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異世界灯台守の日々 (連載版)  作者: くりゅ~ぐ
第1章 ある灯台守の日々

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第60話 醤油


水滴が頬を湿らせた


曇り空から雨に移り変わろうとしている様だ


雨粒はまだ小さい、そのため頬を濡らすのでは無く、湿らせただけであったのだろう。


バハラから来た連絡要員を見送りに船着き場まで来た帰りで良かった。


灯台に帰り着く迄は雨も本降りにはならないはずだ、さっさと帰ろう。


対応5はやはり継続だった。


連絡要員には現状を伝えたがそいつに権限がある訳では無い、その為一度バハラに持ち帰り、こちらの要望を伝えると言う話しになった。


まぁ予想通りなので落胆等は無い、ただやはりかと言う軽い諦めがあるだけだ。


俺自身は別に苦では無い、何時もの仕事に少し手間が加わるだけの事でしかない。


だが村民の事を思うとさっさと日常に戻すべきだ。


とは言え俺には終了させる権限は無い、要望を伝える事しか出来ない。


今の状況を考えると、俺は左遷されたんだと言う事を嫌になる位に実感させられる。



灯台に帰り付いて執務室に入ると雨が降り始めて来た。


どうやら俺は丁度良いタイミングで帰れたらしい。



こんな日は大灯台からの景色は綺麗なんだよな。


晴れ渡った時の景色が美しいのは勿論だが、雨の日の景色は雰囲気があるんだ、バハラの市街が雨に彩られて何とも言えない幻想的な雰囲気がある。


大灯台の篝火は地上から150mの位置にあるが、そこから見る景色は正に絶景だ、そしてバハラ市街も又、絶景なんだよなぁ・・・


久々に見たいな。


まぁ無理何だがな、幾ら街道が整備されたとは言え、ここからバハラ迄、片道半日は掛かるんだ。


船ならもっと早いがそれでも1日がかりだ、しかも俺の場合は船を持って無いから、便乗させて貰うか、チャーターしなきゃならない。


便乗ならバハラ滞在の時間が制限されるし。


チャーターなら金は兎も角、時間があると分かれば、長居して何やかんやで結局泊まりになるだろうからな。


泊まりなら、前もって申請しとなかいといけない。


まぁさっさと帰ってくれば良いんだろうが‥‥


大体さっと行って帰るのは無理だ。


絶対 泊まっていけってなる。


手紙にもお泊まり前提だったし、まぁ俺も折角行くんなら泊まりで行きたいってのもある。


近いが遠いそれがバハラだ。



バハラに行ったら会わねばならない人間が多いと言うのが一番の問題なんだよな。


友人知人が多いから結構時間が掛かる。


秋‥‥ いや、冬くらいになるかな、バハラ行きは。


マデリン嬢が来てそれからか。


今回の件が無ければ遅くとも秋には行けたが、最悪冬になるかも知れない。


クランツじいさんに手紙を書いて聞かねばならんな、その返事によって変わってくるだろう。



まぁじいさんの仕事に影響は無い可能性は高いが、バハラは混乱してるだろうしな。


全ては今回の件が落ち着いてからになる。


「・・・」


いかんなぁ‥‥


そんなのとっくに考えて想定して居る事なのに又考えてしまった。


この件だけじゃ無い、前世の事も何度も思い出すし、考えてしまう。


挙げ句、夢まで見てしまう始末だ。


最近どうもおかしい、自分でもそう思うよ。


この地に来て一年、落ち着いて、その上 暇だからかどうも何度も同じ事を考えてしまう様になった。


人間ヒマだとろくな事を考えないってのを身を持って知ってしまったよ。


コレが終われば何か気晴らしにやろう。


泊まり掛けの休暇は簡単には取れないが、この村に居る限り通常の休暇は取れるからな。


一日休みなら久々に素潜りでもするか、牡蠣やサザエを採りに行っても良いな、タコも食いたいしな。


素潜り漁良いな・・・


灯りを使えば割と簡単に見付かるし、幾らでも獲れるし、うん、伊勢海老やロブスターも食いたい。


そうだな、やるか。


味付けは醤油で決まりだな、ただ残り少ないんだよなぁ・・・


醤油もそうだが、味噌たまりも貴重品だ。


味噌こそ三割も成功するが、醤油など100作って1出来るか出来ないかしか成功しない。


