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異世界灯台守の日々 (連載版)  作者: くりゅ~ぐ
第2章 バハラと追憶と彼方
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第139話 籠の鳥の官吏と自由なツンデレ


皆さんお待たせ致しました、お待たせし過ぎたかも知れません。


只でさえボケー としてる作者の頭が更にボケーっとしてしまってました。


まだ少し熱がこもってる様な、頭がボケーとしてる気もしますが気にしない事にします。




「べ 別にアンタの為じゃ無いんだからね」


「・・・」


コイツはいきなり何を抜かしてるんだ?


ツンデレか? 違うな、それより何故コイツはそのセリフを知って居る?


俺ですら知ってる前世でも有名なセリフじゃないかよ。


人が釣りしながら考え事してんのに、考え事の内容はマデリン嬢の件だ、そろそろこちらに来る。


どうしたもんかと思ってる時に、何でツンデレなんだよ?


しかも何の脈略も前フリも無く、いきなりそんな事を言われても、俺はどう答えれば良いんだ?


突っ込む気にすらならないんだが?


「暇だからたまたま来たらアンタが居たんだからね! 勘違いしないでよね」


「・・・」


あー そうかそうか、なるほどなるほど。


「お前熱があるんだなアンナ、とりあえず家帰ってクソして寝ろ、な?」


「何でよ? 話が違うよ守長、大体私はそんなのしないもん」


「知らんわ、何の話をしてんだお前? それとそんなのしないってなぁ‥‥ お前は人間じゃ無いのか?」


「私しないもん! それより忘れたの守長? この前昼間っから飲んだくれてる時に教えたでしよ?」


はぁ?・・・


あー そう言えばあったなそんな事、しかし‥‥


「お前なぁ、人聞き悪い事を言うなや、あの日は休みの日で、だからちょっと飲んでただけだろ? それを飲んだくれてたってお前は‥‥」


本当に失礼な奴である、休みの日に少しだけ酒を飲んだだけじゃないか、それを飲んだくれてた何て知らない奴が聞いたら思いっきり誤解されるだろうが。


本当、何て事をコイツは抜かしやがるんだよ。


「祭りの日でも無いのに昼間からお酒飲んでるのはね、ダメな大人なんだよ守長」


「だから俺はあの日は休みの日だったっていってるだろうが、あのなアンナ、俺は休みの日でも基本村から出る事も出来ないんだぞ、そりゃ隣村位なら別に良いんだが、基本的に村からも出る事が出来ない可哀想な官吏なんだ、休みの日にたま~にちっとばかり昼間に酒を飲む位しか楽しみは無いんだ、それに休みの日に毎回昼間っから飲んでる訳でも無いんだぞ、あの日はたまたまだ」


本当、不便で仕方ない、灯台守長である俺は休みの日であっても遠出する事が出来ない。


村から出るにはいちいち申請し、承認されなければならないんだ。


隣村のフィグ村であるならば黙認されて居る。


但し灯台守のじい様達には伝えてから行かなければならないがな。


ここは一応(・・)は監視の目が無い、なので煩く言われる事も無いが、それでもだ。


それらの移動制限は俺だけで無く、前任者の守長もそうだったし、その前の守長もそうだった。


灯台守としての仕事として、緊急時における連絡要員としての業務もあるので、休みの日であっても遠出に関しては制限も、決まり事があるのは仕方ない。


俺にしか扱えない物やカギ、そして命令権や権限があるからその責任者に連絡が付かない、又は行方不明なのは問題だからな。


フィグ村に行く事に関して黙認されているのは単に近いからだ、なのでフィグ村の南にある村には行く事が出来ない。


そう、俺はハルータ村に捕らわれた、いや、囚われた籠の鳥なのだ。


可哀想な可哀想な官吏さんである。


そんな可哀想な籠の鳥ならぬ籠の官吏さんが、休みの日にちょっとばかし酒を飲む事が悪であるのだろうか?


そんな事は無い、ベロベロになる迄飲んで居る訳じゃ無いんだし、多少は酒を飲んで楽しむ位は許されるべきだ。


大体この村は娯楽が無いと言っても良い。


前世の様にテレビやネット、フルダイブVR等があれば話は違ってくるが、そんな物は当然無い。


ここでは、今みたいに釣りしたり、ちよっと山に行き山の恵みを探しに行ったり位のもんだ。


畑仕事や養蜂も必要だからでは無く、暇潰しでやっている様なもんだからな。


そんな無い無い尽くしのこの地で、昼間っから酒を飲んだくれて等と抜かしやがってからに、酷い風評被害、いや、名誉毀損である。


大体だ、ダメな大人ってお前‥‥


そりゃ 俺も立派な大人と言えないかも知れない、

だが少なくともダメな大人でも無いはずだ。


「アンナお前は本当、人聞き悪い事を言うなや、村でも休みの日に酒飲んでる奴なんて幾らでも居るだろうが、しかもそのツンデレ発言は何だよ? 言えば良いって訳じゃ無いからな」


「えー でもこう言えば男は喜ぶんでしょ? そう言ってたのに‥‥」


「言われたら皆が喜ぶ訳じゃねーよ、そう言う奴も居るって話をしただけだろ? お前の勘違いだ、勘違い」


「なら守長はどんな事言われたら喜ぶの~?」


「どんなって言われてもなぁ、それまでの関係性、お互いがどんな風に一緒に過ごして来たかによるし、一概には言えないな‥‥ でも一つ言っておくが俺はツンデレはそんなに好きじゃ無いからな、それこそ勘違いするなよ別に好きじゃ無いんだからな」


