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異世界灯台守の日々 (連載版)  作者: くりゅ~ぐ
第3章 来訪者達
157/214

第157話 時の流れは戻らない

何時もお読み頂きありがとうございます


来年も宜しくお願いします


それと明日1/1は更新し一週間程お休み致します


お正月休みを頂きたいと思います


再開予定は一月九日の月曜日になります


「ねえねぇ、守長は剣は使わないの?」


「何だよいきなり? 剣? 短剣は少しは使えるし使うが、剣なぁ‥‥ 剣は一応使えるけど本当に一応だな、剣より短剣のが使える、てかどうしてそんな事を聞く?」


「だって守長は棒使うでしょ? ホラ、長い棒」


「長い棒ってお前‥‥」


確かに長い棒だけど、先っちょにも付いてるだろうが。


薙刀とは言わんがグレイブって言えよ。


この世界でも俺は薙刀を使って居る。


と言っても薙刀って言っても通じないから、グレイブモドキって言ってるが、長い棒ってお前‥‥


「なぁアンナ何で憑いて‥‥ 付いて来るんだ?」


「えー 良いでしょ、ねぇねぇ守長は(かぎ)付きの鉄の短い棒使うでしょ? アレ教えてー」


「お前、鈎付きの短い棒って‥‥ てかダメ、教えない」


「何で? 何でなの?」


「前にも言っただろうが、お前に教えるとロクな事に使わないから、てか悪用するだろうから、うん、無理だな」


「しないから~ ねえ守長~」


「無理」


アンナにコレ以上何かを教えてしまっては、更なるパワーアップに繋がってしまう。


そして何よりコイツは必ず悪用する。


大事な事だからもう一度言うが、絶対、必ず、間違いなく悪用する。


今ですら手が付けられないのにコレ以上の強化は危険だ。


あのチンピラ筆頭のブライアンですら、怪我を覚悟しなきゃ止められないんだからな。


そんな危険な事を、将来の厄災となる様な事を俺がするはずが無い。


「何でなの? 守長今フィグ村の人に教えてるでしょ? 何で私はダメなの?」


「さっき言っただろうが‥‥ おいアンナ、あんまゴネてると分かってるよな?」


「・・・」


この前久々に簀巻きにして吊るしたから効果覿面だわ。


しかしアンナの奴まだ不満そうだな‥‥


残念ながらと言うべきか、コイツには絶対、決して教えない。


コイツは筋が良いし、本当に良いモン持ってるからな。


ちゃんと教えればかなりの使い手になるだろう。


だからこそなんだ、アンナが悪用した場合、間違いなく俺がケツ拭きをしなければならない。


今でさえアンナが何かやらかした時は俺を呼びに来られる。


これ以上コイツのケツ拭きは勘弁して欲しいものである。


「大体お前、武術を悪用しないとして、何に使うんだよ? 軍人にでもなるつもりか?」


「違うけど‥‥」


「ならいらんだろ? 女性の貴人を守る為に女の軍人や騎士も居るし、必要ではあるけど、大体が騎士爵家の二女、いや、三女や四女や五女が多いんだ、二女でもたまに居るけど基本的に三女から下の奴がなるもんだ」


