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異世界灯台守の日々 (連載版)  作者: くりゅ~ぐ
第3章 来訪者達
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第164話 焼き芋


カモメが鳴いている


てかうるせー コイツら季節関係無しかよ?


そんな中、我が愛猫ハンナは鶏をジーっと見て居らっしゃる。


カモメの鳴き声には一切反応せずだ。


「おいハンナ、お前襲うなよ、フリとかじゃ無く真面目に言ってるからな」


「ニャ、ニャ~‥‥」


本当にコイツは‥‥


とは言え今まで散々言い聞かせて来たし、もし襲えばどうなるか分かっても居る。


躾はバッチリしてある。


それでも熱い視線を鶏に向けるのは、猫としての本能からだろう。


だからこそ渡りバトが来た時は、本能が刺激され、大はしゃぎして居たのだろうな。


しかし寒くなって来たなぁ‥‥


ハンナも冬毛に生え変わり始めてるし、心持ち丸くなった気もするな。


ふと、枇杷が食いたいとそう思った。


前世の実家は庭に枇杷の木が生えて居た。


枇杷の木は庭に植えるな、そう言われて居たが、前世の我が家には何本か生えており、梅雨位の時期から毎年採って食べてたもんだ。


庭には甘柿や渋柿の木が生えてたし、時期には楽しみにしてたもんだ。


枇杷の木を庭に植えると縁起が悪い、病人が出るって言われてたけど、そんな事無かった。


ただ結構高くなるからそれが難点って位か?


と言っても前世の庭は結構広かったから、そんなに邪魔だって思わなかったな。


だから柿の木も結構高かったが邪魔に感じなかった。


そう言やスイートコーンも良く植えてたなぁ‥‥


種植えたり、後に苗を買いに行って植えたり。


苗から植えたやつは本当に美味かったなぁ‥‥


味が全然違うんだ、甘さもジューシーさも別もんで、アレも毎年の楽しみだった。


種は紫色に着色されてて、おどろおどろしい色してたっけ?


子供の頃は飽きもせず、毎年毎年種を植えてたもんだよ。


芋も毎年育てて‥‥


焼き芋するか?


アホ程作ったからなぁ、ガキ共に枯れ葉を集めさせて、お駄賃に甘芋をやれば良いか?


それもアリだな、うん、そうしよう。


畑にはまだ収穫していない芋もあるが、あれはそのままにしておく。


今から掘り出すのは面倒だし、まだ掘り出すのは早い、後少しそのままだ。


掘り出す時期だけ気を付けて気にしておかねばならん、収穫時期を間違えたらダメになるからな。


今はそのままにしておいて‥‥


うん、それに掘り出してすぐ食べるより、暫く置いて熟成させた方が美味いし、何より甘味が違うからな。


熟成保存してるやつは土も落として洗わなきゃいけないな‥‥


ガキ達に手分けさせてやらせるか。


干し芋も持って行って炙るのも良いな。


どうせ焼き上がるまで時間が掛かるんだし、ちょっとしたおやつ代わりにもなる。


ガキ達は近くで遊んでる奴等を集めれば直ぐ準備は出来るな。


昼飯が終わって、今丁度遊びに出てる奴等は幾らでも居るんだ、直ぐ人手は集まる。



おっ、居る居る、てかアンナとジゼルが居るじゃないか、丁度良い、二人に頼むか。


「おい、ジゼル、アンナ」


「守長どうしたの~? 私の顔が見たかったの?」


「アンナ突っ込まんぞ、まぁ良い‥‥ ジゼルに話す、実はだな‥‥‥‥‥‥‥‥」


「あー 焼き芋ですか、多分直ぐ集まると思います」


「どの位集まる? 流石に余り人が多すぎると芋が足りなくなるからな」


「二十人位は集まるかと‥‥ 昼から家の手伝いをする子が今日は多いみたいだから、それ以上は集まらないと思います」


二十人か‥‥


三十人位は集まると思ったがそんなもんか?


二十人なら妥当ではあるな、てか十分だな。


「ジゼル、来る奴等には背負い籠を持って来させてくれ」


「はい、分かりました」


「ねえねえ守長、私は?」


「お前も背負い籠持って来るんだよ!」


コイツは話を聞いて無かったのか?


「芋食いたくなかったら別に良いんだけど?」


「嫌だ! 私も食べたいよー」


「なら背負い籠持って来い」


コイツは‥‥


「お前なアンナ、枯れ葉が無いと焼けないだろ?」


「そうだけど‥‥ 守長は何するの?」


「準備だよ、穴掘ったり、芋用意して洗ったりしないといけないんだ、てかお前もジゼルに付いて行け」


「何で?」


「護衛だよ 護衛、アホとか、ガタガタ抜かす奴が居たら、てかお前が居ればそんなアホは居ないだろう? 大体だな、背負い籠無かったら話にならんわ、お前まさかジゼルに背負い籠二つ持って来させるつもりか?」


