちになりました


嗚呼世界はこんなにも美しいのだと

人生は斯くも素晴らしいものだと改めて知りました


ネイサン様は覚えて御出でしょうか?

最後に御逢いした四年前の事を

あの時も御逢い致しましたのも久方ぶりでした


ネイサン様が帝都へお帰り為さるあの日

(わたくし)と交わした約束

其れを無かった事にしようとされました事

(わたくし)忘れておりませぬから


人は其れを気付かぬ振りとも言います

まぁ今は良いでしょう今は

ネイサン様に御逢い出来るのですから


ですがネイサン様1つだけ言いたい事がございます


たとえネイサン様が無かった事にされましても

(わたくし)は今でも覚えております


何故ならその想いを忘れる事は(わたくし)にとって

死にも等しい事でありこの世から光が失われる

其れ以上の事であります


ネイサン様も商人の子であるなら

交わした約束は何よりも神聖なモノであれ

交わした約束を違える(たがえる)事は死よりも重い

その事を知らない等 お戯れは仰いませんよう



ネイサン サリバン様へ


マデリン ポートマンより



追伸


お逢いする日を楽しみにしております



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