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番外編 大田まさみ×如月イズミ×如月大我

 

 如月大我の脳を支配する先程の光景、見間違えなんかじゃないのは今目の前にいる大田まさみの反応から見て明らかだろう。察するにイズミに誑かされた結果なんだろうが…当のイズミは何を考えている…?ここで大田さんとキスすることで何が…



『よーい…ドン♡』



 なるほどな…自分の妹ながら恐ろしくなる。先日何度と無く俺たちは唇を重ねた。そしてその熱も冷めやらぬ今日は大田さんとイズミが…その通りだ、俺が大田さんに遅れを取るなんてことが許されるはずがない。



 これはイズミからの脅迫だ



 俺がモタモタしていたら、この先の事すらも大田さんと済ませてしまうぞという。普通自分の友人をダシに使ってそんな事するかね…まぁ俺の妹ということを考えればしてもおかしくないか。大田さんには気の毒だが俺たちの今後のために当て馬になってもらうぞ。出来ればお手柔らかに頼みたいところだが…この様子を見るに完全にイカれちゃってるだろうな



 * *



 イズミさん…とキスをしてしまった…それもお兄さんにバッチリ見られる形で…こんな、こんな事って…



 こんな幸せな事って有るでしょうか!?イズミさんと接吻するだけに留まらず、自分も貴方と同じステージに立てているという事までも同時に示すことが出来た!これで貴方はもう私という存在を無視することが出来なくなった!



 そういう事でいいですよね?如月大我さん!



* *



 さて…兄さんも焚きつけるならこれくらいして貰わないと生煮えになってしまうわよ。もっと爆発寸前くらいまで燃え上がってくれなきゃ、大田さんはそれ位の挫折でもスッパリと諦められるかもしれないけど、兄さんはキス以上の手出しはしてくれないでしょうね。



 あの時に私を抱き寄せてキスなんかするべきじゃなかったのよ、優しい兄さん



 あんな熱の籠もったキスなんかされたら、もっと欲しくなってしまうわ…兄さんの全てが欲しいの



 だから、きっと先に私の所に駆けつけてね…?長い長い眠りからそのキスで私の中の女を目覚めさせてくれた愛しい『王子様(にいさん)




 三者三様、その歪ながらも強固な三角関係はそれぞれの思惑とともに回りだした



 如月イズミを中心に回っているかと思えばその潤滑油として大田まさみが不可欠で、彼女がその視線の先に捉えているのは意中の女性如月イズミではなく、その前に立ちはだかる恋敵である如月大我の姿だ。



 そんな二人をいつでも視界に収められるように如月イズミはたった一人だった。以前のイズミが不安視していた状態に自分の身を置いて、それでもなお笑っていられるのはしっかりとした心での繋がりをこの二人に感じるからだろう。



 これは成長と呼べるのだろうか?なぜなら彼女が手にした繋がりとは、自分から伸びる二対の鎖付きの首輪だったのだから



「それで、大田さんは理解しているのか?相手は俺だぞ?正気だとはとても思えないが」



「大我さん、まだ勘違いしているんですか?貴方は兄妹だからイズミさんに選ばれているだけ。人間としての魅力で言えば私のほうが数段上だと考えてくださいね」



「笑わせるなよ。吹けば消える灯火は太陽の前で障害とはならんだろう、数段どころの騒ぎじゃないんだよ。俺達の差は」



「一応だけど、私のために争わないで。とでも言っておきましょうか?」




 白々しい、お前のせいでこんな事になってるんだろうが。俺の元々の目的も大田さんを焚きつけるつもりだったが…こんなにも早く本気になられたら、俺だって少しは焦るんだぞ?



 もっとゆっくり、全国各地を旅行しながら少しずつ年を取りながら…そんな生活を考えていたのにこの女は…



 ──どこまでも最高の女だ。



 男の狩猟本能をくすぐる、太古の昔に消え失せてしまったはずの縄張り意識を蘇らせる。俺の中で眠っていた雄の細胞がどうしようもなくイズミを求めているのを感じ始めた



 大田さんにも可哀想な事をした。すべてが終わったら最後の希望である道場くらいは支援してやろう。それが同じ女を愛して散っていった者への最大限の礼儀というものだろう



 この日から正真正銘、本気の如月イズミ争奪戦が始まった



ひとまず大きな区切りまでご覧頂きまして本当にありがとうございます!


もしまだの方がいらっしゃればブックマークの登録や評価の方よろしくおねがいします!


作者の励みになります。また次回からの展開もお楽しみください!ありがとうございました!

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