第36話 夢幻を願う
夜の帳が降りてきた
外は真っ暗であるが
松明の灯りが海岸沿いに見えている
あれからお互いの情報の擦り合わせを行ったが
目新しい事は 余り無かった。
ただバハラ側ではかなり混乱してたらしい、
軍人も官吏も夜中に非常呼集が掛かり
行政府や基地でも人が集まったらしい。
ケイレブ・カーンもバハラから出発する時に
港のそこそこで船同士の接触やそれによる損傷が起きて居たと再度俺に伝えて来た。
どうも嵐は、このハルータよりバハラの方がより近かったようである。
山頂灯台にも回光・・・
暗刻連絡器を使いこちらの状況を説明しておいた、
そして引き続き捜索、救助を頼まれたが・・・
ガジラ以外の人間処か 船の残骸すら見つかって居ない、これは完全に潮の流れの為だ。
捜索に意味があるのかと問われれば意味は無い、
だがもしかしてと言う事もある
と言う訳で捜索は続行しなくてはならない。
まぁ船を出せるのならまだ意味はあるんだがなぁ
とは言え浜に流れ着く可能性もある以上やらざるを得ない、
「守長 海を照らして欲しいんだが、あの辺りだ」
「おう分かった」
捜索中の男衆が指を指し示す所に 灯りをサーチライトの様に収束させて照らすが何も無い。
「あー 守長ありがとう、見間違いだったみたいだ」
「ん、気にするな 大した手間でも無いし、
もしかしてと思ったら遠慮無く言って来い」
まぁ実際、俺の魔力が減ったと言う感覚は一切無い
なら照らし続ければ良いじゃ無いかと思うかも知れないが、俺は一晩中浜に居る訳では無い。
余りやり過ぎると 明るさに目が慣れて、俺が居なくなってから困る事になるからな。
「サリバン様の魔法は凄まじいですね」
「ああ、これだけは自信がある 本当、生活魔法は 何やかんやで便利だよ」
ケイレブ・カーンや他の官吏達が一緒に居るが、
これも現地での捜索や救助が どの様に行われて居るかの確認と見学の一環みたいだ。
浜にはハルータの村民だけで無く、軍人達も居る、
協力して一晩中、捜索するが今の所 軍人と村民の共同部隊は問題無く捜索が行われており、
トラブル等も起きなさそうだ。
まぁ、小物君が 口が酸っぱくなるくらい部下に言い聞かせていたみたいだからな、
俺とのファーストコンタクトが余程堪えたらしい、
宜しい、今後やり易くなるのは大歓迎だよ。
因みに小物君は灯台横の施設で指揮を執っている
こちらの受け入れ準備はしたが、
軍人達の配置や 配置先での自分達の準備があり
それを指揮しているからだ。
軍人達がキビキビと動いている、途中、小休止程度はしただろうが、バハラからぶっ通しで来て疲れて居るだろうに中々の動きだ、普段かなり厳しい訓練をしているのだろうな。
そう言えば……
「ケイレブ・カーン、バハラから出発する時に船同士の接触が多発したんだったな? そしてお前達は夜明け前にバハラから出発した、間違い無いな?」
「はい、そうです間違いありません」
「と言う事は、お前達が出発してから更に船舶事故が増えてる可能性は高いと、そう判断して間違い無いか?」
「その可能性は、残念ながら 非常に高いと思われます」
あー ならクランツじいさん 暫くは、かなり忙しくなりそうだな・・・
こりゃバハラ行きは延期かな?
「あの…… サリバン様、何か問題があるのでしょうか? バハラ側の事でサリバン様のお手を煩わされる事が何か心当たりがあるので?」
「あー 違う、そうでは無い、知人がバハラで海事法弁士をして居てな、近々会おうと言う話しをしていたんだ、だがバハラではその様な状況では忙しくなりそうだと思ってな、それで再度お前に聞いたんだ」
ケイレブ・カーンが納得した様に何度も頷く、
「なるほど、海弁士は確かに暫く忙しくなりそうですね」
やっぱそうなるよな、まぁじいさんの場合はある程度先まで依頼が詰まっているから 案外あんまり関係無いかもしれないが、どうだろう?
