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異世界灯台守の日々 (連載版)  作者: くりゅ~ぐ
第2章 バハラと追憶と彼方
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第141話 嵐の前


女二人に見つめられて居る


熱い視線だ しかしそこにあるのは興味だろう


本当、女ってこう言う話が好きだな‥‥


しかもマシュマロを作りながら、手も一切止めずにだからな。


とは言え今はお手てを止めて俺を見つめて居るが、話し出したら又手を動かし始めるんだろうな。


「今度来る御令嬢はポートマン商会のお嬢さんだよ、知ってるか?」


「知ってるも何も有名じゃないのさ」


「そうだよ守長さん、そこってアマネを売ってる店じゃない、無茶苦茶有名だよ、女で知らない何てモグリだって言われるよー」


「そうだねぇ、女には特に有名だねぇ‥‥ と言ってもポートマン商会は昔から有名だから男とか女関係無しで皆知ってるさね、最近は結婚する時に贈る下着で有名だけど」


だよな、バハラ近郊でアマネを扱ってるのはポートマン商会ってのは有名だ。


バハラでもポートマン商会以外にアマネモドキの下着を売って居るが、所詮はモドキで猿まね、二番煎じでしかない。


ポートマン商会は自家でも当然作って居るが、帝都のサリバン商会からも仕入れて居るし、ポートマン商会だけで販売してるアマネもある。


俺がデザインした物をポートマン商会、正確に言うならばマデリン嬢に渡しているからだ。


マデリン嬢も俺に感化されたのか、自分で商会を立ち上げ商売をして居る。


アマネブランドの下着のデザインとアマネの名前の使用料は当然貰っており、結構な利益を上げて居る様で、俺に対する配分も年々増えてきている。


マデリン嬢は商売人としてかなり有能だ。


本人は

『これで嫁に行けと両親に言われ無いでしょうし、もし言われても独立してやって行けますわ』


と言って居る。


その心は俺の嫁以外にならないし、俺以外の奴に(とつ)げと言われても両親に拒否出来るだけの下地が出来たと言うところだろう。



「アマネはねー 私達の憧れ何だよ、アレは結婚するって意味にもなってるんだー アマネ貰いたいって言うのは結婚したいって意味だし、アマネ貰ったは、それだけで結婚するって事だって通じるしね」


「リタ、フィグ村も行商人にアマネを注文するのが多いのか?」


「そうだね、でもバハラに買いに行く事もたまーにだけどあるよ、私もね、この前買いに行ったよ、友達が結婚するから行ったんだけど‥‥」


「どうした? 何か言いにくい事か?」


「そうじゃ無いんだけどね‥‥」


リタの奴言いにくいってより、不機嫌? ちょっと嫌そうな顔だな、何でだ?


「どうしたリタ? 言いたくないなら別に無理に聞かないぞ」


「違うの、ちょっと思い出しちゃって‥‥ 店で嫌な事が合ったの」


「と言うと? 店員の接客態度が悪かったのか?」


「そうじゃ無いの、店員は親切だったし愛想も良かったし、お金? 予算‥‥ うん、持って行った予算内でどれが良いかとか、説明も親切丁寧だったの」


「?」


なら何の問題があるんだ? 店員の接客態度に問題が合った訳では無いみたいだ、マデリン嬢がその辺りは徹底して居るんだろう。


アマネブランドは決して安くは無い、扱ってるマデリン嬢の店は所謂高級店だ。


高級店にありがちなスカした様な、客を馬鹿にした様な接客はあの店には決して無い。


もし万が一その様な店員が居たとしても、次の日には居なくなる。


覆面調査員が店員の接客態度をチェックをして居るし、常に接客態度に関しては目を光らせており、又、接客態度が良い者には特別ボーナスが出る上、接客態度が良好な者は給料アップにも繋がる。


その為、店員達は相手が誰であれきっちり接客し、相手を不快にさせる事は無い。


その辺りの接客マニュアル等は俺がマデリン嬢に教えた。


商売をしたいと俺に手紙で伝えてきた時にアドバイスしたのだが、マデリン嬢は愚直と言える程に俺からのアドバイスを守り今に至る。


だからあの店はかなり評判が良いし、それは売り上げにも現れている。


リタの表情から一瞬、接客態度の悪い店員が居たのかと思ったがどうやら違う様だ、なら何故だ?


