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異世界灯台守の日々 (連載版)  作者: くりゅ~ぐ
第2章 バハラと追憶と彼方
125/214

第125話 追憶は砂糖の様に


風に乗り微かに声が聞こえて来た


声は女の、いや、女達の声だ。


フィグ村の女衆の声なのだろう。


楽し気で、時折笑い声も聞こえて来る。


マデリン嬢‥‥


確かあの時は‥‥


「あー ちょっとええかな守長?」


「どうしたじい様?」


「考え事しとったとこ悪いな、祭りの間の灯台の留守番は本当にええのかな?」


「良いんだよ、折角の祭りなんだずーっと居なくても良い、それにその間は俺が留守番するんだ、問題無い」


「あー ‥‥ でもな守長、夜番もだな守長が代わる言うてだな‥‥」


「それも良いんだよ、祭りだからな酒飲んで楽しめ、大体去年の祭りん時は新任だから村の奴等と交流深めろって言ってじい様達が仕事を引き受けただろ? 今年は俺がやる、まぁ飯食いに行ったりでずーっと灯台に居る訳じゃ無いんだ、ただ夜番前に仮眠はさせて欲しいな」


「いやまぁ仮眠取る時間を作る何てそら勿論だがな、守長今年は酒飲まんと皆の代わりになんのもなぁ‥‥」


うっせー なぁ‥‥


その話しも散々しただろうに、去年灯台守のじい様は俺が新任だからハルータ村の奴等との交流、

それに祭りを気にせず楽しめる様にって言って

仕事を、それこそ留守番すらもさせなかった。


だから今年は俺がやる、ただそれだけの話しだろうが、てかジョージのじい様は気ぃ使い過ぎなんだよなぁ、まぁ気持ちは嬉しいが‥‥


「何度も言うが良いんだよ、酒飲んで美味いモン食って祭りを楽しめ、てかあんまガタガタ言ってると灯台守のじい様達は全員灯台に閉じ込めて強制労働と強制お留守番させるぞ? 良いのか? 俺はそれが出来る権限があるんだ、そんなの嫌だろ? てかな、勿論じい様達の気持ちは嬉しいがな、まぁ良いからじい様達は祭りを楽しめ」


「ん~‥‥ 分かった‥‥」


「おう、素直で宜しい、まぁ祭りが始まる迄は何時も通り好きにする、てか仕事は当然とっくに終わらせたからな、誰にも文句は言わせん」


「しかし大丈夫かいな朝から一人で?」


「あのなじい様よ、俺は灯台勤務はここで二回目なんだぞ、バハラの大灯台で三年勤めてるし、夜番だって何回もやったからな、まぁ大灯台は夜番でも人が多かったが、だが一通りは一人でやったし出来るから心配すんな」


「分かった‥‥ 何かすまんのう‥‥」


「おう、悪いと思うなら祭りを楽しめ、但し飲み過ぎるなよ」


「分かった、楽しませて貰うよ」


やっと笑いやがったか、てか久々だな夜番は、

バハラに居た時やって以来だから約十年振り位か?


まぁたまには良いだろう、それに灯台守のじい様孝行してやらんとな、皆良くやってくれてるんだ、それに今年は皆大好き揚げイモも出るんだしな、じい様達が密かに楽しみにしてるのを俺は知っている。


てか食い過ぎて胸焼けするなよ、うーん、それはちょっと心配ではあるな。



『ネイサン様、ネイサン様、あれは揚げたお芋さんですか? えっ、宜しいのですか? ありがとう御座います、あの‥‥ ネイサン様? フォークがありませんが‥‥ えっ? 手掴みでですか? でもそんなはしたないですわ、わ 分かりました、ネイサン様、とっても美味しいですわ、マデリンはこんな美味しい揚げたお芋さん初めてですわ』


俺が手掴みでって言った時の顔は今でもハッキリ覚えて居る。


目をまん丸にして驚いて居たな‥‥


屋台によっては刺す為の串を付ける店もある、

だがあの屋台は無かった、マデリン嬢は両親をチラチラ見ながら困って居たが了承を得るとおっかなびっくりで摘まんで食べたが、熱かったからか少し間を置いて食べた時の顔は可愛らしかった。


夢中で食べて、全部食べた後ハッっとした顔して

『マデリンは何てはしたないのでしょう‥‥』


って言って恥ずかしがる姿は本当に可愛らしかった


油で汚れた手にクリーンを掛けてあげると可愛らしくお礼を言い、無邪気に褒めてくれたな。


『ネイサン様の魔法は凄いですわ、マデリンの手がこんなに綺麗に‥‥ ネイサン様は帝国で一番の魔法使いさんです』


あん時は屋台で結構買い食いした、それにマデリン嬢は外で立ったまま食べるって事にびっくりしてた。


今まで他の人間がしてるのは見た事があってもまさか自分がする何て考えた事も無かったのだろう。


両親に何回も確認し、了解を貰っても戸惑って不安そうにしてたから俺がこれも又マナーの一つだって言ったらビックリして何回も俺と両親を見てたっけ?