「うーん‥‥ 分かった」


本当にコイツは‥‥


どうせ俺と一緒に居たいとかそんなんだろうけど、準備すんのに周りをうろちょろと纏わり付かれたら邪魔だ。


あっ! そうだ‥‥


「ジゼル、変‥‥ ジルが来たいと言っても断固拒否してくれ、あんまガタガタ抜かす様ならマーラに何とかして貰ってくれ」


「えっ? 分かりました?‥‥」


うーん‥‥ ジゼルの奴何でって顔してるが、理由の説明は出来ないな。


だって教育に悪いから言えねーわ。


と言っても、その手の話はジゼルも聞いてる年齢ではある。


性教育と言えば生々しいが、必要な知識でもあるし、村では、いや、この世界でも普通に教えている。


前世でもそうだが、必要な知識だもんなぁ‥‥


とは言えだ! あの変態(ジル)の性癖を知るのはジゼルにはまだ流石に早過ぎる。


知識が一足飛びどころかだからな。


汚れ無きジゼルで居て欲しい。


さて、何人来るかまだ分からんが、芋は六十本程用意しておけば良いだろう。


一人につき二本に、プラス二十本位あれば足りなくなる事は無いかな? 余る位で丁度良い。


持って来るのが大変だな、それにシャベルと道具諸々も持って来なきゃな。


ここまで持ってくんの面倒だな‥‥


とは言え灯台の中では出来ないしなぁ‥‥


火気厳禁とまでは言わないが、あまりよろしくも無いからな。


それに灯台の敷地内でやると山頂灯台側で緊急連絡かって、誤解されるかも知れないし。


普段から煮炊きしてるし、そん時の煙はどうなんだって話だが、それはそれ、これはこれだからな。


流石に狼煙とただの煙を見間違う事は無いと思うが、念の為だ。


それに火事になったりしたら大変だ。


勿論そんなヘマはしないが、気を付けるに越した事は無い。


うん、大体だ煙が灯台内に入るとじい様達が困る。


外でやるに限るな。


~~~


流石に芋六十本に、シャベルとタライ二つに、バールと諸々といっぺんに持って来たのは失敗だったわ。


二回に分ければ良かったかな?


端から見たら、夏休み前に荷物を一切持って帰らず、終業式の日に一気に持って帰ってる小学生みたいに見えただろうな。


と言っても俺は少しづつ持って帰ってたがな。


さてと、ガキんちょ達が来るまでに準備を済ませておくか。


二メートル四方で、深さは二十センチ位掘れば良いかな?


うん、この辺りはまだ土が柔らかいな、それに石もあまり無さそうだ。


だからこそこの場所を選んだんだが、石があってもバールを使って掘り出すから問題無い。


とは言え時間が掛かりそうだ。


でもなぁ、二メートル四方位はいるだろうしなぁ。


芋を六十本入れるんだ、その位は一応はいるはずだ。


あんまり狭いと上手く焼けないだろうし、やっぱその位は掘らなきゃいけないよなぁ‥‥


深さも‥‥ 二十センチ位は必要だが‥‥


結構手間ではあるな‥‥


空気の取り入れ口もいるよな?


枯れ落ち葉は上からある程度踏みしめて圧縮した方が良いな。


ガキ達のうち五人位は落ち枝を拾わせるか、そんで二人位は葉っぱをむしらせて。


と言ってもいけない葉っぱじゃ無いんだが、葉っぱっていけない意味で取られるから気を付けないと。


この辺りには自生して無いが、地域によっては自生してる所もまだ極稀にあるから、気を付けないといけない。


聞いた話では南方諸島産の物に比べれば、質がかなり落ちるらしいが‥‥


酒で十分幸せになれるのに、やる奴の気が知れないわ。


しかし遅いな?


まさか二十人では無く、更に増えるのか?


止めてくれよ、又灯台に芋を取りに行かないとならなくなるじゃないか。


でもジゼルの読みが外れる事は無いはずだ。


まさか まさかだが、変態がゴネてるとかじゃないんだろうな?


いやいや、多分ガキ達が準備に手間取ってるだけだろ。


大丈夫だ、奴がゴネてたとしてもマーラえもんが何とかしてくれる。


そうだ、大丈夫だ。


あっ! 穴掘るのも大事だが、芋の土を落とさなきゃ。


タライに入れて、お湯を張って暫く置いとかないといけないな、その方が土も落ちやすい。


先にやってから穴掘るか‥‥


しかし遅いな、逆に人数集まらなかったりしてんのかな?


昼飯終わって直ぐだもんなぁ、腹いっぱいだし芋食べたいって思って無かったりか?


でも準備もそうだが、焼くのもそこそこ時間掛かるから、丁度おやつ辺りの時間に焼き上がるんだが、その辺も細かく伝えれば良かったかな?


最悪俺とジゼルとアンナの三人で、落ち葉拾いと枯れ枝拾いをしなきゃならんな‥‥


それと葉っぱもだし、穴掘りも‥‥


それちょっと嫌だなぁ。


もしそうなら、穴はもう少し小さくても良いぞ、掘り損になってしまうな。



ん? やっと来たか? 結構居るな。


んー? 何でブライアンとモリソン弟が居るんだ?


しかも二人共、背負い籠持ってやがるぞ。


腰に鉈みたいな物をぶら下げてるし‥‥


アレ? あいつらもお芋さん食べに来たのか?



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