「守長もそーゆー 人知ってんの?」


「そりゃな、帝城で働いて居たんだ、知ってる奴は居るに決まってるじゃないか」


と言っても女騎士や女軍人だけで無く、女官吏にも知り合いは居る。


騎士爵家では武官だけで無く官吏になる奴も、いや、女も多い。


例えばあのロリババアがそうだ。


奴は三女だが官吏の道を選んだ。


とは言え普通は下級官吏を目指すんだが、奴は特級官吏になった。


特級官吏は女もそこそこ居るが、奴の様にあの若さで合格する奴は滅多に処か極稀だ。


と言うより学園に在学中に合格する等、長い帝国の歴史の中でも極々極々稀である。


そしてあの歳でと言うならば、俺の歳での合格は更に少ない。


それこそ数える位しか居ない。


ましてや首席と次席が女性である。


俺や同期の合格者達が如何に珍しいか、いや、異端と言っても良い程かと言うのも分かろうと言う物だ。


俺や同期達が周りから注目され、色んな意味で脚光を浴びたのは当然だったが、それがどの様な意味を持つのか、あの時はまだ分からなかった‥‥


「ねえ守長、今から何処に行くの?」


又コイツはいきなりだな。


「アリーばあ様んトコだよ」


「何しに行くの~?」


「逢い引きだよ」


「えっ?‥‥」


「お前は何本気にしてんだよ、んーな訳無いだろ」


「だって守長、真剣な顔で言うから‥‥」


うん、言ったね、でも流石にアリーばあ様は無いだろう? 熟女過ぎだ。


あまりにも熟し過ぎはちょっと‥‥


「冗談をマジに受けとるな、てかお前は俺を何だと思ってるんだ? まさか女に見境無いとでも思ってるのか?」


「でもアリーばあ様は昔は美人だったんだよ」


「知らんわ、昔って何時の話だよ? 大昔過ぎだろうが」


「守長は大人な女が好き何でしょ?」


「おいアンナ、大人と婆さんは全然違うからな、お前マジで‥‥ 変な噂が立ったらどうしてくれるんだ?」


本当、只でさえロリコン疑惑と言う不名誉な噂があるのにコイツは‥‥


てか原因はコイツなんだが‥‥


しかしあれだな、まさかと思うがコイツが噂をバラ撒いてるんじゃないだろうな?


「守長はこの前船で来た人が好きなの?」


「お前又いきなり何を言ってんだ? と言うかジゼルに聞いて無いのか?」


「えっ? 聞いて無いよ~」


「又俺は一から説明しないといけないのか? まぁ良い、あの人は‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」


~~~


「そうなんだ? じゃあ、守長の婚約者じゃ無いんだね?」


「だからそう言ってんだろうが、本当もう‥‥ 皆して聞いて来やがってからに、てかアンナ、何回も同じ話をするのは俺は嫌いだ、大事な事だからもう一回言う、俺は キ ラ イ だ!」


「わ 分かったよ守長」


「次聞いて来たら吊るす」


「・・・」


こうでも言わないとコイツは延々と聞いて来る。


人のプライベートに踏み込むには、ある程度の関係ってのが必要だからな、その辺りの区別は必要だ。


「お前ら本当なぁ、次にあの人が来る時はいちいち見物に来るなよ」


「えっ、又来るの?」


「来るんだよ‥‥」


まだ未定だが来るのは確定だ。


次こそは只の楽しいお茶会にしたいもんだよ。


~~~


「おや守長、どうしたね?」


「アリーばあ様の怪しい薬を買いに来たんだよ」


「守長、アタシはそんなの扱って無いからね」


「ならませガキを黙らせる薬は無いか?」


「何で欲しいか理由も分かってるけど、あえて言わないでおくよ」


アリーばあ様め、アンナをチラチラ見ながら言ったらバレバレだと思うが、当の本人は全く気づいて居ないが、アレは自分がませガキだって自覚がカケラも無いからだろうなぁ‥‥


マジでアンナの奴無敵だよ。


「うん、言っても無駄だからな、それより何時もの薬茶をくれ」


「何時ものね、ちょっと待っといておくれ」


アリーばあ様の薬茶は身体に凄く良いし、味も結構良い。


薬草を煎じた物だから漢方の様なイメージだが、実際飲んでみると漢方の独特の匂いや味はほぼ無く、結構香り高いし美味い。


使っているとおぼしき、推定した材料から考えてあの味になるのは、間違いなく怪しい薬が混ぜてあるからだろうとそう思い、毎回ばあ様に聞いて居るが未だに認めやがらない。


作り方を聞いても飯の種だからと言って口を割らないので、未だに疑惑は解消されて居ない。


飯の種と言われれば、それ以上は追及出来ない。


とは言え薬茶があんなに良い味になると言うのは、どう考えても怪しい薬が混ざってるとしか思えない。


「守長お待たせ」


「アリーばあ様、さっきアンナから聞いたが、昔は美人だったって聞いたんだが?」


「そうだね、でも今も美人だろ?」


「まぁそれは置いといてだな‥‥」


「失礼だね守長、で? それがどうしたんだね?」


「昔から怪しい薬を使ってそうなったのか?」


「本当に失礼だね‥‥ そんなの使って無いし、アタシは元からだよ」


アレ? これってマジなのか?


