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第177話 キモオタ達の談話タイム

 


 如月大我は今日も配信中。電子の海から泡沫のような視聴者達の意見をサルベージしてはそれらについて真剣に討論する。それが今では定番となり本日も例に漏れず一人の視聴者から議題が提示された




【でもメガネ外したら美少女ってセンスないよな】




 う~む……なんて根深い問題を階段の上り下り程度のテンションで言ってのけるのか? 確かに俺やイズミがメガネを掛けていたとして、平時と大差ないほど人の目には留まるだろうし……顔の良い人間が根暗に見られたとして顔の良い根暗ってだけで"眼鏡を外すと美人!"とはならんだろう。この意見を述べている彼はメガネフェチ故、こういう手法を安易に使う創作物に思う所は有るんだろう。



【作者がメガネ書くの面倒になっただけだと思うよ】


【その一件から完全に外すのホンマくそ】


【大体この理論を言われてるのが巨乳という不条理】



 これは確かに俺も感じた事がある物ばかりだ。大体こういう事言うのがモテてる主人公だからそれにほの字な女の子は翌日からメガネを外して登校するんだが、多くの場合は編集から提案されてのテコ入れとして新ビジュアル程度のノリで恒常化される事になる。読者にとってはこれが原因で作品自体を読まなくなる人も居るくらい死活問題なのだ。



「でも"メガネ掛けてても美人論"に基づくならメガネを外したとして美人なのに変わりはないよな? そこに何の不満があるんだ?」



【目の前で男の色に染められる推しを見るのが辛い】


【シンプルにメガネが好きだった】


【何を勘違いしてるのかスカート丈も短くして再登場するから】



 なるほど、童貞症候群か。これに患ってしまうと中々抜け出すのに苦労するぞ……彼らは自分達の見ている地味系メガネヒロインの陰っぽい部分に惹かれているのだろうが、主人公にとってはメガネを外した陽っぽい雰囲気の方に琴線が触れたというだけなのだろう。自分が好きな物を皆も同じ様に共有してくれなきゃ嫌だ! という狭量さが対人経験値の低さを如実に表している。



 しかしそれを伝えては気の毒だ。どうにか穏便に済ませる方法はない物か……



「じゃあ皆はメガネキャラがメガネを外す事には否定的だけど、ギャルとかが勉強会でメガネするのはどうなの? 同じ様にキャラのコンセプトが崩れてると思うんだけど」



【それは全然オッケー】


【むしろそういうギャルがいい】


【オタクに優しいギャル路線は高評価】



 何言ってんだコイツら……結局自分が肯定される事を望んでいるだけじゃねーか! ていうかオタクに優しいギャルってなんだよ? 優しくされても返事が出来ないんだから離れていくだろ。そしたら匿名で『やっぱギャルくそ』とか言うんだろ? せっかく話しかけてくれたギャルの方が優しくされるべきだろ、考えを改めろ本当に。



 とか言ったらどうせ視聴者という弱者の盾を使って炎上を画策するだろうからなんとかして優しく伝えないとな。



「じゃあメガネのキャラだけ追ってれば自ずと最推しとか出来るんじゃないの? ムリして新規の土壌を開拓する意味とか有るのか?」



【グッズとかの供給がいつまでも続く訳じゃないんやで】


【なんかメガネ=癖の強いだと思ってる作者が多すぎる気がする】


【それな】


「へ~」



 身内にかなり思い当たる節がある……! 言われてみれば科学者キャラとかメガネじゃなけりゃ痩せてこけた頬くらいしかトレードマーク無い気がするし、他にも瓶底メガネの教師とかも同僚から気味悪がられている描写が多かったり……メガネってだけで変人に仕立て上げられるのは可哀想だが、視力が低下する程何かに打ち込んでいる者の宿命なんだろう……ならコンタクトにしろよっていうのは御法度なのかな。



「じゃあオタクに優しいギャルがメガネはセーフ、地味娘がメガネ外したらギャルなのがアウトって線引きでよろしいか?」



【それはそれで美味しい】


【むしろプラス要素】


【正直興奮する】



「もう死んでしまえ」



 これらのシチュエーションで一貫しているのは"男の主人公がイメチェンの要因に関わっているかどうか?"という部分だ。つまりこのキモオタ共は自分に向けられない好意が別の男に向けられている事に激しい憤りを感じる人種らしい。なんだこの地獄は……まるで自分の彼女が寝取られたかの如く批判的になるが、初めからお前らの様な登場人物は存在していないのだ。いい加減気付いて仕事しろバカ。



 なんて言おうものなら何人か死にかねない。仕方のない事だと受け止めてやるのが寛容かもしれんな



「でもそれだと妙だな……なんで俺がイズミから一方的に好意を寄せられるだけの配信とか見てられるんだ? 今までの傾向的に嫉妬で憤死しててもおかしくないのに」



【オタクに優しいギャルには幸せになって欲しいから】



「誰がオタクに優しいギャルだよ」



 まぁ"女心と秋の空"なんてことわざが使われていたのも今は久しく、移り変わりが激しい事を"三か月後のオタク"と揶揄している者まで居るくらいだからな。どうせ属性に不満を持っても来シーズンまでには忘れているだろうし、新しい嫁()を見つけるのだろう。



 メガネを外そうが掛けていようが、そのキャラ自体の魅力を"色眼鏡"で見てはいけない。今日の落としどころはこんな物でいかがだろうか?




【でも男の娘キャラが本物の女だったらブチギレるじゃん】



「当たり前だろ。そんな概念存在しねぇんだよ、考えた奴連れて来い車の後ろに括りつけて峠攻めてやるから」




 余談だがキモオタの特徴としては自分の発言が高確率でブーメランとなって突き刺さるのだという。





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