第131話 又か?
聞きたくないが聞かなければならない。
人と言うのは耳障りの良い事を、
自分が聞きたい事だけを都合良く聞く、と、
その様な事を前世で聞いた。
面倒クセーなマジで、本当、俺が聞きたい事だけ聞けるなら大歓迎なんだがなぁ。
どーせロクでも無い事なんだろ?
だが仕方無いから聞いてるし、聞くんだが‥‥
モリソン兄の話しによると、変態の言い分はこうらしい。
曰く、灯台は自由に自分達が入れる所なのに、入れない事は、立入禁止はおかしいだの。
祭りの日に入れないのはおかしいし、何よりアタシが灯台に立入禁止になって居るのもおかしい、と、ほざいて居る様だ。
うん、おかしいのはオメーだよ。
てかアイツはおかしいしか言えないのか?
大体、何を勘違いしてんのか知らんがこの灯台は国の施設であって、ハルータ村の物では無いんだ。
所轄は国であってハルータ村には一切無い。
てかあの自称村長も勘違いしてたが、もしかして分かって無いのか?
「おい、一応聞くが、この灯台はハルータ村の物だって村の奴等は思ってんのか? 俺が言ってるのは心情、気持ちの事じゃ無いぞ、どこの所属で、どこの持ち物かって事だからな」
「あー そりゃ気持ちは村のモンだって思ってるけど、灯台は国のモンだってのは分かってるよ、村の奴等も国のだってちゃんと分かってるよ」
うん、ならあの変態がただ暴走してるだけの事か、
てかアイツは何でこんなアレな奴になってんだよ? 対応5の最中のあの日以前はもっとまともでしっかりした奴だったのに‥‥
てか性癖に正直になり過ぎだし、欲望に忠実過ぎだろ、てかアイツ結婚したいってここ半年位前から言ってたらしいからなぁ。
俺の密偵のアンナ情報だから間違いない。
「この灯台は帝国所有の物だし、付属する建物と土地もサザビー帝国の所轄だ、ジルごときがガタガタ口を挟む事じゃ無い、つーかそれが不満ならバハラ行政府に訴え出ろ、海事法弁士に依頼すれば簡単に出来る、まぁ、受付窓口で鼻で笑われて終いだがな、当然訴えの受付はしても受理されるだけで、訴えが通る事は無い、窓口受付の職員が不可にして終わりだ」
「いや、海事法弁士って‥‥」
「お前、そんな大袈裟なって思ってるだろ? 俺は大袈裟に言ってるつもりは無い、只の村娘がバハラの行政府に、んーなアホな事を訴え出て抜かしてみろ、葉っぱで頭がどうかしちまった奴だと思われて衛兵呼ばれるのがオチだ、だが海事法弁士が一緒に居て、その海事法弁士が訴え申し出の申請書類を提出すれば窓口の職員も無下には出来ない、まぁ鼻で笑われるだろうがな、とは言え海事法弁士はかなりの力を持って居るんだ、例え馬鹿らしい事であっても法に則って訴え出られれば受理せざる得ない、但し依頼を受ける海事法弁士が居ればの話しだがな」
まぁそんな海事法弁士は居ないだろうがな、
間違い無く止められる、てかそんな暇な奴は海事法弁士に居ない。
居たとしても莫大な依頼料を請求されるだろうな。
「・・・」
「お前、呆然としてるがそんな難しい話じゃ無いぞ、てか俺は帝国から派遣された官吏で、この灯台は帝国のモンだってだけの話だ、それと、俺はこの村の差配に対しても権限があるからな、簡単に言えばあの色んな意味で自称村長より偉いんだ、当然この灯台と敷地に関してもどうするかの権限もある、へん‥‥ ジルごときが俺にも、この灯台にも口を出す権限なんかカケラもねーんだ、あんまガタガタ抜かしてるとバハラから衛兵呼んでバハラの牢屋にブチ込むって言っとけ」
牢屋にブチ込まれてあの変態が喜ぶと言う可能性もあるが、その辺りは考えない様にしよう。
「わ 分かったよ守長、てかアイツに言うのはこえーな‥‥ マジで目がイッちゃってたからなぁ‥‥」
「側にジルと何時も一緒に居る仲の良い奴らが居るだろ? どうせソイツら今日もつるんでんだろうから、ソイツらにも言え、そして頼め、てか俺の名前を出していいから、それとソイツらがもしゴネやがったらこう言え、『守長が、お前達分かってるんだろうな?』って言ってたって言えばいい、多分それで伝わるし、お前に協力的になるはずだ」
「?? そんで良いのか? 分かったよ、そう言う」
「なぁ、ジルの奴を誰か娶る、結婚しようとか思ってる奴は居ないのか? てかお前、ジルを嫁に貰ってやれ」
「守長、マジで勘弁してくれよ‥‥ 確かにアイツは顔は悪くは無いけど、さっきのアレ見て嫁にって思う奴は居ないと思う、てか俺は嫌だ、マジでアレはないわ~」