言い方に全く淀みやブレが無かったぞ。


当たり前の事として、当然だって、心から言ってるじゃないか‥‥


ちょっとした話のネタに、軽口として言っただけなのに、マジなのかよ‥‥


「守長が今何を考えてるか何となく分かるけど、本当失礼だね」


「自信満々じゃないか、おい、何か見てみたかったなぁ、昔のアリーばあ様を」


「見せたげようか?」


「えっ? どうやって?」


アリーばあ様もしかしてボケたのか?


この世界にはカメラが無いし、当然写真も無いんだぞ。


どうやって見せるつもりだ?


「何をそんなに驚いてるのか分からないけど、絵姿に残してるんだよ」


「あっ!‥‥ 絵か‥‥」


「持って来るからちょっと待ってておくれ」


俺は何でそんな簡単な事に気付かなかったんだ?


いや、絵はかなり高い。


平民でそんな事が出来るのは、上流階級の人間だけだ。


いくら薬師とはいえ、そう簡単に絵姿に残せる物じゃ無い。


金がかなり掛かるんだ。


やはり怪しい薬を売りさばいて居るのでは‥‥


「お待たせ、これだよ」


「わー! アリーばあ様美人だね~」


「はっ? ちょっと待て! 美人過ぎるだろ、てか美化し過ぎじゃないか?」


「本当に失礼だね‥‥ コレは美化も修正もしてないよ、昔のアタシのありのままの姿さ」


はぁ~~~?


いやいやいや、美人過ぎ、いや、美人と言う言葉ですら陳腐になる。


それ位に美しい‥‥


傾国、まさにその言葉がしっくり来る。


アマンダと変わらない程、部分的には一部では(まさ)ってすらいる‥‥


「いやいや、流石にこれは‥‥ アマンダ並じゃないかよ、パーツの一部分では勝ってすらいるぞこれ」


「だから言ったじゃないのさ、アタシは美人だったんだよ、まぁ今もだけどね」


「今は兎も角この時の美しさ、正に傾国だぞ‥‥ これがマジならな」


「本当だよ、偽り一切なしでアタシだよ、でも傾国ねえ‥‥ 久々に言われたよ」


このババア‥‥ マジか‥‥


すげえわ本当、只なぁ‥‥


時の流れは残酷だったか?


今が正にそうだな、ババアになれば崩れる。


とは言えアリーばあ様は確かにババアだが、小マシな顔つきではあるし、面影は確かにある。


残念だよ、この頃に出会ってたら口説いて居たんだがな。


「なぁ、この頃のアリーばあ様、俺好みなんだが、なぁ、怪しい薬使ってこの頃に戻ってくれないか?」


「無理だよ、薬師だからって何でも出来ると思われたら困るよ、時の流れは戻らないのさ」


「だよなぁ‥‥ アマンダ並に美しい奴なんて初めて見たわ、パーツの一部分では勝ってるが、良く見ると全体的な造りはアマンダが上だな」


「まぁねえ、あの子も整った顔してるからねえ、妙な色気があるから、それを除いたらどっこいどっこいじゃないかね」


「否定出来ないのが辛いとこだな‥‥」


花が美しいのは何故か?


何時か枯れるからこそ、その美しさがより引き立つだったかな?


だからこそ作り物の美しさは意味が無い。


美学が無いんだよな‥‥


「守長、アタシを見詰めてどうしたんだね? もしかしてホレたのかね?」


「それは無い、後五十は若返ったら考えても良いが、今のアリーばあ様はちょっと‥‥」


アリーばあ様の下らない冗談にマジで答えてしまったわ。


しかし‥‥


アマンダも何時かこうなるのか?‥‥


想像が付かないな。


枯れて、いや、散る美しさがある花もある。


桜がそうだ。


アリーばあ様の絵姿の頃が薔薇なら、アマンダは桜だな。


それも夜桜だ。


幻想的な美しさ、散り際迄も美しさがある。


美学ある美しさ、幻想的な美しさ。


そうだな、アマンダは幻想的な美しさと儚さがあるんだよな‥‥


何でだろう? アマンダに会いたいと、ふとそう思った。


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