第45話 大天使ジゼル
夕飯の前に村に行ってみる事にした
別に何かあったと言う訳では無い
何となく行ってみようと思った
それに一応村の状態を見に行ってみようとも思ったからだ。
まぁカレンが居るから問題は無いだろうが一応の確認と、気分転換がてら行ってみようと思った。
「なぁ守長 何か兄貴が変なんだ、いゃまぁたまに変になる時はあるがなーんか何時もより更に変なんだよ」
「どう言う風に変なんだ?」
俺は1人では無い、モリソン弟と一緒に来て居る
マーラに村に行ってくると言ったら連れて行けと言われたからだ、何かあったらコイツを伝令に走らせて知らせろと言う事らしい。
「何て言うのかな、何かキザっぽいと言うか 妙に女どもに馴れ馴れしいと言うか、勘違いしてると言うか、自分がモテると思い込んでるキザな勘違い男みたいな、そんな感じなんだ」
うん、君良く見ているよね、正にその通りだ。
あのアホはモーション掛けまくって悉く失敗してフラれてる、ついでに言うと女達に笑われて居る。
「まぁアイツ普段はしっかりしてるけど、たまにやらかすだろ? そのやらかしが偶々 今なんだろ」
「ハァ‥‥ ため息しか出ないよ、兄貴も時と場合を考えて欲しいもんだよ・・・」
うん、その通りだ、ただ奴の場合はやる事はきっちりやってるってとこだな、だから俺はその点は何も言わない。
まぁ・・・
アホな事をしてはいるが ふざけてる訳でも無いし、一応は真剣に‥‥ 真剣に地がお馬鹿なだけだ。
「まぁモリソン弟よ、兄貴はほっとけ、あれは治らん」
「弟って‥‥ 俺の名前は・・・ まぁいいけど、 てかほっといたら兄貴が恥かくだろ?」
「でも本人は幸せそうだぞ、大体今言っても聞きゃーしねーよ、暫くほおっておけ」
「うーん・・・」
まぁ実際言っても聞かないだろうしな
暫くそっとしとけばその内収まるだろうさ。
「そう言えば守長、レモンの木が折れて呆然としてたみたいだけど大丈夫か?」
ん?・・・
「おいちょっと待て、俺はその事をじい様達以外に誰にも言って無いのに 何で知ってるんだ?」
いや、別に良いんだよ、ただ灯台守のじい様達がいちいち口軽く、ペラペラ周りに言ったりしないから、誰に聞いたか少し気になっただけだから。
「えっ? 守長気付いて無かったのか? 皆見てたぞ、珍しく守長が呆然としてたから結構噂になってるんだが・・・」
「おいおいおい 全く気が付か無かったぞ」
いかんなぁ‥‥
周りにもっと気を配らないと、この村に来てから気を抜きすぎているな。
本当に気を付けよう。
目は口ほどに物を言う、人の視線には敏感になっておかねばならない、そして常に見せ方見られ方は意識しておかないと、同じ事をしていても印象がガラリと変わるからな。
それに、自分に対する敵意や悪意をいち早く察知出来る様にもなるし、逆に好意そして善意も把握する事が出来る、例えば自分自身の立場が悪くなった時など 誰が味方か敵かが良く分かるのだから。
前世でもある程度敏感だったが、今世では特に敏感になった、まぁ正確に言えば官吏になってからより敏感になったし、周りに気を付ける様になった。
周りの視線と言うのは自分自身の立場や立ち位置を測る重用なレーダーみたいなもんだ。
まぁ、実際周りで起こって居た派閥争いを我関せずと放置して全く気を配らず、関心を持たなかったせいで飛ばされた訳なんだが・・・
「守長どうしたんだ? いきなり黙りだして? まぁ木は残念だったが 村には他にレモンの木はあるんだ、そんなに落ち込むなよ」
うん、全く違う事を考えて居ただけなんだけどな、まぁ別にいちいち言うつもりも無いけど。
村の方も結構落ち着いて居た。
まぁ2日目だし、大した事も起きて無いからこんなもんかな。
と言うか村長は相変わらずだ、カレンに丸投げだった、本当コイツいるのか?
カレンが言う事をほぼ無条件で承認してるだけだ。
「村長も相変わらずだな、カレンの言う事をただただ承認するだけの置物になってるぞ」
「何言ってんだよ守長、そんなの今更だろ、村長はカレンおばちゃんの言葉を伝える為のからくり人形なんだから」
うん、俺が言うのも何だけど コイツも大概酷いな。
「あら守長どうしたの?」
「ちょっと見に来ただけだよ、何も問題無さそうだなカレン」
「そうだね何も問題は無いよ 大丈夫」
「この調子で頼むぞ、ついでに村長もな」
俺の言葉にカレンが笑う。
「大丈夫、慣れてるから」
毎回思うがそれはそれでどうなんだ?
