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異世界灯台守の日々 (連載版)  作者: くりゅ~ぐ
第3章 来訪者達
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第198話 踏み出す一歩め


「ニャ~」


おっ、ネコだ。三毛猫か。コイツえらい太ってるな? よっぽど良いもん食ってるんだろうな。

多分魚市場とか、青空市でエサ貰ってるんだろうか? 人懐っこいし多分そうなんだろう。


しかしコイツ微妙に汚いな。クリーンを掛けてやるか? ビックリするかな? ありゃ、掛けようとしたのに行っちゃった。仕方ないか、出会いがあれば別れもある。


さっきも思ったけど今日はちょっと肌寒いが、晴れてて気持ち良いな。それに思わぬ出会いや発見もあるし。

村の中を散歩するのとは違って、都市部を散歩するのは又違った良さがあるよな。


おっ! 今度はキジトラだ。コイツは綺麗だな? もしかして飼い猫かな? テクテクと道をやや小走りで横断する姿が可愛い。


しかしさっきから道草食いながらか、時間が掛かってしまってる。まぁ良いや、散歩がてらのんびり行こうと思ってたし。

だけどこれ昼前位の到着になりそうだ。青空市場の屋台で昼飯にするか? それも良いな。噂の屋台飯、1度食ってみたかったんだよなぁ。

昨日は荷物もいっぱいだったし、人も多かったからチャレンジ出来なかった。その内来れば良いかと思ってたけど、まさか次の日に来る事になるとは。


ん? 人が増えてきたと思ったら、もう魚市場か。結構時間が掛かったが、小学生の頃道草食いながら帰った事を思い出す。

あの頃も帰るまで時間はかかったけど、当たり前だが結局は家に帰りつく事になる。

前に進む意志があれば最終的には目的地に辿り着くか。後は前に進む気持ちが大事だったっけ? 確か前世でそんな事を聞いた事があったな。どこでだったんだろ?


しかし人が多い。天気が良いからか買い物客も多いな、漁師達も魚市場に来てる奴が多そうだ。これなら今日はエビがあるかも知れない。


村の奴等は……。入り口付近には居ないか。もしかして昨日店を開いていた辺りかな?

おっ、やっぱりか、昨日居た辺りに固まってるな。うん、ジルも居ない、アンナも居ない、村の問題児二人は居ないな、良し良し幸先が良い。

これはきっと、俺の普段の行いが良いからだな。

ん? ゲッ! カレンの姿が見えたぞ、これはもしかしなくても自称村長のアホも居るんじゃないか? うん、居るね、これは俺の日頃の行いが悪いからだろうか?


「あっ、守長じゃないか」


「はい守長です」


「今日も来たんだ? また買い物?」


「イカの一夜干しを買いに来た」


「あー、そう言えば昨日なんかそんな話をしてたな。アマンダなら昨日居た所で店を開いてるよ」


「ん、分かった、ありがと」


やっぱ昨日と同じ辺りか。と言う事は今日もアマンダの店は繁盛してるのかな? あっ、アマンダ発見、隣は昨日と同じくマーラとジャック夫妻か。そしてアマンダの店は今日も大繁盛だね。

昼飯前なのに激混みじゃないか。普通この時間なら買い物を終えて、昼飯の準備をしてるはずなのに、まだこんなに混んでるんだ?


「あら、守長じゃないのさ」


「本当だ守長だ」


「おお守長」


人気者は辛いぜ。て、まぁ姿を見掛けたら声を掛けるか。これアマンダの所まで行くのに、ハルータ村の奴に挨拶するので時間が掛かるな。

逆回りに大きく迂回して来ても良かったかも知れない。とは言え場所が分からなかったから無理な話だけど。


しかし何時見てもアマンダは美しいな。笑顔が可愛いし、そら男がほっとかんわ。

ん? アマンダの逆隣は、むっつり娘その二の家か、家の手伝いで来てんだな。ん~? て事はジルの奴も来ていないか? ちょっと落ち着け俺、周りを確認してと……。うん、とりあえず近くに居ないな。変態(ジル)の親父のケインも居ない。奴の母親も居ない。良し、一応安全ではある。


