第114話 許されざる大罪
怒声の中 見慣れたアホが三匹居た
責め立てられる中 見慣れた馬鹿が三匹居た
中心部に三馬鹿が居た。
うん、もう何となく分かったわ。
「ねえアンナ、何があったの?」
「あっお姉ちゃん、守長、えっ、何で二人で一緒に居るの?」
「本を返しに灯台に行くって言ったじゃない、守長は村に用事があるから一緒に来たの」
「あー そう言えばそうだったね」
アンナお前は実の姉にすら嫉妬するのか?
てかお前以外の女と一緒に居たら駄目なのか?
俺はお前の男じゃねーぞ。
「アンナお前何やった? 又何かやらかしただろ? 素直に吐け、自首すれば多少は罪が軽くなるぞ」
「わ 私なんもして無いもん!」
「犯人はな、皆そう言うんだよ、お前、罪を素直に認めないと罪が重くなるぞ」
「もう、守長は私の事を何だと思ってるの?」
「アンナ‥‥ お前な‥‥ 今まで自分が何をやらかして来たか忘れてないか? 日頃の行いだ、日頃の行いが悪いからそうなる、早く罪を償って帰って来いよ」
「もう! 今日は何にもしてないもん、冤罪だよ冤罪、ぬれぎぬだよぬれぎぬ」
本当かぁ~ チラッとジゼルを見ると苦笑いして居る
まぁアンナで遊ぶのはこの位にしておこう。
「ねえアンナ、みんな凄く怒って居るけど何があったの? 怒ってるの女の子だけみたいだけど?」
「あー それがね・・・・・・・・・・・・」
アンナの話によると予想通りあの三馬鹿がやらかしたらしい。
まぁそれは何時もの事だ、しかし今日のは何時もに比べちとばかり笑えない事をした様だ。
三馬鹿はスカートめくりと言う禁断の行為、いや、
この世の最も悪足る大罪を犯した。
しかも一人にでは無く複数にである。
因みにアンナはヤラれていない、
我らがアイドルジョン君は過去当然やって居たが、
今までに無い程の凄惨な制裁を受け流石に懲りたらしい。
まぁアンナが言うには捲られる前に阻止し、
きっちりとわからせたらしい。
何回かその様な事があり流石に学習した様だ。
猿程度には知能はあるみたいだねジョン君。
てかスカートめくりってお前‥‥
女子には蛇蝎の如く嫌われる行為である。
コイツら位の年代であれば正に大罪人以外の何者でも無い行為だ。
まぁ俺らの歳、大人がやったらお縄になるがな。
しかしこの三馬鹿は複数にやるって‥‥
簀巻きにされて吊るされる位じゃ許されないぞ、
うん、女の子達がヤバイ、目がイッちゃってるじゃないかよ‥‥
どうすんだコレ?
生半可な事では収まり付かないぞ。
他の男のガキ共は離れた場所から行く末を見守って居る。
遠巻きに、そして決して近付かないとの決意を秘め、うん、何の決意だよ? てかそんなもん秘めて意味あるのか?
さっさと離れれば良い物を遠巻きとは言えこちらを伺って居るのは野次馬根性が抑えられないのだろう。
しかしスカートめくりなぁ‥‥
前世でも小学生ん時にやってる奴居たなぁ‥‥
そんで放課後の学級会議、まぁ学級裁判で吊し上げられてた奴居たなぁ‥‥
そして今世でもやってる奴が居たが、
親まで巻き込んでエライ騒ぎになった事あったな。
これも世界が変わろうと同じ事をやる奴が居る。
うん、男子は馬鹿だって女子に言われるが否定出来んわ、少なくともコイツら見てたら否定のしようが無いな。
「アイツら本当馬鹿だよねー めくられちゃった子、無茶苦茶怒ってるから簡単には許されないと思うよ、どうなるんだろうね?」
アンナの奴、完全に他人事だな。
実際そうなんだが、しかしどうするんだコレ?
女の子連中を全員敵に回して、生きて帰れるのか三馬鹿は?
てか俺を見ても無駄だぞ、三馬鹿め何故俺を見る?
そんなすがる様な目で見ても無駄だぞ、
もしこの三馬鹿を庇ってみろ、俺まで同罪と見なされる、それ以前の問題として関わりたく無い。
てか完全にコイツらの自業自得だ、庇う気にもならんな、まぁ安らかな眠りになる様に祈るだけだ。
「何だよお前ら! み 見られて減るもんじゃ無いだろ!」
あっ!‥‥
あの馬鹿は何て事を抜かしてやがるんだ?
