第170話 ゴブリン討伐
「お前達遅かったな?」
「その‥‥ すいません守長‥‥」
「謝らなくても良いよジゼル、遊びながらやったんだろ? 仕事じゃ無いんだから別に良い、多分そうなるだろうと思ったからな」
俺の言葉に何人かが目を反らしやがった。
仕方無い奴等だよ、アンナを見ろ、堂々としてるじゃないか。
しかし時間が掛かったな?
「遊びながらやる、それは別に良い、それにしても時間が掛かったな、落ち葉や枯れ枝が無かったのか?」
「それはありました、枯れ枝が少なくて少し集めるのに時間が掛かりましたけど、ちょっと‥‥」
「何か問題があったのか?」
小さい子も居たから、街道側への往き来に時間が掛かったとかかな?
枯れ枝も集めるのに、少し時間が掛かったみたいだし‥‥
うん、アレだな、間違いない
「アンナお前は何をやらかした?」
「えっ? 私! 私なんもしてないよ」
「吐け、自白すれば罪は軽くなるぞ」
「私は何もして無いもん」
「ん? 私は?」
「うん本当だよ、私はね、でもねあのジョンのバカがね‥‥‥‥‥‥‥‥」
アンナの話によると、一生懸命集めて居たらしい。
だが八割方終わり、枯れ枝をもう少し集めようとしたらしいが、近くの分は取り尽くしたので街道側に行こうか、そんな話をしてたらしい。
その時エロゴブリン事、バカその一、二、三、が来たらしい。
そして近くの奴を捕まえ何をして居るか聞いたらしいのだが、何を思ったか自分達も行く、そして芋を食う等と抜かしやがったそうだ。
因みにその案は全員に拒否されたそうだ。
働いても居ないのに、しかも終わりがけに来てその様な厚かましい事を抜かす等、全員が怒ったらしい。
因みに奴等には、ジゼルが代表して奴等に言ったらしい。
落ち葉や枯れ枝に葉っぱを私達は集めて、後は少し追加で枯れ枝を集めるだけの時に、そんな事を言われても誰も納得出来無い。
それに芋は守長が出してくれるのに、私達で勝手に決めれない。
もし芋が欲しいなら私達にでは無く、守長に言うべきだと‥‥ その上で守長がどうするか決めるから私達には勝手に決める権限は無いと、そう奴等に言ったらしい。
ジゼルの毅然とした態度に奴等は怯んだそうだ。
そうで無くともジゼルにいらん事をしてしまえば、狂戦士アンナだけで無く、村の子供達を敵に回す事なる。
奴等はアホだが、その程度の事を考える知能は合った様である。
因みにアンナはもしあのアホ達がいらん事しやがったら、その瞬間に上下関係をわからせてやろうと思って居たそうだ。
一応はその場は収まったらしいが、その程度の事で諦める程、奴等は賢く無い、だって頭ゴブリンだから。
とは言えその場でいらん事をする程に愚かでも無かった。
何度も痛い目に合い、しかもジゼルに言われた、いや、言われてしまっては流石にアホなりにちっとは考えた様だ。
とは言え根本的にアホでバカなので、皆の移動に後ろから着いて来たらしい。
アンナは鬱陶しく感じながらも、集めるのに時間が掛かってしまったし、とりあえずは見なかった事にしたそうだ、人はそれをシカトと言う。
だがあのアホ達は直ぐにゴブリンとしての本能に逆らえなくなったらしい。
子供達の背負い籠から枯れ枝や枯れ葉等を取り、枯れ葉や枯れ枝を放り投げたり、掻き出したりし始めたそうだ。
やられた子は当然怒り、その度に背負い籠に戻して居たが、余りにも何度もやられ移動に時間が余計に掛かったらしい。
アンナはシカトする事に決めて居たが、余りにも何度もやり、その度に立ち止まり無駄に回収作業をしなくてはならなくなり、シカトを止めた。
当然お仕置きタイムの開始である。
エロゴブリン三匹は、背負い籠から放り投げると即逃げて、又戻って来てやり腐ってたが、アンナは背負い籠を身体の前に移動させ、直ぐに置ける様にしてタイミングを見計らった。
当然奴等から分からない様に、そしてアンナは気配を消して、我関せずと振る舞って居たそうだ。
そして奴等が又やり腐った時に、素早く籠を置き、神速で奴等に接近して、逃げる瞬間と言える程のタイミングでお仕置きしたそうだ。
アホその一事ジョンには腹に頭突きを、その二と三にはグーパンをお腹にプレゼントしたらしい。
ついでに三人には、その汚いケツに一発ずつ蹴りをプレゼントしたそうだ。
三人共泣いてたらしいが、アンナは背負い籠組の子供達に良くやったと褒められたと自慢気に俺に言って居る。
因みにケツはただ蹴ったのでは無いらしい、足の爪先で蹴ったそうだが、カンチョーと同じ、いや、それ以上の威力になったとの事である。
それを俺に耳を貸してと言って、小さな声で伝えて来た。
因みにアンナは、爪先蹴りカンチョーの事は内緒だよと俺に言って居る。
うん、何で耳を貸せって言ったかと思ったら、そんな理由かよ‥‥
確かに皆にバレたら不味いわ。
しかも、カンチョー事件の時は流石にやらなかったが、多分とんでもない威力になると思うから自重したらしい。
俺はそれを聞いてアンナをマジマジと見てしまった。
アンナの辞書に自重何てモンがあろうとは‥‥