「おいマーラ」


「守長かね、今アマンダの店は少し混んでるからちょっと待ってておくれ」


ちょっとどころか激混みだがな。ついでにマーラの所とむっつり娘その二のとこもやや混んでいる。

多分だが、アマンダの店に人だかりが出来てて、人が寄って来てる影響だろうな。もちろん好影響ってやつだが。


「マーラ、今日はジルの奴は来てないよな?」


「ジル? 今日は来てないねぇ」


良し! 安全確認終了。これで落ち着いてここで過ごせる。やはり俺の日頃の行いが良いからだ。


昨日に比べて端であるここら辺にも、ハルータ村の奴等が多いな。もしかして昨日より今日の方がこっちに来てる奴が多いのかも知れない。

うん、アマンダの所はまた別格だが、他の奴等の店もそこそこ客が居る。皆が嬉しそうに笑いながら接客してるが、良く売れてるからだろうな。


船着き場も数多く係留されてんな、ん?

うわ~、アレってナンシー・ボーウェルか? うん、見間違いでは無いな、アレそうだよ。

あの色んな意味でちょっとヤバい、平の下級官吏だよ。まぁこっちまで来ないだろうから気にする必要は無いか。


「守長?」


「客がはけたんだ。アマンダ、今日も大繁盛だな」


「うん、昨日お客さんに、今日も来るって言っておいたら、口コミで広がったみたいで。それで買いに来てくれた人が多いみたい」


「そっか、滅多にこっちに来ないから、そんでアマンダの顔を見に来たってのもあるかな?」


「うん、昔からの馴染みのお客さんが、顔を見に来がてら買ってくれてるの。結構持って来たんだけどもう残りは三割位になっちゃった。持って来すぎかなって思ったけど良かったわ」


客はほぼ中年以上の女ばっかだったが、馴染みの客か。アマンダは女相手なら普通に愛想が良いからな、おばちゃん連中に昔から可愛がって貰ってたんだろう。


「商売繁盛で良い事だ」


「そうね、でもお客さんが多過ぎて昼食も取れなかったの。ありがたい事だから仕方ないけどね。もうお腹ペコペコ」


「昼飯まだなのか?」


「うん、マーラのとこもだし、隣のローザ達もだよ。今日は全体的にお客さんが多かったから」


ローザか、むっつり娘その二の母親だな。確かにローザんとこもパッと見客は多かったな。全体的に昼飯が遅れるって事だよな? 屋台混みそうだなぁ。

ふと、どうせ昼飯食うのなら、アマンダと一緒に行ってみたいと思ってしまった。

普段ならダメだと思うが、何か今日は深く考えず、別に良いかなって思ったが、色々とテンションがおかしくなってんのかな俺? うーん……。まぁ良いや誘っちゃえ。


「なぁアマンダ、昼飯まだなんだよな? なら一緒に行かないか? 俺もいまいちここは分かってないし、案内がてら一緒に食いに行かないか?」


「一緒に?」


「うん、嫌なら無理に誘わないけど」


困ってますな。戸惑い? それとも嫌なのかな? でも嫌悪感みたいな物はアマンダから感じないし、躊躇(ためら)いかな?

こりゃダメかな? まぁ嫌がられていないからマシではあるが。うん、アマンダと一緒にここで飯食いたかったが仕方ないな。


「嫌じゃ無いの、でも私達は屋台で買って、店を開いている所で食べるから……、向こうで食べる事なんて殆んど無いのね、でも……」


「アマンダ、良いじゃないのさ。行っといでよ、店はアタシ達が見てるし。まぁなんだね、行ったついでにアタシ達の昼食を買って来てくれると助かるんだけどねぇ」


「マーラ……」


「行っといで行っといで。私達も見ておくから。良いじゃないのさ、たまには。あっ、私達は昼は自分達で買いに行くからおつかいは要らないよ」


「ローザ……」


「アマンダ、嫌と言うか、困ってるなら無理に誘うつもりは無いから。だから断ってくれて構わないし、深く考え無くても良いんだ。何で誘っちゃったんだろうな俺? ゴメンゴメン、アマンダの事困らせちゃったな」


