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●第八話 いにしえの白き竜

 大きい。

 竜の頭は、家一件分、二十メートルくらいの幅はあるだろう。

 白く輝く肌をしており、さっきまで土の中にいたのか、鼻のあたりに土や草木がくっついたままだ。

 耳から三本くらい、大木が生えていた。

 この様子だと、百年以上は地中に眠っていたようだ。


「おおー、白いドラゴン! こんにちは!」


 あああ……喋っちゃった。まあいいか。

 白い巨竜は顔をこちらに向けたまま、静かに目の前のエルフの幼女を観察しているようだった。

 黄金の瞳がじっと見つめている。

 今のところ、襲ってくる様子はない。


「えぅ? 喋れないの?」


『そうではない。幼きハイエルフよ、ここはお前の里ではないはず。なぜこのような場所にいる?』


 おお、喋った。声というよりは、何か直接頭の中に言葉が響いてくる感じだ。

 テレパシーかな。


「あー、人間に攫われて、ここにいるんだよ」


「何! おのれ、ニンゲンめ」


 ギロリと、巨竜がこちらをにらんだ。途端に、金縛りにあったように俺は動けなくなる。

 くっ、何か魔力かスキルか、特別な力だ。

 指一本、動かせないなんて……!

 

「ま、待って、ドラゴン! シンは違うよ! 私を助けてくれたの」


『ほう、そうか。やはりニンゲンは個体差が大きいか』


 金縛りが解けた。ふぅ。


『確かに、この少年、見ればカルマも随分と澄んだ色をしている。おや……? カルマの色が二つ重なっているな。これは珍しい』


 転生者だからね。


『転生? 転生したくらいではそんなふうには……ああ、異界から来た者か』


「異界?」


「ここではない世界だけど、まぁ、あとでニースには説明するよ。それで、ニース、このドラゴンに会ってどうするつもりなんだい?」


「ええ? 挨拶しただけだよ! だって、こんなおーっきぃドラゴン、神のドラゴンだもん」


「その神のドラゴンってのがよくわからないんだけど……」


『我は、いにしえから在りし竜。神ではない。だが、小さき者達からは神と崇められてきた』


 なるほど、別口か。神様が化けているとかではなさそうだ。


「ほえ~。どっちが偉いの?」


『さて、どちらであろうな。古さでは我が上、数では神々のヤツらが上、だが、力比べはこの星が壊れるから、試したことはない。かつて挑んできた愚かな小神もいたが、返り討ちにしてくれた』


「おおー、強い強い!」


 どっちが上かはともかく、神に近い存在だな。崇めておこう。


「ありがたや、ありがたや」


『では、幼きハイエルフよ、古きエルフ族との盟約に基づき、汝の願いを一つ聞こう。ただし、我に相応の貢ぎ物を捧ぐのだ』


「んー、願い事? シン、何がいいかな?」


「そりゃぁ、ニースが欲しい物で良いと思うけど、相応のものを出さなきゃいけないなら、あまり凄いのはやめたほうがいいんじゃないか?」



「そうだね! じゃあ、古い白いドラゴン、パパとママにニースは無事だって伝えて。心配してると思うから」


『それは容易いが、お前をエルフの里に届けてやることもできるぞ?』


「んー、でも一回だけだよね?」


『そうだ』


「じゃあ、やめとく。シンとこの村、行き来したいし」


『……よかろう。では、二人とも耳を塞げ』


 言われたとおりに耳の穴を両手で塞ぐ。


「GHOOOOOOO――――!」


 ビリビリと森が震えた。あまりの音の大きさに、森の動物たちが慌てて逃げ出し、鳥が羽ばたいて逃げていった。ひょっとして、今「おーい、ニースは無事だぞー!」って大声で叫んだのか? そこは飛んでいって伝えてもいいだろうに。横着な竜だな。


 今度は向こうからGHOOOOO――と遠くで咆える音が聞こえた。


『よし。古き水の竜が伝えてくれるそうだ』


「ありがとう! やっぱり水のドラゴンと知り合いなんだね!」


『我らは同族で、同じ古さを誇るからな。中には仲の悪いのもいるが……では貢ぎ物を差し出すのだ』


「ええと、何がいい?」


『そうだな、永き眠りで喉が渇いた。水を捧げよ』


「いいよー。ヴァッセ! ネン!」


 ニースが精霊を呼び出し、口を開けたドラゴンの舌に水をかけた。


『よし、もう充分だ』


 ドラゴンの体にしてみればほんの数滴ほどだと思うが、それでも舌が湿れば充分だったのかもしれない。


『では、ニンゲンの少年よ、この国の古き盟約に基づき、願いを一つだけ、叶えてやろう。相応の貢ぎ物を捧ぐのだ』


「おお……」


 ボールを七つ集めていないのに、願い事を叶えてくれるという。

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