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異世界灯台守の日々 (連載版)  作者: くりゅ~ぐ
第1章 ある灯台守の日々
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第3話 1/30000のハンナ

カモメが鳴いている。


俺の足元では

ニャー ニャーと鳴いている奴がいる。


うみねこが足元に居る訳ではない。


猫が居るのだ。


猫の名前はハンナ、三毛猫である。


名前は、ハンナ と、女の子の名前であるが、

こやつは女の子では無い。

立派な男の子である。


この世界の三毛猫も男は殆んど生まれない。


なので最初はメスだと完全に決めつけていた。


所が成長するにつれ女の子には無いモノが、お股の間に見えるようになってきて、男だと発覚したのだ。


まぁ子猫の頃は分かりにくと言うか全く分からなかったりするかららなぁ・・・


コイツは俺がハルータに来て一週間位の時に初めて見た。


最初は親ネコや他の兄弟姉妹と一緒に居た。


最初に見た時は親ネコとハンナ以外に、

5匹の兄弟姉妹が居たが、少しづつ数を減らし、いつの間にかハンナともう一匹だけになって居た。


親ネコも含め他の子猫達も、

恐らく他の動物に襲われたと思われる。


ハンナは何故か出会った頃から俺に懐いており、

良く触らせてくれていた。


勿論触った後はハンナにクリーンを掛けて、

俺の匂いは消しておいた。


そうしないと人間の匂いが付いたハンナを育児放棄する可能性があるので毎回触った後は念入りにクリーンは掛けていた。



初めてハンナにクリーンを掛けた時は結構ビックリしていた。


そしてハンナが推定生後3ヶ月位の時にもう一匹も見なくなりハンナだけになっていて、

俺が飼う事にした。


本来なら親離れする迄後一月はあったはずだが親ネコはどうもイタチらしき奴に襲われて死んでしまったと思われる。


村人の何人かがその時見てたらしく後で俺に教えてくれた。


因みに灯台守の1人、アイザックのじい様が言うには3ヶ月位で子離れする親ネコも居るとの事である。


ハンナが足元で纏わりついている。

ニャーニャーうるさい、

朝メシ寄越せと言っているのだろう。


気をつけ無いと又踏んでしまう。


ハンナはサバが好きだ、そして魚は焼いた魚が大好きだ、勿論生でも食べるが焼いた魚はこいつの大好物である。


しかも割りと食う、焼いたサバ等出した日には大喜びである。


とは言えだ、あまりネコにサバは宜しくない。

勿論絶対ダメと言う訳ではないが与えすぎも良く無い。


大体だサバを焼いて更に骨から身を外して

更に小骨が付いていないかチェックして出すのは手間暇掛かる。


冷ますのも結構な手間だ。


なのでたまにしかサバは与えていない。


サバに関しては生で与える等論外だしな。

寄生虫がいるからダメだったはずだ。


クリーンを使えばその辺りは大丈夫だが・・・

うーん・・・ コヤツは本当、サバに関しては底無しだからな・・・ 生のサバの味を覚えさせるのはあんまり宜しくない。


しかしクリーンは本当に便利だ。


別名 洗浄魔法とか清掃魔法とも言われている。

後は清潔魔法何て呼ばれてもいる。


教会何かでは清浄魔法である。


クリーンは俺が勝手に言っているだけだ。


クリーンを使うと灯台守の仕事はかなり楽になる。


例えば上の篝火を焚いている場所がある。


そこは汚れが付きやすいし煤や煙等でどうしても汚れてしまう。


勿論煙はキッチリ排煙されるような作りになって居るし、煙が極力出ないよう薪の乾燥には気をつけている。


それでもやはり汚れは付着する。


特に気をつけて綺麗にしているのは反射板と鏡だ。


反射板は金属製で出来ており、

明かりを反射させる為の大切な備品だ。


そしてそれ以上に大切なのが鏡である。


鏡は高価だ、そして貴重でもある。


鏡は少し角度を付けて合わせ鏡になっており、このハルータ村の灯台を照らすとてもとても大切な備品なのだ。


クリーンを掛ければ一瞬で、しかもまるで新品の如く綺麗になる。


だがやらない、それは何故か。


じい様連中いわく。


「そんな楽しちゃぁ怠け癖が付く!」


との事である・・・



しかもじい様連中皆が口を揃えて言いやがる。

バハラの大灯台に居た時は、毎日クリーンを掛けていた。


凄く感謝されたものだ。


まぁそれでバハラの行政府所属でありながら、

大灯台付きになったんだと思う。


俺が三年間の任期を終え帝都に帰る時は大灯台で働いている奴等に大変惜しまれた。


まぁそりゃそうだ、バハラの大灯台はとにかくデカイ、当然維持管理は大変だ、これからは自分達で清掃を行わなければならない。


三年近く楽出来ていたんだから。


そう考えるとウチのじい様連中が言うのも分かる、

まぁじい様連中からしたら自分達でやりたいのだろう。


じい様達だけでなく、この村の住人は皆働き者

ばかりだ。


労働こそが美徳 そう思っている人間ばかりだ。


そう言えば今年もそろそろ灯台の大掃除だな。


クリーンを掛けたいがこの灯台の大掃除は祭りに組み込まれている。


その為クリーンを掛ける事は出来ない。


年一回、村人総出で掃除をする。


当然外壁も洗う。


祭りの一部になっているからか皆楽しそうに

掃除するのだ。


この灯台の大掃除は去年も大盛り上がりだったし、

ハルータの灯台はこの村の誇りだ。



うん、クリーン何か掛けて一瞬で綺麗にして終わらせたらしらけるよな・・・


ハンナがニャーニャーうるさい。


「ニャーニャーうるさいな~ ハンナお前はうみねこか! もうちょっとでご飯出来るから後少しだけ待ちなさい!」




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