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異世界灯台守の日々 (連載版)  作者: くりゅ~ぐ
第1章 ある灯台守の日々

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第26話 エピリ共和国


明けない夜は無い


もう何度聞いたか思い出せない位に聞いた台詞だ


そしてこの地の夜も明けた


風は弱まり生温い風を微かに運んでくるだけとなり


雨は完全に上がった



じい様達の言った通りになった、流石だな。


湿気を含んだ風が不快ではあるが、

嵐より少しだけマシだ、山頂灯台に目をやると、

まだ灯りが見える、狼煙も上げている様だが

風に散らされて火元の部分が微かに明るいだけだ。

あの明るい位置は、狼煙を上げる為の台座だから

多分狼煙を上げようとしているのだろうが、

山頂は風がまだ強いのかもしれない。

かなり生木をくべているみたいだ、火が微かにだがここから見えている位だからな、とは言え……

風に流されてはなぁ。

救助の為に全力でやってるとは言っても

もう少し効率的なやり方があればいいんだが、

残念ながらあれで精一杯やってるんだよな。



チラッと海側が見えた、海はまだ荒れてるな……


これでは船は出せない、岩場の捜索も危険だな

海岸に流れ着いて居る者がいれば 救助は出来るだろうがどうだろうな、難しいか?



「あっ 守長ここに居たの、外に出てると思わなかったよ 探したんだよ」


「何だ どうしたケリー?」


あっ、コイツため息吐きやがった。


「もう 外に出るなら誰かに言っておいてよ」


「いや、言ったぞ 何人かにな、で? 何か問題があったから そんなに息を切らして俺を探してたんだろ?」


「あっ! そうだった あの人目覚ましたよ」


誰が目を覚ましたか正確に言おうなケリー

救助者が目を覚ましたんだろうけど。


「良かったじゃないか、何が問題なんだ?」


ケリーによると、救助者が目を覚ましたが

言葉が通じないらしい、片言で簡単な挨拶や、

これいくら? とか、まけてくれ等単語を少し

話せるだけで帝国語があまり通じないらしい、

南方諸島の共通語もあまり通じず困った様で

守長を呼べとなったようだ。


帝国語がいまいち通じ無いって、

もしかして船乗りでは無く旅行者か?

いやいや、服装は船乗りの格好だった、

あまり語学習得に熱心では無いか、

船員経験が短いから いまいち覚え切れてないって可能性もあるな……


船乗りとして長く乗ってたら嫌でもある程度は覚えるからな、その可能性もある。


しかし南方諸島の共通語もイマイチなのは何でだ?


南方諸島の外れの国、まぁ田舎と言われる国ならば

そのような事もあるか?


基本的に共通語と言えば帝国語だからな、

南方諸島の共通語はマイナー言語だ、

あくまで南方諸島の間の共通語であって

他の国では知らない奴も多い、

それでも南方諸島では、船乗りで無い奴は、

帝国語は分からないが南方諸島の共通語は分かる奴は多い。




何にせよ行ってみるしか無いか。


「ケリー 状態はどんなだ? 意識はハッキリしているのか?」


「うん、受け答えは出来てるから大丈夫と思う、

ただ言葉が通じないけど・・・」


話を聞くと意識もハッキリしてるし、水を飲み、

今はスープを飲んでるらしい、

ケリーが見た限り身体の状態は悪くは無いようだ。




部屋に到着すると身体を起こしてスープを飲んでる男が居た、顔色は悪くない、

海に浸かってた時間が案外短かったのかな?

まぁ山頂灯台の特技兵がいくら目が良いとは言え

ある程度は限度があるし、距離だって見える範囲で有るならばそこ迄遠距離から流れ着いた訳でも無いか……

航行灯が消えたのを特技兵が確認したのもここから近くだった可能性大だな。



「あっ、守長が来たよ」


「体調は良さそうだな、顔色も悪くないな、

それと言葉が通じないと聞いたが?」


周りに居た何人かが頷く、困った顔もしている。


「そうなんだよ、ジョンじいさんが南方諸島の共通語で話し掛けてもイマイチなんだよ・・・」


ジョンじいさんの発音が悪いと言うのは無いな

あのじいさんの発音はほぼ完璧に近い、

とりあえずこの男の言葉を聞いてみない事にはな。


しかし若いな二十歳にもなって無いんじゃ無いか?