本当に死にたいのか?
てかそれは駄目だろー 周りの、お前達を取り囲んでる女の子達が、子供がしちゃーいけない目付きになってるぞ。
「へっ! お前達の汚いもん見てやったんだ、
ありがたく思えよな!」
わぁー ジョンの奴マジでスゲーなぁ‥‥
てか空気の読め無さは帝国一だな、
女の子達の変化に気が付いて居ないのかな?
怒りを通り越して皆、無表情になって居るじゃないかよ。
うわー こえー 子供とは言えあんな無表情で魂が凍らせられる様な目付きで見られたら下手すりゃ漏らすわ。
三馬鹿その二とその三は気付いたのにその一事、
ジョンの奴は全く気付いて無い。
「お前らみたいなブスなぁ~ 俺が見なきゃ誰も見ねーよ だ・・・ ウッ!」
あっ‥‥
あのアホ、お前らって‥‥
アンナも居るのにお前らって、それアンナにも言ってるって事なんだが?
うん、アンナの頭突きがジョンの腹に命中したね、
皆まで言う前にアンナのフライングヘッドバットが
お腹に大命中しちゃったね。
「誰がブスよ‥‥ もっかい言ってみなさいよ」
あーあ、アンナを怒らせた、しーらねっと。
「あっあっあっ‥‥ ち 違う‥‥ ち‥‥」
「何が違う? ねえ? 何が違うの?」
うん、ジョンの奴、言い訳したいみたいだけど腹に良いの食らっちゃって上手い事、言い訳出来ないみたいだね。
てか本当に愚かだなアイツ、お前ら、何て言ったら
アンナが怒るに決まってるじゃないかよ、
周囲に注意を払うって本当、大事なんだなぁ。
「もうアンナったら又あんな事を‥‥」
うん、アレの姉とはジゼルも大変だよな。
「で? 誰がブスだって?」
「ち ちが ちが 違う‥‥」
あーあ、アンナを怒らせた、てかアンナを止めるの結局俺がやらなきゃならないんだが、面倒クセーな。
「アンナやっちゃえー」
「そうだそうだ! やっちゃえ海ぞ‥‥ アンナ」
「潰しちゃえ~ 口げ‥‥ アンナ!」
「私達にブスって言えるほどアンタ男前じゃ無いでしよ! 鏡見てから言いなさいよ」
「勘違いすんな、誰もアンタに見て欲しい何て思わないし、思って無いから! アンナ~ 潰しちゃえ~」
うん、さっきから潰せって声が聞こえるが何を潰すんだろうな?
まさかと思うがジョンのジョンを潰せとかじゃ無いよな?
もしそうなら‥‥
まぁ俺には関係無いからどうでも良いや。
「ねえ守長、守長ならコイツらどうする? 例え話で良いから私聞きたいなぁ?」
「えっ? 守長居るの?」
「あっ、本当だ守長居る‥‥」
「いつの間に守長来たの?」
「本当だ気が付かなかった」
アンナの奴め何、俺を巻き込もうとしてやがる、
てか聞き方も上手いな。
例え話なら言っても良いかと思うもんな、
だがそれで前に、カンチョー事件の時に俺も罪に問われ掛けた訳だが‥‥
しかしコイツら女子も大概だな、俺 結構前からここに居たのに全く気が付いて無かったってどんだけ怒り狂ってたんだよ?
まぁ三馬鹿を見てたらその怒りも分からんでも無いけどな。
「な 何で守長に聞くんだよ! ソイツは関係無いだろ、そんな役人に聞くなよな!」
「ん? おいクソガキ‥‥ お前今何て言った?
お前‥‥ 役人って言ったよな? お前意味分かって言ってんのかクソガキ? お前‥‥ 俺に本気でわからせて欲しいみたいだな?」
静寂が辺りを包んだ、この一帯だけ世界から切り取られた様だ、アンナが真っ青になって居た。
「わ わた 私関係無いから、この馬鹿が言ったんだから 私関係無いよ守長、私はそんな事言って無いからね!」
うんそうだな、アンナは、そう、アンナは言って無いな、言ったのはそこのクソガキだ。
てか帝国で官吏に向かって役人呼びは最大の侮辱だって知らないのか?