まぁ祭りの時は特別、それも祭りを楽しむ流儀、

マナーみたいな物、今日は何時もと違う特別な日って言ったら驚いてた。


てか庶民はその辺りのマナーは煩く無いし、

ましてや祭りの時は特別だ、寧ろマナーを言うのはマナー違反ってちょっと とんちみたいな事を言ったら納得してた。


まぁ祭りの日だけの限定マナーってマデリン嬢は理解してたな、そう言えば‥‥


『ネイサン様、甘い香りがしますわ? ザラメ焼きですか? 凄く膨らむのですね? よろしいのですか? ありがとう御座います、ネイサン様、噛むとサクサクとしてバリバリと音が! 面白い味わいです、甘くて面白くてとても美味しい、マデリンはこれ好きですわ』


うん、まぁザラメ焼きはカルメ焼き何だがな。


てかザラメって前世では明治以降の比較的新しかったモノはずだ、だが帝国では五百年程前には既に登場している。


作られた? 発見されたのがその位前だ、本当にこの世界の技術は、科学技術もそうだがチグハグだよな、何でそんな昔からあるんだよ?


食と言う生物が持つ根本的本能が刺激されて開発が早いのか?


てかまさか転生者か? うん、ありえる話しだな。


その転生者である俺が居るんだ、

なら他の転生者が居たとしてもおかしくは無い。


まぁこれは俺の勝手な想像でしか無いんだがな。


砂糖は南方諸島からたっぷりと輸入してるし、

帝国でも生産は盛んだ、サトウキビもそうだが寒い地域では砂糖大根、まぁ甜菜(てんさい)の栽培も盛んだ、甜菜は砂糖に出来る割合がサトウキビに比べれば少ないが搾った後の甜菜は家畜のエサに出来るから、甜菜作りが盛んな地域は家畜の飼育も盛んで帝国の食肉や乳製品をかなり賄って居る。


本当、帝国は食に恵まれてるし、食に貪欲ではあるな。


砂糖も自国生産が盛んで、南方諸島からの輸入により高くはあるが庶民が買えないと言う事も無い。


まぁ安くは無い訳だからそんな気軽に使え無いが、

他国の様に庶民の口には中々入らないって事は無い。


砂糖、これも又帝国の豊かさを表す一つではあるな、そして周辺国、まぁ周辺はほぼ友好国や同盟国でそれらの国はその恩恵を受けている。


他国とはそれら以外の国だ。


だからその他国における砂糖の扱いを帝国人が聞いてもいまいちピンと来ない。


まぁ何やかんやで帝国人は砂糖を口にしてるからな、ピンと来ないのも当たり前だ。


とは言えそれは他国に比べればって話しであって、

砂糖は決してお安い物では無いからな。


砂糖を原料とした物の中では庶民が気軽に口に出来ない物も当然ある。


例えば飴玉がそうだ、飴玉は結構高いし気軽に口に出来る物では無い。


まぁかなりの値段がするから買うのにかなり躊躇うモノ扱いだ。


砂糖だって品質により庶民には買えない物だってあるし、その最高品質の高級砂糖を使うからお高い飴玉になる、まぁ安い砂糖を使ったいまいちな飴玉ですらもそこそこの値段がするからなぁ。


前世の様に飴玉は気軽に買えない、本当、品質の均一化って大事だと思うよ、そうすりゃもっと値段も下がるとは思うが‥‥


まだ無理だろうな、俺は金に困って無いから気にならないが普通は砂糖がもっと安くなればって思ってるだろうな。


バハラの商人は買い付ける砂糖の目利きによって

商人としての一つの目安、一流か二流か三流か論外かが決まる何て言葉もある。


バハラには南方諸島から輸入した砂糖が集まり、

それを売買するが莫大な利益を上げている。


バハラの力の根元の一つ(・・)が砂糖だ。


そしてそれだけ砂糖が集まる地であるし、

帝国の他の地域よりは比較的ではあるが砂糖は安い、バハラでは砂糖を加工した物の生産も盛んだ。


まぁ他の地域よりはまだ安いからな、ハルータ村よりバハラの方が砂糖が安かったりする位だ、やはり集積地でもあるし、中間業者が少ないとそれだけ値段に直結する。


蜂蜜が安い、いや、安くは無いな、高いなりにまだ値段が抑えられているのは砂糖の入手のしやすさも一つの理由だろう。


てか帝国は養蜂が盛んに行われているってのが一番大きな理由であるが、砂糖の存在も間違いなく理由の一つだ。


そう言えば飴細工って最近口にして無いな‥‥


クランツじいさんに会いにバハラに行った時にでも久々に買うかな?



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