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異世界灯台守の日々 (連載版)  作者: くりゅ~ぐ
第1章 ある灯台守の日々
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第4話 自称村一番の美人

カモメが鳴いている


数が多いからかちょっとうるさい。



この季節にしては今日は過ごしやすい、

だが若風がベタつく、さっきまでさらりとした心地良い風だったのに今は風が重みを持ったような気持ち良く無い風だ。


竿を垂らして二時間、釣果はまだ無い。


用意した桶も今の所役に立っていない。


隣ではザッカリーのじい様が又、釣り上げて居た、

爆釣と言うやつだ。


このザッカリーのじい様も灯台守の1人である。


「ヒャッヒャッヒャッ 守長、今日はてんで駄目だなぁ~ こんままじゃあ夕飯は抜きになっちまうぞ~」


「・・・」


うん、そんな事は分かっている、

これはアレだな、

俺の腕が悪いのでは無く竿が悪いんだ、

そうに違いない、いやそうであれ。


「ヒャッヒャッ ま~た釣れたぞい」


このじじい・・・

これ見よがしにチラ見してきやがる。


しかも釣った魚を見せつけながらだ。

満面の笑みだな、心底嬉しそうだ。


アジか・・・ 型も良いしそれにデカイ。


「ねぇねぇ守長、全然釣れないね」

「うんそうだね」


「何でだろうね」

「うん何でだろうね」


「ね~え~ 守長聞いてる?」

「うん聞いてるよ」


「ホント~」

「うん聞いてる 聞いてる」


アンナの奴が疑わしげに俺を見ている。

心配しなくてもちゃんと聞いてる。


ただ右から左にアンナの言葉がすり抜けているだけの事だ。


アンナの奴こないだ高熱出してから暫くは大人しかったがもう復活したようだ。


「ねぇねぇ守長~」

「うんそうだね 守長だよ」


「守長 絶対聞いて無いでしょ!」


うっせーな、聞いてるよちゃんと、

つーかそんなデカイ声聞こえない訳無いだろ、

嫌でも聞こえるわい。


まぁそんな事口に出したらアンナの奴、

プリプリ怒るから言わないけど。


「で? どうしたアンナ?」


俺の問いに自称、村1番の美人がモジモジし出した。


「うん・・・ あのね・・・」


今度は上目遣いである。何を言いたいか分かったから、礼儀正しく無視・・・


見なかった事にした。


しかし釣れんな、こんな日もあるがあまりにも釣れなさ過ぎる。


あっ、又ザッカリーのじい様釣りやがった。

このじいさん俺の運を吸い取ってやしないか?


又アジだ、型もいいしさっきより更にデカイ、

なんでこのじい様だけ釣れて俺は釣れない?


しかも又こっちをチラチラ見て釣れたアジを見せつけてきやがる。



「守長ちゃんと私を見て!」


うっせーなマジで、まぁとは言えこれ以上見えない振りも難しいな。


仕方ない、自称村1番の美人の相手でもしてやるか。


「どうしたアンナ」

「あのね あのね あのね」


もう早く言えよこの七歳児は。


モジモジしてどうした?

便所でも行きたいのか? 何て言ったら、

又プリプリ怒るだろうし、女心が分からんとか、

デリカシーが無いとか言うんだろうな。


「うん何? アンナ」


アンナがニッコリと笑う、ちゃんと相手されて嬉しいのだろう。


「守長って結婚して無いよね? 誰か好きな人居るの? もしかしてこの村に居る~?」


「・・・」


いねーよ、てかそんな期待した目で見るなよ、

本当アンナはポジティブだ。


「あのね あのね 私がね 守長と結婚してあげてもいいよ」



「ヒャッヒャッヒャッヒャッ 魚は釣れんが女は釣れたか 羨ましいの~」


こっ このじじいは・・・

心底楽しそうだ、そんなに羨ましいなら代わってやろうか?


「ねぇ守長 私が結婚してあげる」


そしてアンナは上から目線である。


ザッカリーのじい様め、まだ笑ってやがる。


ちゃんと返事しないとこの七歳児は拗ねる、

だからちゃんと答えてあげた。


「今日天気イイよね」


「もう! 又ごまかした! 守長なんかもう知らない! 守長のバカ! バカ! 守長なんかハゲちゃえ」


そう言うとアンナは走って行った。


ウチの家系にハゲは居ないからハゲねーよ、

と言うかもう知らないってアンナに言われたの何回目だ?


まぁそれはいい、こう言う時は安易にイイよ 何て言ってはいけない、何故なら後々大変な事になるからだ、俺はもう同じ過ちは繰り返さない、経験者は語ると言うやつだ。



「守長結婚してやったらいいじゃないか」


このじじい、他人事だと思って好き勝手言いやがって、しかも又釣り上げやがった又アジだ、

しかも更にデカイ、型も無茶苦茶いい。


何故ザッカリーのじい様みたいな極悪人が釣れて俺は釣れない? 世の中間違っているとしか思えない。


「羨ましいか? まぁ守長は魚は釣れなかったがアンナは釣れたから良いじゃないか」


いや、良く無いわ! 自称村1番の美人の七歳児が釣れても嬉しく無い、俺を何だと思ってる、俺は幼女趣味では無い。



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