「おい、それは、何を、食べて、いる?」


身振り手振りで、男が飲んでるスープを指差し、

飲む仕草をする、飲む時の擬音付きで飲んだ後のため息まで再現した。


我ながらかなりの名演技だな。


『ん? ああ美味いよ』


「あー 何だよエピリ共和国かよコイツ」


エピリか、なら帝国語も南方諸島の言葉も分からんわ、南洋諸島よりも更に西にある国だからな

ギリギリ南方諸島と見られる国だ、

だがエピリの人間は自分達を

南方諸島のカテゴリーとは思って居ない奴が多い。


一応は南方諸島の海洋組合に入ってるのにだ

まぁ本人達はあんまり気にしてないし、

どうでも良いと思ってるみたいなんだよな。


南方諸島共通語の習得にあまり熱心では無い。


エピリ共和国、所謂(いわゆる)田舎と言うやつだな。

小国で決して発展してるとは言い難い国だ、

特産品は確か……


「守長 言葉分かるの?」


「分かるよケリー 今から話を聞く、

まぁスープを飲み終わってからだな」


村民達が称賛してくるが、この世界に転生してから頭が非常に良くなったからな、


まぁ称賛は素直に受け入れとこう。




『おい 美味いか?』


『ああ美味いな、身体に染み渡るな』


『お代わりは要るか?』


『ん? そうだな、お代わり・・・

ん? ちょっと待て俺の言葉が分かるのか?』


男がマジマジと俺を見てくる、

まぁ正直マイナー言語だからなエピリ語は。


『分かるよ』


『そうか! おいアンタここは何処だ?』


『帝国だよ、サザビー帝国だ、ついでに言えばここはバハラの近辺にある村だ、灯台のある村って言えば分かるか?』


俺の言葉に男が頷く、一応はこの辺りの位置関係は分かってるみたいだな。


『あー…… 俺以外に助かった奴はいるのか?』


『いや、まだお前以外は誰も救助されて無いな』


男がため息を吐いて首を左右に降っている、

やっぱりかとでも思っているのかも知れない。



男に話を聞くと、やはり嵐に巻き込まれ船が沈んだらしい。



あの嵐はやはり沖では大時化であったらしく、

今までに経験した事が無いような雨風でまさに

暴風雨であったようだ。


そして男は甲板でロープが切れて、ほどけた帆を直したり、諸々の作業をしていた。


だが益々風は激しくなり、船がバラバラになるのではと思える位、船体が波に打ち付けられたらしい。


そしてこれは大丈夫なのかと男は思ったが、

この嵐を乗り切る為に作業を必死で行っていた様だ


だが立っていられ無い程揺れ、何度も転び

何度も海に落ちるのでは無いかと思ったらしい。


そして更に海の状態は悪くなり、これはマズイ、

もしかして死ぬのでは? そう感じ恐怖心が沸いて来て動きが止まったらしい。



そして古株や他のベテラン船員が

『気を付けろ』

『海に落ちるな』

『ここを乗り切らなければ死ぬぞ』


そう言い合っていた。


だがその時は来た、

今にして思えばそうだったと思えるが、

その時は気が付かなかった、

ミシミシ、ピキ と言う音が聞こえ、

その瞬間船体が大きく揺れ、そして他の船員を見ると皆船体に必死に掴まっており、

『お前もどこかに掴まれ!』

そう言われた男は必死で掴まったらしい、だが‥‥


まず大波に船が呑まれ何人かが海に落ちたらしく、

その時に航行灯が消えたのは見たようだ、

そして古株の船員が、『何としても船の中に入れ』

と言い、男はそれに従った。

とは言えそのまま甲板に居たら海に引きずり込まれそうだったので言われなくとも、船内に入っていただろうと力無く言っている。


余程 酷い状況だったようだ、

男は何とか船内に入ると古株が酒を飲めと言ったらしい、そして一気に呷ると今度は水を腹一杯飲めと言われた。

男はその言葉に従い水を腹一杯飲み、

更に酒ももう一杯飲んだらしい。


ただ飲む時揺れてこぼしてしまい、何度も汲み直して時間が掛かったようだ。



そして古株は皆が飲み終わるのを確認すると帝国製のライフジャケットを男に着せた、

他の者もそこに合った帝国製以外のライフジャケットを着たり、

