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異世界灯台守の日々 (連載版)  作者: くりゅ~ぐ
第1章 ある灯台守の日々
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第10話 アンナとの邂逅


カモメが鳴いている


窓の外では子供が泣いている


学校が終わり遊んでいるんだろう


泣いているのはセドリックん所のジョンのようだ。


泣かせたのは‥‥



自称村1番の美人のようだ。


アイツ何やってんだよ、又かよ‥‥



アンナは所謂ガキ大将と言うやつだ。

声もデカイが気も強い、更に口も立つ。

ケンカも強いし、運動能力も抜群だ。

特にアンナの口撃(・・) は、

帝国最強と言って子供達に恐れられて居る。

頭も無駄に回り武力も外交力もある。

ついでに態度もデカイ。


まるで最近代替わりしたどこぞの帝国のようだ。



アンナの口には南方諸島の最高級オリーブオイルでも塗ってんじゃないかと言われる位良く回る。


アンナには大人でも口では勝てない。


アンナには言ってはいけない2つの言葉がある。


1つは、女のくせに何々だ、と

2つ目は、子供のくせに何々だ、である。


そんな事言おうものなら

その報復は苛烈なものとなる。


何倍所か何十倍にもなって返ってくるのだ。


アンナの二つ名は色々あるが子供達は主に、

口撃(こうげき)魔法使いや、言語魔術師、

海賊王と言っている。


因みにアンナの必殺技は頭突きである。


一年前からフライングヘッドバットも新たに加わり

その身体能力を生かし低弾道で飛んで行き、

相手の腹部にぶちかます。


しかも外す事無く確実に命中する。


後はヒップアタックも一年前位から何故か

多用するようになった。


何でなんだろうね? 誰だよアイツに教えた奴は!