「・・・」
チッ‥‥
あのアホ、自ら悪評を振り撒いてんじゃねーかよ、
何してんだよあの変態は‥‥
てかもうアイツはこの村の奴とは結婚なんて無理だな、やはりフィグ村の男衆に犠牲‥‥ 娶らせるしか無いか。
「お前村に帰ってから灯台守のじい様を一人、誰でも良いから祭りが始まる迄で良いから来る様に言って来てくれないか? 何か嫌な予感がする、祭りが始まる前に帰すからって言ってな、頼まれてくれるか?」
「ああ、それは構わないよ、てか嫌な予感って何なんだ守長?」
「んー‥‥ 嫌な予感としか言えないな、そして俺の悪い予感は結構当たる、もしもの時の留守番に一人居て欲しいんだ」
「ふーん予感ね‥‥ まぁ分かったよ、じい様に伝えるよ」
「ん、頼むわ、あっ! ちょっと待て、お駄賃をやろう」
「マジで? て! 飴玉か‥‥ まぁありがたく貰っとくよ、ん? 美味いなコレ」
「塩気のあるツマミを食えば、口の中の甘味が消えて酒が不味くなる事も無いだろう、てかお前あんま飲み過ぎるなよ」
「分かってるよ守長、じゃ行くわ」
「おう、頼むぞ」
甘いの食って酒飲むと酒が不味くなるからなぁ、
ブランデーとかウイスキーなら意外と甘いのはあったりするが、ワインとは合わない。
とは言え人によっては合うって奴も居るが、俺は合わないな、ワインの渋みが強調されて好きじゃ無い、特に安いワインはそうだ。
まぁ塩気のある物食えば消えるんだがな。
しかし留守番してる間どうしょう?
蜂の世話して、うーん、蜂蜜も今年は終わりだな、
この前見た時はかなり詰まってたから期待出来る。
蜂の世話して、畑の手入れして、それから‥‥
「守長」
「おー じい様来てくれたか、悪いな、だが祭りが始まる迄で良い、その間酒でも飲んで待っててくれるか?」
「そりゃ良いが守長、酒は今は飲まんよ、今、守長の酒飲んだら口が贅沢になって祭りで飲む酒が不味く感じちまう、だからその分、後で貰いたいがエエかな?」
「そら構わんけど、そんな高い酒じゃ無いんだし、祭りで飲む酒が不味くなるか?」
「いやいやいや、守長の安いはワシらにとっちゃあ滅多に飲めん酒じゃからな、今からそんなん飲んだら祭りの時に飲む酒が絶対不味く感じる」
ザッカリーのじい様が何時に無く真剣な顔をして居る、てかこのじい様は普段おちゃらけてんのに、何故こんな事で真面目になるんだろう?
もう生まれ持った性格だろうな、仕方無いじい様だよ。
「分かった、お土産用に酒を瓶に詰めておくよ、悪いが祭りが始まるまで居てくれ」
「ああ、分かっとるよ、気にせんでエエからな守長、元々仕事の日じゃったしな」
そう言やザッカリーのじい様は今日は居残り組だったな、だからこのじい様が来たのか?
まぁこのじい様も普段はふざけてるがやる事はやる奴だからな、仕事に関しては真面目なんだよなぁ。
本当、普段とギャップあるわ。
じい様とコーヒー飲みながら話して居る時だった。
「守長」
「今度はブライアンかよ? 何だよ本当、アンナが暴れて手が付けられ無いとかか?」
「良く分かったな守長‥‥」
「・・・」
もう、何してくれちゃってんのアイツは‥‥
あー 聞きたくねー まぁアンナが暴れてるのは多分、あのアホガキが原因だろうな、面倒クセー。
「なぁ守長、入る時に股間触られたんだが‥‥ しかも無茶苦茶嫌そうにだな‥‥」
「はぁ? お前まさかゴネたのか? てか拒否して強引に入って来たとかじゃ無いだろうな?」
「大人しくちゃんとチェック受けて入ったよ、入り口んトコにあんなデカデカと張り紙されてたし、門に居たフィグ村の奴から説明も受けたしな、あんだけ嫌そうに、しかも泣きそうになりながら触って来てたから俺も何も言えなかったよ、余りにも哀れすぎて‥‥」
「・・・」
本当に、本当に! 門番の奴等にはちょっと色付けて特別ボーナスをやろう、まさか俺もこんだけ人が来るとは思って無かったわ‥‥
酒と、ツマミにチーズ、それに飴玉も土産に持たせてやろう、そん位しないと俺は極悪経営者になってしまう。
まさかこんなに次々と人が来て、股間を触らせなければならない何て本当、予想外だ‥‥
うん、終わったら労ってやろう、特別ボーナス代わりの土産もそん位渡さねば俺の気が済まない、何かアイツらに悪い事したなぁ‥‥
で、アンナだな、嫌だけど、本当嫌だけど話を聞かなければならない。
何なんだかなぁ