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だから僕は音楽に負けた

作者: 横瀬 旭

創った物がお金になっていいですね。

 やってもいない事に対して文句を言うのはお門違いだが、やれることはやった。そしてできなかった。知能もなかった。


 後ろを向いたふりをする。偽の苦悩や孤独を書き、赤の他人に前を向かせようとする。


共感を誘い、崇拝され、信者からお布施を集め、また新しい物を創る。


 僕だって信者だった。彼らの曲を聴いて、自分でも創りたいと思った。


 しかし、綺麗な音は出なかった。指を痛めて何回も何回も何回も同じ音を鳴らそうとした。全て違う音だった。


「音楽で指が痛くなるわけがない」


と、音楽をやっている友達に言われ、向いてないと知った。


作り方もコード進行もよくわからなかった。知能がないと知った。


 基礎を得て、神様の技術や作品を盗ろうと思っていたが徒労に終わった。


僕に音楽はできない。創作意欲は全て、悔しさや妬み嫉みと共に乱暴な言葉で文章になる。


 見たことのないものや知らないことは書けないから見に行ったり本を買ったりする。いくら金をかけても戻ってこない。金が足りない。


大量の金とインクを浪費して、書かなくてもいいのに同じような作文をいくつも書いている。


 悪あがきで、シャワーを浴びながらフックにかかったシャワーヘッドとホースを掴み、湯気で曇った鏡に向かって大声で歌う。


全裸でみっともない自分の痩身は見えない。若い頃のジョン・ライドンやリアム・ギャラガーの真似をして「昼鳶」「春ひさぎ」「爆弾魔」を歌い上げる。浴室でかかるのはいつも同じ曲とガス代。


他の曲はあまり聴きたくない。僕の言いたいことを新しく見つけてしまうと、悔しくてたまらなくなるから。


僕は音楽に負けた。


 僕が音楽もできない無能だとまざまざと思い知り、数多の音楽の人が僕の言いたいことを音楽ですっかり言ってしまって称賛されるのを見るのが悔しい。

Dear Mr.「F」(親愛なる「挫折したFコード」へ)


ギターを借りパクした友人は一生呪います。


たとい自殺しても呪います。

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