そんな事は無いよな、だって周りの子達は、分かって居るしアンナと同じく顔を真っ青にしてる、
三馬鹿の残り二人ですら首と両手を振って否定してる。
俺は言って無い、俺は関係無いって二人共言ってるがまぁ良いだろう、だがついでにこの二人もお仕置きだ、どうも調子に乗ってるみたいだから一発キャン言わせておこう。
「おいアンナ」
「は はい守長何ですか?」
「お前何で敬語なんだよ?」
「いや、その‥‥ 本当だねえ、な 何でだろうね、アハ‥‥」
「アンナ、何か面白い事があったか? 笑ってるみたいだが?」
「な 何にも無いよ! ご ごめんなさい!」
「そうか、まぁ良いだろう」
さて、クソガキにはわからせてやらねばならない。
帝国の官吏に役人呼びは最大の侮辱であるが、
かって、過去の話だがそれで戦争になった事もあるんだ。
帝国の官吏は役人呼びされて黙って居る事は無い、
相手が誰であろうと、そう、この調子に乗ったクソガキ相手であろうと容赦してはいけない。
残念ながら官吏と言うのは、舐められたら商売上がったりの仕事だ、例え相手がガキでもだ。
そう言う意味では裏社会の奴より徹底している。
軽い気持ちで言ったのかも知れないがそんなの関係無い、このクソガキにはきっちり教育してやろうじゃないか。
「おいアンナ、お前俺ならどうするか聞いたよな? 教えてやろうじゃないか」
「そ そう? あ ありがとう守長、ねえ守長もしかしなくても怒ってるよね?」
「うん、怒ってる、てかこんなクソガキに舐められたら官吏は商売上がったりだからな、この愚か者には自分の発言に責任を取って貰おうではないか、言って良い事と悪い事があるのを教育してあげようじゃないか、てかアンナお前顔色悪いな大丈夫か? まぁ良いだろう、そのクソガキ達に対する今回の件の結果を償う方法を説明しようじゃないか、俺ならどうするかだったな?」
「・・・」
子供だからと言って許されない事もある、
てか周りの子供は皆分かって居るのだから子供だから分からないは言い訳にならないし、通用しない。
「取り敢えずそのアホ共‥‥
愚か者であり、女の敵はひん剥く、上着とズボンを脱がしてパン1、下着だけにする、本当は下着もひん剥きたいがそれは勘弁してやるかな、ひん剥く時には服を破かない様に注意して脱がす、そんで剥ぎ取った服はあの木の上に投げる、さぞ間抜けに見えるだろうな、下着一つで服を回収するのは‥‥ まぁこの程度で済ます俺は何て寛大なんだろうな、本当は下着も脱がせて木の上に投げても良いが、三馬鹿の汚い、お粗末なモン何か皆も見たく無いだろうからな、で? 俺は聞かれた事を応えたが? 」
「そんな!」
「あんまりだよー」
「な 何でそんな事を言えるんだよ!」
「はぁ? クソガキ、お前の発言と行動が原因だろうが、てか女の子の下着にイタズラする何て男の風上に置けない行為だぞ、てか世間ではお前らがやった事は痴漢って言うんだよ! このエロガキが! お前らは盛りの付いた猫かよ! 黙って受け入れろやこの女の敵共が!」
うん、一部ブーメランな気もするがアイツとは結局まぁアレだったから良しとしておこう。
『お前ブーメランって言葉知ってるか?』
うん、奴なら言うな、まぁ気のせいと言う事にしておこうじゃないか。
その後、三馬鹿三匹は木に引っ掛かった服を下着、
ドロワーズ一丁で必死になって回収しようとして居た。
パン1で必死になって回収しようとして居る姿は大変間抜けであった。
当然回収作業は妨害された、アンナが何故か無茶苦茶下手に、やや卑屈に聞いて来た、優しい俺は、俺ならどうするのか再び教えてあげたのだ。
その様を見て女の子達は溜飲が下がり、
男の子達は恐怖に顔が引きつって居た。
三馬鹿のその姿を見た俺は、エロゴブリンと言う新しい二つ名を付けてあげたのだが、その二つ名が定着してしまって三馬鹿はエロゴブリンと呼ばれる事となる。
ゴブリンに対する酷い風評被害である。
この世界のゴブリンはエロ要素は無いからな、
まぁ定着したものは仕方ない。
三馬鹿に加え、エロゴブリンが奴等の二つ名に加わった日であった。
因みにクラインのじい様の嫁のマリラばあさんが作ったキッシュは実に旨かった、ほうれん草とベーコンの相性は抜群だ。
俺は又、マリラばあさんに作って貰おうと思った。
マリラばあさんのキッシュは帝国一であると改めて再確認した日であった。