久々の長期休暇で俺も色々緩んでるのかな? テンションが上がりすぎたと言うか、おかしくなってるのかも知れない。


アマンダの事を困らせるつもりも、無理強いするつもりは一切無いからな、ダメなら仕方ない。

本当はちょっと行きたかったけど、一人で食うか。


「ねえ守長、私一緒に行く。そうよね、たまには良いわよね」


「本当に? 無理していないか?」


「無理はして無いよ、嫌でも無いし。たまにはそんな事があっても良いかなぁって、そう思ったの」


「マジか? なら一緒に行きたい。アマンダと一緒に行きたい」


誘ってみるもんだな、ダメ元で誘ってみたが、まさか行けるとは。うん、これってやっぱ俺の日頃行いが良いからだな。

それとマーラとローザのナイスアシストのお陰でもある。そうだな二人には、いや、両家族には肉の串焼きでも奢ろうではないか。褒美を取らせねばならない。


「マーラ、ローザ。お前達両家には褒美を取らせよう。アマンダみたいな可愛いオナゴと食事を取れる後押しをしたのだからな。よって両家には一人一つずつ肉の串焼きを買ってやろうではないか。とゆー訳でアマンダの店を頼むぞ」


俺の下賜発言に皆が大喜びだ。まぁ肉の串焼き位大した出費では無いし、日々の細やかな気遣いは人間関係の潤滑油みたいなもんだしな。

それにこの辺りをキッチリやっておけば、これからも手助けしてくれるだろう。別名賄賂とも言うが。


「アマンダ、この籠持って行きな。これなら大きいから全部入るだろうし。頼むよアマンダ、店はまかしときな。安心して行っといで。それとこれスープ代、何時もの店のを頼むよ」


「ありがとうマーラ。これ店のお釣用の小銭ね、悪いけどお願いするね」


「気にするんじゃ無いよ。渡す前に釣り銭用の小銭はちゃんと数えといておくれよ、一応念の為にね。言うまでもない事だけど、間違ったりしたらお互い嫌な気分になるからねぇ」


「分かってる。マーラ…… 本当にありがとう」


「良いさね。さぁさぁ早く行っといで」


マーラ、お前の今日のアシストは忘れない。

もしお前に何かあったら、その時俺はお前の味方になってやろうじゃないか。もしお縄になる事があったなら俺が弁護してやろう。ついでに飴ちゃんも今度やろうじゃないか。


だがマーラよ、何故キミは俺達をそんな優しい目で見て来る? 気のせいか若い二人を引き合わせる事に命を懸ける、見合いババアみたいな目つきになっているのは俺の気のせいか?


後、微妙に俺達を微笑ましげに見てるよな? 何でだ? 別に良いんだけど。



~~~


やれやれだねぇ。良くぞ守長もアマンダを誘ったよ。今日のこれは二人にとって良いきっかけになる様な気がするよ。

アマンダも少し躊躇いだとか、戸惑いみたいな物があったみたいだけど、心の奥底や本心では行きたいって思ってたみたいだけど、まだどっか引っ掛かる部分があるんだろうねぇ。まぁなんだね、何やかんや考えても仕方ないさね。行ってみたら良いんだよ、行ってみたらね。


あれこれ考えるより、実際に行動したら案外簡単に事が運ぶもんさね。まぁアマンダはその一歩が踏み出せ無かったから、今日の一歩は大きな前進になるだろうね。そうだねぇ、なってくれたら良いんだけどねぇ……。


こうして見るとお似合いの二人なんだけどねぇ。

二人並んで歩く姿は良く似合ってるよ、絵になる二人じゃないさね。

これからも共に二人で歩んで行って欲しいもんだよ。そうなったら良いのにねぇ……。


他に投稿した作品です。

良かったら読んでみて下さい。


乙女ゲームのシナリオを壊した結果=悪役令嬢とTS男装騎士

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