今までの最高記録は平均100樽分仕込んで4樽分成功したのが最高だ。


てか全滅も割とあるんだよなぁ・・・


あの幻の平均4樽成功の次に仕込んだ分は全滅だった。


一年仕込み、二年仕込み、三年仕込みも全て成功率は低い、その為 醤油は無茶苦茶高価になってしまう。


親や姉妹からはネイサンの道楽と言われたもんだ。


自分の金で作ってたのに、酷い言われ様である。


その割に我が家族は醤油が大好きなんだよなぁ‥‥


まぁ醤油は基本的に売りには出さない、毎年安定して生産出来ないからだ。


基本的に家族用として、それと従業員に振る舞う為と、贈答用にしていた。


味噌はある程度安定して出来る様にはなったが、それでも七割は失敗している、だが作り始めを思えば、三割も成功する様にはなっている。


それに味噌は醤油たまり、まぁたまり醤油が出来る、とは言えたまり醤油もそんなに量は取れないので売りには出していない。


味噌は売りには出しているが無茶苦茶 高価格になってしまっている。


それでも飛ぶ様に売れてんだよなぁ・・・


年々仕込みを増やしてはいたが生産が追い付かなかった位だ。


大豆、麦、米、そしてそれらを混合して作った調合味噌も大量に仕込んだがどうしても成功率三割の壁が越えられ無い。


あれだけの高額で販売し、全て売れても利益なんてありゃしない、良くてトントン、大体が赤字だ。


まぁ従業員の雇用、給料の支払い分はどうにかなってる、勿論俺の持ち出し分が大きいんだが‥‥


もう少し安定して生産出来ればなぁ‥‥


醤油なんて販売したとしても赤字確定だし、

唯一あの幻の100樽平均4樽成功した時に一度売りに出したがあの時も飛ぶ様に売れて驚いたもんだよ。


但しそれまでの失敗した分を含めたら大赤字だった訳だが‥‥


成功した場所、やり方を踏襲(とうしゅう)しても次の分は失敗何てのは当たり前で、少しづつやり方を変え、試行錯誤しながらやっても成功率は劇的に上がったりはしない。


何時かは、そう思い将来への投資と考え資金を投入してきたが、まだまだ時間が掛かりそうだ。


そう考えたら確かに道楽だよな、金をアホみたいに突っ込んで、採算が取れる迄どれだけの時間と金が掛かるか分からないんだから。


誰だよ、異世界に行ったら醤油や味噌で大儲け出来る何て言った奴は。


それ以前の問題として安定して生産すら出来ないし、完成すらしないじゃないか。


麹はちゃんと作れてる、それでもちゃんと出来上がる率が異常に低い、作り方は完璧に覚えていた。


何がいけないのか分からないから、試行錯誤しながら、未だに手探りで作っているが本当、何時になったら安定して作れる様になるんだろうか?


商業化何てまだまだ先の話しだな。


とは言えやり続けないと生産量の増大もそうだが、安定した生産量の確保も出来ない。


投資して継続し続け、技術と経験を積み重ね続けないと生産量の不安定化はこれからも続く。


物を一から作るのは金が掛かる、それに時間もだ、小説の様に簡単には出来ない。


魔法で簡単に、人の手で作っても簡単に作れる何て所詮は創作物上の話なんだよな。


道場に居た中学生の子らが異世界に行ったら味噌や醤油作って大儲けって簡単に言ってたが現実は厳しいよ。



この村に来てから、正確に言えば今年の1月に仕込んだ味噌や醤油も冬になるまでに完成するか分かる、まぁ失敗する可能性が非常に大きいが、出来れば一樽分づつでも成功して欲しいもんだ。


醤油は兎も角、味噌はいけそうな気がするんだ。


まぁこれは所詮は希望的観測なんだが‥‥


それでも上手い事行ったら行ったら良いんだが。


まぁ実家から送って貰うから今回失敗しても 味噌も醤油も又手に入るが、送って貰うにしても時間が掛かるんだ・・・


それにもしこの村で作れるならもっと気軽に使える様になる。


今はどうしても節約しながら ちょこちょことしか使えない。


ある程度の量は送ってくれるが残量を気にせず使いたい、そう、前世の様に。


まぁあるだけマシなんだが、人間の欲望には際限が無いと言う事だろう。



ん? 何か微かに怒鳴り声が聞こえて来たな。


村民達が居る建物の方からか、トラブルかな?


少し様子を見に行くか





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