木材等を身体に括り付け始め

『何があっても諦めるな』と言われたらしい。


その場には男を含めて6人が居たらしいが、男以外は皆分かっていたような顔をしていて、

男が『何故だ?』と聞いたら、

この船はもう持たない、恐らく沈むと言われたらしく、男はビックリしたようだ。


いきなりそんな事を言われてもはいそうですねと納得出来るものでは無い。

なので理由を聞いたら マストが折れ掛かっている、

船体もマズイ状況だもう持たないと言われ、

そしてその時始めて船体から軋むような、

ミシミシと言う不気味な音が聞こえてる事に気が付いた。

当然と言うべきか、船体は右に左に所か、

上下左右に激しく動いていたらしい。

男はその時になって少し冷静になった。

そう言えば酒や水を飲む時飲み難く、何回か入れ直した事を思い出した。


古株や他の船員達は、

『お前はまだ若いし経験も少ない、だからお前に帝国製のソレを着させたんだ、必ず生き残れ、ソレを無駄にするな』と言われたそうだ。


男達とは別の他の船員達もライフジャケットや

木材等を身に付け始め酒を飲み、水を飲み、

『身体を温めとかなきゃ 凍え死んじまう』

『夏場に凍死は勘弁して欲しいぜ』

『俺はお上品だからツマミが無いと酒は飲めないんだ、全く嫌になるぜ』

と言って皆笑ってたらしく、男は豪胆だなと感心したと言い頻りに頷いて居る。


俺に言わせれば強がりだと思う、

だがそうやって軽口や強がりでも言わないと

恐怖に負けてしまうからだ。


そして船は直ぐ沈んだ訳では無く、沈むまで暫く時間が合った様で、激しく揺れる船で男は僅かな時を過ごした。


そして遂に船体が破損し、近くの物にしがみついて居た男は海に投げ出されてしまい そこから荒れ狂う海でもがいていたが、何時の間にか気を失ってしまい気が付けばここに居た。



コイツが助かった要因はライフジャケットと、

身体が冷えない様に酒を飲んで体内から温めて居た事が功を奏したのだろうな。


勿論、運が良かったってのが1番の理由だ。



『なぁ 本当に俺以外誰もここに運ばれて無いのか? 実は居たりしないのか?』


『残念ながらまだ(・・)お前だけだな』


『そうか・・・』


そんな悲痛な顔されるとこっちが悪い事してるみたいじゃないか、でもコイツ以外まだ見つかって無いのは事実だ。


とは言えコイツがここに流されて来たと言う事は、

他の奴も流れ着く可能性も高い、その時生きてるかどうかはそいつの運次第だ。


さて‥‥


『なぁ、お前ちょっとは落ち着いたか?』


『ああ お陰様でな』


うん、暖かい部屋でスープを飲んで落ち着いたか、

そろそろ部屋を移動させるか、

身体の調子に問題が無ければ逆にこの部屋は

身体を悪くする。


この季節だ、熱中症になってしまう。



『なぁ スープのお代わりは要るか?』


『いや大丈夫だ 二杯飲んだら腹が膨れた』


そうだな、量が結構多かったからな。


『そうか、まだまだあるから欲しくなったら

遠慮無く言えよ』


『ありがとう』


『所でお前、アレが欲しく無いか? 落ち着いたらやりたくなったんじゃないか?』


男が不思議そうな顔をした

『アレってなんだ?』


『ああ 葉っぱ(・・・)だよ』


『何だ葉っぱかよ そうだな一服したいな』


はい、アウト


『持ってるならやったらどうだ?』


『今持ってないよ、沈む前にやったのが最後だ

クソ! 結構いい値段したのに船と一緒に沈んじまった』


ん? コイツ船でやってるだけか? 普段は陸に持ち込んで無いかも知れないな。


『そうか、お前普段は船で楽しんでるだけか?

帝国で港に上陸した時はやらないのか?』


『ああそうだな、船の中だけだな』


んー…… それなら一応はセーフか


『そうか良かったよ、帝国では御法度だからな

持ってたらお前を捕まえなきゃいけない所だったよ』


俺の言葉に男が真っ青になった。


一応はもう少し話を聞くか、念の為にな



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