クランツじいさんならそんなの関係無く来いと言いそうだな、仕事何てちゃっちゃと済ますからって
その前に済まさないといけない事があるんたが……
マデリン嬢・・・
考えると気が重いな・・・
どんな話しになる事やら、まぁ昔の約束の件を
話し合う事になるとは思うが、
今の所 結婚する気が全く無いんだよなぁ・・・
とは言え俺もいい年だ、この世界では何で結婚して無いのか不思議がられる年だ、
前世であれば今の俺の年でも結婚してない奴何て普通だったんだがなぁ。
ハァ‥‥
とりあえず灯台に帰るか、早く眠りたいよ、
まぁ、帰っても書類仕事しないと寝れないんだけど
~~~~~
『そんなんだから彼女が出来ないんだよ、はぁ? 強がんなよ 何が今は作る気が無いだけだよ、 ハイハイそーゆー事にしといてやるよ』
『あっしは別にいらねーし、何だとー てかあっしは結構モテるんだぞ、そんなモテモテのあっしと居れるんだからな その幸運に感謝しろよ』
『なぁ・・・ こないだ●✕●✕に居たよな? 一緒に居た女誰? 何がお前が知らない女だよ! そんなん分かってるわ! 知らない女だから聞いたんだろ ふーん…… へえー べっつに~』
『おい■■■今度の祝日って道場休みだろ、ヒマだから一緒に遊びに行くぞ、勘違いすんなよヒマだからだぞ ・・・そうだよデートしようって言ってんだよ、悪いかよ 嫌なら別にいいんだけど‥‥』
『何だよ寒いんだから仕方無いだろ、良いだろ腕ぐらい、てか残念だったな■■■、冬で厚着してるからあっしの乳の感触分から無くって 』
『なぁなぁ■■■こないだ一緒に居た女って‥‥ なーんだやっぱそうかよ、えっ・・・
いやいや嘘つくなよあんな美人が昔告白してきたって、んーな事あるかよ、えっ? マジなの?』
『うっせーな だから寒いんだって、はぁ?これはくっついてんじゃ無い! 寒いからカイロ代わりにしてるだけだし 良いだろ、■■■の好きなデカイ乳が当たってるんだから、今日は大サービスだからな ありがたく思えよ』
『なぁ■■■あっしはさぁ アンタの事が‥‥』
はぁ・・・
寝る前に又、思い出してしまった・・・
眠いのに寝れなくなっちまったな、
結婚か・・・
こんなんでは もし誰かと結婚しても、上手い事いかないだろうなぁ。
マデリン嬢は良い子だと思う、とは言え俺にとっては年の離れた妹みたいな感覚なんだよなぁ
結婚云々はちょっと考えられ無いんだ。
まぁそれをマデリン嬢に言ったら
『私もう子供ではありませんわよ、少なくとも身体は大人です、もう子供だって産めますわ』
って言うだろうなぁ‥‥
うん、マデリン嬢なら間違いなく言うわ。
『はぁ~ 誰がガキだよ! もう大人だし! JK
ならもう大人だぞ、選挙だって行けるし結婚だって出来るんだぞ! いやまぁ選挙の投票はまだ出来ないけど‥‥ でも結婚は出来るし、法律で決まってんだぞ、大体あっしは大人っぽいから大人なんだよ!』
自分の事、大人 大人言う奴はまだガキなんだよ
そう言ったらあいつ、又ギャーギャー言ってたな。
アイツも結婚して 子供でも産んで 家庭を持ってるんだろうな。
そうであったとしても、俺にどうこう言う権利等
転生してこの世界に居る俺には無いな‥‥
寂しく無いと言ったら嘘になる
悲しく無いと言っても嘘になる
だから仕方無い事なんだ、
~~~~~
『ネイサンよそちであれば 女など選り取り見取りであろう、結婚はせぬのか?まぁそちの心の中には既に誰かが住んでおる様であるがな、叶わぬ恋であるのか?そうであるなら余が力添えしてもよいが、どうなのだ?』
~~~~~
出来るものなら力添えして欲しかったよ、
まぁ先帝陛下でも無理なんだが・・・
いかんな、さっさと寝ないと、明日に響く、
明日もまだまだやる事は多いんだ。
せめて夢の中でも逢えたなら、か。
例え一時、一夜の事で有ろうとも
夢幻を願う、か