躊躇いだとか、控えるだとか、やり過ぎだ何て物があろうとは‥‥
だがそれは一旦置いといて、あの時やらなかったのは正しい、俺もやらなくて正解だったと思う。
アンナが言うには、余りにも威力が高過ぎて流石にシャレにならないと、あのアンナが自らの口で言う位、それ位効いたそうだ。
うん、足での攻撃は手での攻撃と比べ物にならない位に威力があるからな。
てか爪先でケツを蹴るってそれもう、カンチョーじゃ無いだろ‥‥
しかしあのアホガキ共は懲りんなぁ‥‥
しかもその後も懲りずにやって来たらしい。
街道側で枯れ枝を拾いそろそろ行かないと流石に遅いと皆が言い、もう行こう、ちょっと拾い過ぎた等と言って居た時だった。
そうあのアホ三匹が、懲りない三匹が皆が居る所まで来たのだ。
しかも三匹共ケツを押さえて‥‥
それを見たアンナは有無を言わさず、三匹共倒したらしい。
ゴブリン討伐の完了である。
いや、出オチかよ? 何か言う前に倒すって‥‥
しかし他の子供達はアンナに喝采を送ったらしい。
皆あのアホ三匹に対してムカついてた様だ。
倒れされた三匹をそのまま放置して、こちらまで来たそうだが‥‥
まさか死んでるのではと思い聞いたが、生きてるらしい。
但し三匹とも悶絶し、大泣きしてたそうだ。
因みに三匹のエロゴブリンがその程度で済んだのは、ジゼルが止めたかららしい。
でなければ、更なるお仕置きが三匹には待って居た事であろう。
三匹にとってまだマシな状況で合った訳だが、ジゼルが止めたのもあるがアンナが怒り狂っては居なかったと言う事もあるのだろう。
確かに怒りは合ったがそれ以上に、さっさと処理を済ませて、こちらに戻って来たかったかららしい。
でなければもっとお仕置きをして居ただろうとアンナは語った。
「あのバカガキ達のせいで遅れたのかよ‥‥ つーか俺もガキの頃は大概だったが、あのアホガキ達よりは遥かにマシだったぞ、特にジョンはやり過ぎだ」
「ブライアンの言う通りだな、あのバカガキ達のせいで遅れたのか、しかしジョンは何であんななんだ?」
うん、それは多分村長の一族だからじゃないかな?
てかあれか? コイツらは酒飲むのが遅れてしまって怒ってるんだろうなぁ。
しかも無駄に待たされたってのもあるんだろうな。
「ねえねえ守長、アイツらがもし来たらどうするの? もしかしてお芋さんあげちゃうの?」
「んーな訳ねーだろ、お前達はきっちり回収作業をこなしたのにアイツらはやって無いんだぞ、寧ろ邪魔しやがったんだ、厚かましくも来やがってもやる訳が無い、てかそんなのお前達が納得出来ないだろうが」
「だよね~ その通りだよ~」
「来てもどうせクソ生意気な事を抜かしやがるだろうが、吊るすか? アホのジョンの両親には何時でも何処でも縛って良いし、簀巻きにして良いし、吊るしても良いって了解は取ってるからな」
「キャ~ 守長素敵♪ うん、簀巻きにして吊るしちゃお」
「アンナお前は人が吊るされるのは全く気にしない、いや、寧ろ奨励するんだな」
「奨励って?」
「良い事だからやれって勧める事って意味だ」
「なーんだ、なら良い事だから縛って簀巻きにして吊るそうよ」
コイツ‥‥ 本当鬼だよな、いや、他人事だし、アイツらには迷惑掛けられたから当然だって思ってるんだろうな。
「そうしたいのは山々だがなアンナ、ここには吊るす木が無い、それに筵も無いから精々縛る位だな、てか縛ったあのアホ三匹をお前達が村まで運ぶなら縛っても良いが?」
だが俺の提案はお子様達のお気に召さない案らしい。
皆が面倒だと言って嫌そうにして居た。
「一つ言っておくが、俺やブライアンやモリソン弟も運ぶつもりは無いからな、まぁあのアホ三匹が来たらアンナにやらせる、アンナ俺がやれと言ったらやれ、但し程々にだぞ」
「分かった! でも守長、チンピラブライアンが居るから多分アイツら何も言わないと思うよ、それか近寄っても来ないと思う」
「あり得るな‥‥」
「おいアンナ、俺をチンピラ言うな、てか守長も納得しないでくれ」
納得もクソもブライアンがチンピラなのは事実だからな。
まぁ良いだろう、今はコイツがチンピラかどうかの考察はいらん、てか答えはもう出てるんだ、考察は無駄な事だ。
「とりあえずは芋を焼くぞ、只でさえ焼くのに時間が掛かるんだ、先ずは落ち葉を焼いて灰にしないと話にならん、さっさとやろう」
何故かブライアンが悲しそうな顔をして居るが、最近どうも傷付き易くなってやがるな‥‥
「「キンキンキンキン」」
「コラ、そこの二人チャンバラは止めろ、危ないだろ! 止めないと芋はやらんぞ」
何でガキって、棒とか枝を持つとチャンバラをやるんだろうな?
しかもキンキンキンキンって、擬音付きでやりやがる。
まぁ良い、さっさとやろう。
「ホラそこの二人、持ってる枝をこっちに持って来い、芋を焼く為に持って来たんであって、チャンバラやる為に持って来たんじゃ無いんだからな」
さっさとやってしまおう、でないとそこら中でチャンバラが始まってしまう。
待ち過ぎたからか何か腹減って来たわ。