「リタ何があった?」


「うん、友達が今度結婚するからね、私達五人で買いに行ったの、そしたらね着飾った他の客に笑われたの、あんな格好で良くこの店に来れるって‥‥ 私達は村で普段着てる服で行ったんだけどそれが可笑しかったらしくって、それで馬鹿にした様に笑ってきて‥‥」


「あー‥‥ たまに居るなそんな奴、勘違いした奴か‥‥ あの店はドレスコードも無いし、誰でも気軽に入れる店ってのが売りだが、客の中には何か勘違いした奴も居るみたいだからな、確かに高級店ではあるが、店はお客様に貴賤は無し、入店に際し服装の規定も無いんだが、客が勝手に決めつけ馬鹿にする奴もたまに居るらしいな」


「うん、そりゃ私達は綺麗な格好じゃ無かったけど、汚い格好でも無かったのに何で笑われて馬鹿にした目で見られなくちゃならないのって、何か悔しくって‥‥」


ありがちな話だな、あの店は相手が誰であれ差別しないし、相手によって接客態度も変えない、だが客の中には勘違いして勝手に店に相応しく無い等と言う奴は居る。


確かに見た目や服装は大事だし、一種の判断材料になるのも事実だ。


残念ながら人は見た目で決まる、そして見た目は大事でもあるし、身分を示す物でもある。


しかし、あの店はドレスコードもなければ、入店に際しての決まりは無いんだから、ソイツらが間違って居る。


だがその辺りはこの世界でも、前世でも良くある話なんだよなぁ‥‥


結局それってマウント取りたいだけの、自己顕示欲と優越感を示したいだけなんだ。


とは言え、んーな事されたらムカつくわな‥‥


「リタ、ソイツらはどんなツラしてた? リタ達を笑える程美しかったのか? お前達を馬鹿に出来る程可愛らしかったのか?」


「えっ? うーん‥‥ 別に大した事無かったかな? 不細工じゃ無かったけど‥‥ あっ! 化粧は何て言うの? そうそう、厚化粧だったかも」


「ならな、その様な時は怒ったりせず、相手の顔を見て、それもマジマジと見てだな、鼻で笑ってやれば良いんだ、そしたら勝手にソイツらは不愉快になって、勝手に怒り出す、そしたらもう一回鼻で笑ってやれば良いんだ」


「えー でも守長さんそれ何か感じ悪くない?」


「何言ってんだよ相手が先にやって来たんだ、ならこちらも多少はやり返さないと、相手は調子に乗って更に不愉快な事をしてくるぞ」


「あー‥‥ 確かにそうだね、アイツらやりそう」


一切反撃せず黙って居たら、そう言う奴は必ず調子に乗ってやらかしやがるからなぁ、残念ながらそれも又、人間の闇の部分だ。


たまに居るからなぁ、自分が常に相手より上に居ないと安心出来ない奴ってのは。


何がタチ悪いかと言うと、その事に自分自身で気が付いて無いって事なんだ、だからナチュラルに相手を小馬鹿にしてくる奴は一定数いる。


そしてその様なアホは反撃されると意外と脆い。


一回完膚なき迄にキャン言わされたら二度と立ち直れない奴も割と居る。


反面懲りずに何度も同じ過ちを繰り返し、周りから馬鹿にされる奴も居るな、しかしマデリン嬢の店は客が勝手に他の客を選ぶ店になりかけてるのかも知れない、今度ここに来た時に一応伝えておくか‥‥


「まぁそんな奴は何処にでも居るさね、所で守長、アタシは手伝いにお呼ばれされてありがたいけど、何でアタシだったのかね?」


「何でだ? ありがたいと思ってるんだろ?」


「そりゃね、手間賃に銀貨一枚も貰えるんだ

ありがたいよ、ただアマンダじゃ無く何でアタシなのかと思ってねぇ‥‥」


「何でそこでアマンダの名前が出て来るのか分からんがまぁ良いだろう、何でマーラかと言うと村に人を、手伝いを呼びに行く時たまたまマーラが居たからだ、しかし何故いちいちそんな事を聞く? 何だマーラ、お前まさか便所に行って手を洗わない様な女なのか?」


「何でそうなるのさ? アタシを何だと思って‥‥ アタシはちゃんと手は洗うから大丈夫だよ、しかしそんな理由で‥‥ たまたまアタシが居たからなんだねぇ」


「料理経験が合ってちゃんとしてくれるなら誰でも良いんだ、後は便所に行ってちゃんと手を洗う奴なら言う事は無い、マーラ一応聞くが‥‥」


わざわざ言うって事はまさかマーラの奴め、手を洗わないって事は無いよな? 作る前に二人にはクリーンを掛けたがまさかな?‥‥


「守長、手を見るのは止めとくれ、アタシはちゃんと手は洗ってるから、この子に誤解されるじゃないのさ」


「守長さん、私もちゃんと手は洗ってるからね、本当だよ」


「二人を疑って居る訳では無い、念の為に聞いただけだ、念の為にな」


と言う訳で二人にはクリーンを掛けた、ついでに手にも集中して掛けたのだが、何故か二人に抗議された。


深い意味は無い、何となく二人に清浄魔法を掛けたくなったと言ったが、二人からの抗議が激しくなったのは何故なのだろう?


清浄魔法って時々何故か掛けたくなるのは何でなんだろう?


今日はそんな気分だったんだ、そんな日もあるさ。


何気ない日常の一コマ、今日と言う日を表すとその表現がしっくり来るだろう。


嵐の前のささやかな日常だ、とりあえずもう一度二人にクリーンを掛けた。

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