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第二十一話 BBQwithYOU

 

 大田まさみです!


 今日は神田さんとお兄さんが道場の敷地でお肉を焼いて、食べて、帰る日です!そうです、BBQをするんです!


 偶然会ったあの日から、なんとか神田さんとまたお話出来ればいいなと思っていたんですが…神田さんはあの日も私の事なんか眼中に無いようでした…ちょっとショックだったけれど、学生時代もそんな感じだったような気も、私が思い出を美化しすぎていただけなのかもしれない


 でも気になっているのはあのお兄さんの存在です。あの神田さんが誰かにあそこまで気を許す事なんてあるでしょうか?私にはどうしても信じられないのです…


 もしかしたら昔辛い事があった神田さんは、あの人に甘い言葉で唆されて洗脳されているのかもしれない…なんて考えてしまうのはおかしいでしょうか!


 今日はその件の真相も探っていきたいと思っています!



 * *



 大田さんが誘ってくれるのは嬉しいんだけど、せっかく山ほど肉が食べられるイベントだっていうのになんだかイズミが乗り気じゃないのはどうしてだろう?もしかしてまだ中学の頃を思い出す人に会うのは辛かったりするんだろうか?


 でも前回会った時には普通に話が出来ていた気もするし、イズミが嫌がりそうな理由は…野菜?


 もしかして世話焼きっぽい大田さんに野菜を食べさせられる事を警戒してるんだろうか?まぁ一般的にBBQなんて焼き野菜と海鮮を食べるイベントと言っても過言ではないからな。今日はイズミが甘えても人数有利でゴリ押して、野菜を食べさせられるいいイベントになりそうだ



 * *



 いつの間にか兄さんと連絡先を交換していた泥棒猫が兄さんの事をBBQに誘ったらしい。表向きでは私に会いたいなんて言っているらしいが、兄さんの魅力に抗える女なんか地球上に存在していない事は常識であり、生物学的にもそう作られていると言われている。私がそんな浅はかな策略に気付かないとでも思っているのだろうか?今日を境に兄さんの女になろうとしている恥知らずの女が、股を湿らせて発情しておるわ。滑稽滑稽。



 * *



 三者三様、地獄の勘違いBBQが始まった




 あ、神田さんが来ました!今日は食材だとか飲み物もお任せしてしまって、私は場所と道具しか提供できてないんだけど…なんだか自分から誘っておいて申し訳ないなぁ…



 お兄さんもお酒を箱買いして持ってくるなんて…そんなに大勢でやる事を想定していたんでしょうか?というかもう飲んでるし!今日はお車で来たのを見たんだから、帰りも運転があるはず…ま、まさか神田さんに運転を!?


 自分は酒を飲んでたらふく食べて、満足したら帰りは神田さんに…こんなの質の悪いヒモ男の見本みたいな振る舞いじゃないですか!!やっぱり神田さんは騙されてるんだ…都合の良い様に利用するだけしてから捨てるつもりなんだ…!!



「コホン…お、お兄さん…? お酒を飲まれているご様子ですが…帰りの運転はいかがなされるおつもりですか…?」


「あ、あぁ帰りはイズミが運転してくれるんで。外食とかの時はいつもそうなんですよ」



 わ、悪びれる事無く平然と…なんて情けない人なんだろう!神田さん、目を覚まして!この人はあなたが思っているような立派な人じゃないのよ…!



 * *



 ほーら御覧なさい。さっそく始まったわ『帰り運転出来なくなっちゃったじゃないですか~! 今日あたしの部屋に泊まってってくださいよぉ~///』ね。もうビチャじゃない。ビチャビチャにダムから放水が始まってるじゃない。でも残念だったわね、兄さんの酒の強さはロシア人八人と飲み比べして全員潰すくらいの折り紙つきよ。そこらの男と同じ様にお持ち帰りできると思わない事ね。



「あ、神田さん! お野菜焼けました! お皿貸してください、取りますよ!」


「なっ…! あっ…」



 なんて女なの?この女…どこで聞きつけたか知らないけれど、私の野菜嫌いまでリサーチ済みなの!?徹底的に嫌がらせをして私だけ家に帰して兄さんとはしっぽり上四方固めを決め込もうとしてるなんて…この淫売女!そんな狼藉、お天道様が許しても兄さんが許すはずないわ。ね?兄さん



「野菜もいっぱい食べるんだぞイズミ」


「に、兄…さん…?」



 …まさか和姦!?兄さんもCA上がりの道場娘とかいう清楚系AV女優みたいな肩書に股間の便がビンビンにテイクオフしてるとでも言うの!?私がGカップという事ご存じなくて!?兄さん!



 * *



 イズミよ…野菜を食わずになんで乳を押し付けて来るんだ。見すぎ見すぎ…食いづらいよ。イズミの事だから色仕掛けで俺に野菜を食ってもらおうという魂胆だろうが今日はいつもみたいに甘やかしたりしないぞ。なんたって大田さんがいるんだから、同級生に野菜が食べられない事を知られたら恥ずかしくて仕方ないだろう。いい機会だから克服すると良いさ



 * *



 か、神田さんが野菜を食べようとしてもお兄さんの方に引き寄せられて腕が動かなくなっている…!?やっぱりなにか妖術とか催眠の類で操られているんじゃ…


 ダメよ神田さん!それ以上その人と一緒に居たら、おかしくなっちゃう…私が何とか引き剥がさなきゃ!