因みに俺は村の子供達に尊敬されている。


それは俺が官吏様だからでは無い。


俺が一年前にハルータ村の灯台に赴任して来た時

当然だが村1番の美人も居た(自称)。

まぁ当時は村1番の美少女(自称)であったが。


あれはハンナに初めて出会った時位だから

来て一週間位の事だ。


その時もアンナはジョンを泣かせていた。

まぁあの時もジョンが余計な事して

アンナを怒らせていたみたいだ。


ジョンはアンナの1歳上で多分だがアンナに気がある


ちょっかい出したり、からんだり、何とか気を惹こうとしているが相手にされて無い。


そしてその内ケンカになって毎回泣かされてる。


アンナいわく、弱いしガキだしバカだし

アホ面してるから嫌いとの事だ。


そしてその日もジョンが泣かされて居た。


見てしまったからには仕方がない、

一応止めに入った。


戦闘中のアンナは狂暴だ、

正にバーサーカー状態なのである。


その状態を俺は密かに狂戦士アンナと呼んでいる。

もしくはベルセルクアンナとも呼んでいる。


どっちで呼ぶかはその日の気分次第である。


アンナと初めて交わした会話を今も覚えている。


「あー その辺にしといたら?」


「はぁ~~ あんた誰? あー‥‥

新しい守長ね、どいてそいつぶっ殺せ無い」


「いやいや、ぶっ殺したら流石にダメだろ」


「いいからどいて」


それからは、

「どいて」 「ダメだよ」のやり取りが続いた。


そしてその内口論となった。



アンナの多彩な口撃が続き、

俺は華麗にかわしつつ優しく諭していた。


だが余りにもアンナがヒートアップし始め、

俺も攻撃に転じた。


俺はこれでも一応(・・)は官吏だ。

それも木っ端 官吏等では無く、

ちょっとお偉い官吏様である。


魑魅魍魎の官吏の世界で、

しかも帝城と言う官吏の中の官吏共が集う

最激戦区で戦っていたのだ。


アンナごときケツの青い小娘等

ちょちょいのちょいである。


そしてアンナに口撃を加え泣かしたった。


そしたらアンナが鼻水垂らして大泣きしながらキレて、実力行使に出て来やがったのだ。


それを俺はヒラリ ヒラリと全て華麗にかわしつつ

更にアンナに口撃を加え追撃した。


何故か分からんが童心に戻ったのだ。


アンナは鼻水所かヨダレ迄 垂らしながら

言葉に成らない声‥‥


奇声を発しながら俺に立ち向かって来た。


俺は派閥争いに巻き込まれこんな所に左遷されて

テンションがおかしくなって居たのだろうか、

完膚なき迄叩き潰さねばと思ってしまった。


パーフェクトバーサーカー状態となったアンナは、

恐らく30分程俺に立ち向かって来た。


俺はその全てをかわしアンナに口撃を加え続けた。

前世であれば完全に事案である。

間違いなく国家権力をバックに持つ、

制服を着て手錠を常に持ち歩いている人に

連れて行かれた事だろう。


だがここは違う。


ザッカリーのじい様などは。


「おー 守長、子供達と遊んでやっとるのかー」


とか言って笑いながらどっかに行った。


ジョージのじい様は、

「はっはっは 守長もう子供達と仲良く

なったんかいな ええ事じゃ」


とだけ言って灯台の中に再び入って行った。

多分騒がしいから見に来ただけだったと思われる。


アンナはそれから更に30分程

バーサーカー状態が続いたが流石に疲れたのか

へたり込んだ、だが俺は分かっている。

あれは擬態だ、近づいたら襲い掛かってくる。


なので少し煽ってみた、

すると素早い動きで襲い掛かって来た。


やはり擬態だった。


とは言えそれが最後の力だったのだろう。


不発に終わると仰向けに大の字になって

動かなくなった、アンナを見ると汗びっしよりで

悔しそうな顔をしていた。


途中でコイツ、無限の体力か? と思ったが、

流石に無限の体力では無かったようだ。


しかし前世でのアレ(・・)が無かったら

少しヤバかったかも知れない。


一応は鍛練を続けては居たが

この、アンナとのファーストコンタクトで

体力の低下を実感した俺は再び体力増強に努める事を誓う。


因みに俺とアンナを見ていた子供達は

ドン引きであった。


最初は、『おー!』って歓声を上げ、

『スゲー』とか言って

キラキラした目で俺を見ていたんだが‥‥


アンナはそれから俺に再戦を挑んできた。


しかし力では決して敵わぬ事を、

身に染みてわからせられラップバトル宜しく

お口で攻撃してきた。


そしてその度にアンナを泣かせ、返り討ちにし、

全ての戦いに勝利し続けた。


アンナは1日に何度も来る事があった。


1日4回泣かせた事もある。


そんな俺達を見てじい様連中は、

『仲がエエなぁ~』なんて言って居た。


そしてアンナが俺の側に居るのが当たり前になってきた頃、アンナが俺に泣かされる事が少しずつ減ってきて普通に会話するようになり。


寧ろいつも側で笑うようになって、

冷たい風が吹くようになり、雪が時折降り、

冬と言われる季節になると今みたいな関係に成っていた。




あーあ ジョンの奴ギャン泣きじゃないか、

仕方がない止めに行くか‥‥



「おいアンナそのぐらいにしとけ」


「あっ! 守長♪」



アンナが嬉しそうに笑い俺に駆け寄って来た。


「どうせ又ジョンの奴がいらん事したんだろうけどそろそろ止めとけ」


「あっ! そうだった!

さっさとぶっ殺してくるね♪」


いやいやいや、ダメだろぶっ殺したら。


「守長どいてそいつぶっ殺せ無い」


「だーかーら!」


本当にコイツだけは‥‥

去年とちっとも変わって無い。


変わったのは俺に対する態度だけじゃないか。


村の子供達は俺を尊敬した目で見てる。


そうキラキラした目で俺を見ている。


あのアンナを屈服させた勇者として俺を見ているのだ。


そしてジョン助けてやったのにそんな目で俺を見るな。


うん、鼻水垂らして涙流して確かにアホ面だ。


俺にアンナを取られると思っているみたいだが

そんな事は決して無いから。


「ホレ 行くぞアンナ」

「やん♪ みんな見てるのに~」


「・・・」



手じゃ無くって首根っこ掴んで子猫みたいに

運べば良かったかな・・・



ジョンが又泣いている、

多分、見せ付けやがってとでも思ってるんだろう。


「ねぇ~ 守長~ 腕じゃなくて 手握って~」

「・・・」


本当、首根っこ掴もうかな‥‥


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