「そう言う前フリじゃ無くて?」


「違うわ、お前は本当‥‥」


飲んでてテンションが上がってたとは言え、アンナにいらん事を教えてしまったのは俺の失敗だな、これから気を付けなければならない。


「なーんだ、守長が喜ぶと思ったのに、ねえねえ何が釣れたの?」


「今日はまだ一匹も釣れて無い」


釣れたのはチンピラ少女のアンナだけである。


そんな事を言ったら又コイツはプリプリ怒るから言わないがな、しかしコイツは毎回毎回飽きもせず俺に寄って来る。


今日は一人で釣りしながら色々考えたかったんだがなぁ、そう言えば‥‥


「なぁアンナ、お前釣りしないけど何でだ?」


「何でって、面白く無いんだもん、釣れたら良いけど釣れないと全然面白く無いし、ねえ守長は何で釣れないのに釣りしてんの?」


「釣りはそう言うもんだ、魚が掛かるその瞬間の為にするんだよ、待つのも釣りの楽しみ方の一つだ」


「ふーん」


コイツ関心が無い事にはとことんだな、分かりやすいと言うか、アンナの場合は釣るより素潜りして捕まえるのが性に合ってるんだよな、実際アンナは素潜りは得意だし。


「ねえねぇ、守長は強いよね、今までケンカ負けた事無いよね? どうしたらそんなに強くなれるの?」


「お前なぁ又なんの脈絡も無く話を変えて、確かに俺は弱くは無いけど強いとも言い切れ無いなぁ‥‥ 負けた事はあるし、ケンカじゃ無く試合でだがな」


「えー 本当?」


「本当だ、残念ながらな」


うん、完膚無きまでに負けたしな。


しかもあの子の妹弟子達にまで紙一重の差とは言え負けたし、あれで良く分かった、上には上が居ると。


これでもし俺が最強だなんてほざいたら、道化以下になってしまう。


「ねえねえ、守長は勝てないならどうするの? 勝つまでやるの?」


「お前は脳筋かよ? でもそうだな‥‥ 負けたのが悔しかったら鍛え直して再戦も一つの手ではあるな、でも命を懸けた戦いであれば逃げるな」


「えっ? 守長が? 逃げちゃうの?」


「お前は俺を何だと思ってんだ? 逃げるのも一つの手だし、それを考慮するのは当然だ、生きてりゃ再戦の機会はあるんだ、でも死んだらそれまでだぞ」


何がなんでも生き残れ、前世の我が家の教えだ。


勝てないと判断したら逃げる。


皆勘違いしているが、武術とは身を守る為にあるのであって、自らの武を誇る為にある訳じゃ無い。


戦国時代ならいざ知らず、平和な世の中では武なんてのは基本的に役に立たない。


とは言え武を誇るのではなく、身を守ると言う意味では必要であるし、意味はある。


結局は自分の身を守るのは自分であって、人の助けを期待するのは危険な賭だ。


こないだの街道での盗賊騒ぎの時も戦う力があったから無事だったが、戦う術が無かったら蹂躙されて居ただろう。


もし力が無く、誰かの助けを期待したとしてタイミング良く助けが必ず来るとは限らないのだから。


「守長より強い人が居る何てどんな人なの?」


「どんな人なぁ‥‥ 才能があるのに努力する事が出来て、強くなりたいって気持ちが誰よりも強い、その意志を常に持ってる人だよ」


「? うーん‥‥ 分からない‥‥」


「大人になれば分かる様になるさ」


「私、子供じゃ無いもん」


「そう言ってる間はまだまだ大人では無いな」


残念ながらと言うべきか、自分がガキって認める事が出来て初めて大人になれる第一歩だ。


だが中々どうして、それを認める事が難しい。


一回認めてしまえば楽になるし、少しだけだが視界も広くなるし、少し先も見える様になるんだが‥‥


「ねえ守長、どうしたら大人になれるの?」


「自然となるもんだが‥‥ そうだな、子供に戻りたいって思う様になったらもう大人だな」


「もう、私は真面目に聞いてるのに」


コイツ又プリプリしながら怒ってやがる、とは言えなぁ‥‥


「俺は真面目に言ってるぞ、良いかアンナ、子供はな大人になりたいって言って、大人は子供の頃に戻りたいって言うんだ、そんなもんだよ、お前も歳を取れば嫌でも分かる様になる」


「分かんな~い、何で子供になりたがるのが大人なの?」


「大人ってそう言うもんだ、さっきも言ったがお前もいずれ分かる日が来る、そしてその時は俺が言った事も思い出す」


だが決して戻る事は出来ないんだが‥‥


コイツも将来気づくんだろうか?


気づいた時には既に遅し、もう大人になっちゃってる。


子供である今の内だけの自由は、不自由になって初めて気が付く。


皮肉なもんだよ本当。


コイツも今の自由を何時か懐かしむ時が来るんだろうな。


羽ばたけるのは今だけだぞアンナ


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― 新着の感想 ―
[一言] 例え能力があっても、ここまで日常や仕事でも問題起こしてるのに追放とかされないのは子供だからだろうしなぁ。 アンナの場合、大人だったらゆるされない事をしてるって気付けたら大人の入口かなぁ
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