「か、神田さん! こっちに来て!」



 * *



 こ、こんの女ァ…!とうとう実力行使に打って出る気ね…!私と兄さんのイチャイチャタイムを邪魔した罪は重いわよ。あなたみたいな卑しい女は野菜でも食ってなさい、口を開く度に野菜臭ければ兄さんだって抱く気も失せるってもんでしょう。目一杯口に詰め込んで窒息するも良し。ほら口を開けなさいよ、私の供物よりも男の一物の方が待ちきれないって事かしら?上も下も口を開けば男、男ねスッチー改めビッチーの大田さん。


 

 * *



 か、神田さんが私の口に"しゃにむに"野菜を詰め込んでくる!?どういう事!?でも嬉しい!私からの一方通行かと思っていたけど、神田さんも私の事友達だと思ってくれてたんだね!食べさせあいっことか実は少し憧れてたんだよね、神田さんにもお肉食べさせてあげよう



 * *



 なによコイツ、対抗して私の口に肉を、うめっ、にく、うめっ。兄さん今日は赤身の肉にしたのね。大量に食べてタンパク質もりもりって事?やっぱり出る量とかも変わるの?そんなの夏休みの自由研究で調べたい部門第一位じゃないの。毎日でも調べたいわ。にくうめっ



 * *



 なんだろう、アニメで女子高生とかがやってる食べさせあいって『あ~ん♪』って感じなんだけど、この子達押し込んでない?お互い殺そうとしてんの?イズミの目が怖いよ。なんでそこまで必死なんだ…そんなに野菜食うの嫌だったのか?


 大田さんもすごい顔で野菜貪ってるし、普通やり返すかねあのイズミに…怖いよこの子…



 じゃあ俺は一人で貝でも食べますかね…置いておいても誰も焼かないんだもの…空気読めてなかったのかな俺…


 まぁ、エビとかホタテとか買ってきたから全部独り占め出来るのなら儲け物だと思おう


 BBQの時には鉄板も持ってくると海鮮物を焼きやすくなるからおすすめだ。なんなら最後にこの鉄板の上で焼きそばなんかも良いなぁ~。酒が進む進む…あっそういえばさっき大田さんが運転の事気にしてたけど…もしかして大田さんも酒飲みたかったのかな?イズミが飲まないから考えた事なかったけど、一応イズミも成人はしてるんだよなぁ。同級生だったらお酒飲んでてもおかしくはないか



「大田さんはお酒とか飲まないの? ビールでよかったら飲んでよ」


「い、いえ…私はお酒は…弱いので…」


「そうなんだぁ、最近の子って飲まないよね。イズミもだし」



 * *



 の、飲みたい…でも神田さんに酒飲みとか思われたらなんて言われるだろう…会社の飲み会とかでも大人しそうな見た目だけに『お酒とか飲むんだ、意外だねぇ~』と言われる事の鬱陶しさと来たら…でもお兄さん、やたら美味しそうに飲むし…イカのゲソとか焼いちゃって…あぁ~!いいですねぇ~!



「で、でもまぁ…今日は、少しだけ…」


「お、いいよいいよー好きなように飲みなさい」



 はぁぁぁ~!クーラーボックスに入ってたからキンキンだぁぁぁ…最初の一口は混じりっ気のないお酒だけの味を…火の元近くで火照った体温を一気にお酒で……冷やすッ!!


 麦の味、苦みが広がって体が冷えると共に脳天は熱を持ち…容赦なく流れ込んでくる二酸化炭素で呼吸が苦しくなってきたらば、新鮮な酸素を求めて口を離して…



「ぷっっっっはあ~~~~~うんまいぃぃぃ~~~///」


「おお、いい飲みっぷりだぁ」


「めちゃくちゃ酒飲みじゃないの」


「あっ、いえこれは///ゲフッ…あっ///失礼しました…///」


「まぁまぁ、今日は無礼講という事で。どうぞもう一杯」



 * *



 なんだ大田さん、結構イケる口じゃないか。イズミみたいに冷静な人が近くにいると飲みやすいんだよなぁ~。にしても最初はやっぱり警戒されてたんだろうか?まぁ、女性に酒勧める男とか警戒してしかるべきなんだけどさ。女性は大変だよなぁそんな事気にしながら酒飲まなきゃいけないんだから。今日は楽に飲んで欲しいんだけど…


 そうだ、イズミとイチャイチャしてれば自分の妹にしか欲情しない異常性愛者だって分かってくれるだろうか?その方が話は早いか、そうしよう。



「イズミ、こっちおいで。今日は兄さんの膝の上で食べていいよ」


「えっ、いいの!?」


「ゴクッ…ゴクッ…プヘァー!///」



 * * 


 

 兄さん…どういう風の吹き回しかしら…?膝上に座らせる事で"膨らんでませんよ"というアピールのつもりかしら?それとも大田さんが酒を飲んだ瞬間に萎えてしまったのか…行為中に吐かれたら流石の兄さんでも動揺するのかしら


 まぁ今となっては別にいいわ。たった今兄さんの傍にいるのはこの私、如月イズミよ。依然変わりなく



「あぇ~/// それぇにしてもあれですかぁ?/// お二人はご兄妹とか言ってましたけどもですねぇ/// ふつ~にキスとかしてるんれぇすかねぇ?///」


「「え?」」


「なぁ~んかイチャイチャしちゃってぇ/// ヒック!/// 毎晩あれですか?/// お盛んですかぁ?///」


「……いつのまにそんなに飲んでたんだ」


「酒癖がめちゃくちゃ悪いわね」


「独身のわぁらしもまじぇてくらさいってかぁ~?/// あっはははははぁ~!!/// うぃ~…」



 お酒を飲むと性格が変わるという人が一定数居るが、そういう人は人格が変わるのではなく、普段から抑圧されていた感情が酒の力を借りて解放されるだけなのだ。


 たまのお酒の席だ、楽しく飲もうではないか。そのために俺とイズミは大田さんの話をゆっくり聞いてあげる事にした。念のために持って来たカメラの電源をオンにしながら。



 つづく

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