てかこれでカレンは村長にベタ惚れ何だよなぁ‥‥
何でも 『私が居ないと駄目な人だから』だったか?
カレンは完全にダメ男製造マシーンだよな‥‥
たまに居るよなこういう奴。
確か村長も昔は今よりちょっとはマシだったらしいし、ある意味カレンのせいでもあるな。
まぁ1番悪いのは、カレンに依存している村長なんだけど。
村長の家から出て村の中を歩いている途中ある事に気付いた。
「あっ! そう言えば村長に声掛けるの完全に忘れてた」
「本当だ守長、声掛けて無いや」
モリソン弟と少しの間、無言で見つめ合った。
「まぁ別に良いか、カレンには声掛けたし」
「だよな守長、問題無いよな」
うん、モリソン弟の言う通りだ、全く問題無い。
二人で妙に納得して居たそんな時だった、声を掛けられたのは。
「あの‥‥ 守長‥‥」
「どうしたジゼル」
「その‥‥ 妹が守長に又、迷惑掛けて無いかと思って‥‥ 」
「心配するなジゼル、ちゃんと迷惑も余計な手間も何時も通り掛けてるから」
俺の軽口にジゼルが困った様な顔をして居る。
本当、真面目だよなコイツ、あの問題児と大違いだよ、毎度思うが実は血が繋がって無いんじゃ無いかと思ってしまう。
「いや、ちょっとした軽口だから あんま真面目に受け取るな、まぁ何時もの事だ気にすんな」
「すいません守長、何時も妹が‥‥」
「良いよ、ジゼルのせいじゃ無いし、完全にアンナが悪い、気にするな」
ジゼルがアンナの姉だ何て本当、信じられないよ。
ジゼルはアンナと真逆だ。
前世で言うなら、何時も図書館で本を読んで居そうなタイプだ、いわゆる図書委員タイプとでも言えばいいのだろうか?
これでメガネを掛けてたら完璧だ。
アンナと違い大人しくて、控えめで思慮深いし
優しさと思いやりに満ち溢れている。
間違っても ヤカラ満開の物言い等しないし、
暴力を振るう事も、暴言を吐く事も無い。
アンナが悪魔ならジゼルは天使だ。
10歳とは思えない程 落ち着いて居るし
アンナと違い、可愛らしい顔をしているし
えっ? アンナ? 比べるのも烏滸がましいな。
奴は自称だが、ジゼルは他称だ。
因みにあだ名は大天使だ、妹がアレだから対義語と言う意味で言われてるらしい。
まぁ何と言うかこれで後+10歳であれば‥‥
残念だな、ジゼルは将来間違いなく美人になるだろう、だが現在は10歳の少女だ。
うん、流石に守備範囲から外れて居る。
「あの‥‥」
「どうした?」
「今の状態が落ち着いたら又、本を貸して欲しいんですけど‥‥ 良いですか?」
「おう、良いぞ、何時でも来てくれ ジゼルなら何時でも構わんよ」
ジゼルも本が好き何だよなぁ、そう言う意味では話が合う、ジゼルとは結構 本の話をするんだが、内容をちゃんと理解して その上で、自分なりの解釈何かもして 二人で良く話すが、中々に面白いんだ。
ジゼルからすると、本なんかこの村にはほとんど無いし、本の話をする相手が今まで居なかったそうだ。
俺が来てからは本の話しも出来るし、俺から色々な本も借りれて 凄く嬉しい様だ。
まぁこっちに来る時にある程度は持って来たし、行商人に注文して新しい本を買ったりしたから、結構な数の本がある。
まぁ 最初はアンナとの関わりの中でジゼルとも知り合った訳だが、ジゼル位の歳の子と話が合うとは思わなかったから結構驚いたもんだよ。
「あの‥‥ どうしたんですか守長? 見つめられると恥ずかしいです‥‥」
「ジゼルが可愛いから見てたんだ、ジゼルの可愛いらしい顔を見るのはダメか?」
「からかわないで下さい守長・・・ その‥‥
恥ずかしいです‥‥」
可愛いやっちゃな本当。
あの七歳児とは大違いだよ、惜しいな、ジゼルが二十歳を越えてたらなぁ、とは言え現実は10歳だ、まぁそんな物か人生何てのは。




