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第140話 エステをかけたデスゲーム

 

【前回のあらすじ】大我が商店街の福引で当てたエステ無料券をかけてBBA三人と大田さんに殺し合いをさせます



「それでは今から皆さんには殺し合いをしてもらいます」


「お前を殺してやろうか」



 お肌カサカサの晴香が真っ先に俺に食って掛かって来たが、それでも威勢が良いのは口だけで…その肌は年相応に決して水を弾かない事だけは理解出来た。



「まぁまぁ大我クンに限ってはいつもの事じゃないか。我々に遊んで欲しいんだよ」



 厳島カガリは自分がまるで包容力に溢れているかのような立ち回りをしているが、どちらかと言えば彼女の肌の方が包容力に満ち溢れている様に感じるのは気のせいだろうか?一度押されればそれを受け入れ、なかなか戻っては来ない反発力皆無の肌。彼女もまた老いには勝てないのだろう



「それで私達は何をすればいいの大我ちゃん?」



 何でもかんでも受け入れ態勢バッチリの神田朝陽さんに限っては呼ばない方がよかったのではないかと思い始めている。もしも今回のゲームで彼女が勝ってしまったら、エステとかいう隠しカメラが大量に仕込まれていて、得体の知れない気持ち良くなる液体を体中に塗りたくられる場所に行く事になるのだから。完全にぬらぬらのテカテカになって帰って来るに決まっている、俺は詳しいんだ


 ※大我の妄想です



「まったく…私忙しいんですから手短にお願いしますよ大我さん!」


「嘘吐けニート」


「家事手伝いなんですけど!」



 今回も別に呼んでいないけど付いてきたこの女が一番問題かもしれない。大田まさみは俺の妹である如月イズミと同い年にも関わらずイズミの様な透き通るほどの白い柔肌も持たず、しかも誰に見せる訳でも無いので一切ケアもせずに酒だけ飲んでいるので、もうこの若さで荒地に片足突っ込んでいると言っても過言ではない。まだ自分が崖っぷちだとでも思っているのだろうか?



「おい、お前らに一つだけ言っておく──」



「お前らもう終わってるぞ」



「はぁ!?」

「なんだこの野郎!!」

「クソガキが!!」


「まぁまぁ…落ち着いて…」



 厳しい事を言うようだが彼女らの為である。いつまでもこんな風に好きな時に酒を飲んでは食っちゃ寝という夢のような生活が出来るとは思わない方がいいだろう。人間の体とは内に毒を貯めじわじわと細胞を蝕み、いつしか"病気"という形で姿を現すのだ。普段から自分の体を気遣えていない人間が未練を残して死んでいくのだろう、そう俺の父親の様に。



「悪い事は言わないから君達は今すぐ酒を辞めなさい」


「イヤだね。なんでこの中でも一番酒飲んでるお前にそんな事言われなきゃならないんだよ」


「そうだそうだ! 大我さんの方こそお酒辞めた方が良いんじゃないですか!?」


「物事の本質を一切理解していない…愚の骨頂とはまさにこの事だな」



 今回俺がこの家に呼んだ理由を掻い摘んで彼女らに説明すると予想通り『エステ』という言葉に小躍りする者まで居る始末だった。しかしいざ対面してその肌の状況を見るととてもエステなんかでは改善できる状態ではなかったのだ



「いいかお前ら。エステでは体内の毒素を外側に放出だ何だと言っているが、あれは血液を別人のものに入れ替えたりとか、内臓を新品にすげ替えたりとか言う魔法みたいな物では無い事は理解しているな?」


「それくらい知ってるに決まってるだろ! バカにしてんのか!」


「であれば、もしもエステに行って効果が現れなければそれを誰のせいにするんだ? 日頃の不摂生をしっかりと受け止める覚悟がお前らにはあるのか?」



「・・・」

「・・・」

「・・・」



「という訳で今回は殺し合いをしてもらいます」


「いやいやいや!! どう考えても繋がらんよ!!」



 長くなってしまったが、要するにせっかくエステに行けるのだからその前にエステでの効果を実感できるくらいの体を作っておきましょうね。という会を開いた訳だ



「この中でエステに行けるのはたった二人だけだ。今日のトレーニングで一番健康に近づいた二人だけがその切符をつかみ取る事が出来るって訳!!」


「はいはーい! 大田さんだけ若くてズルいと思いまーす!!」


「はい三沢さん良い質問ですね!!」



 確かに晴香の言う通り、倍近くも年齢が違う大田まさみの圧勝に違いないと思われるだろう。しかし彼女の生態を思い出して欲しい、地獄が如くマヨネーズを喰らい、あげく今では酒浸り。あのハツラツとした柔道娘はどこへやら?今では小脇に一升瓶を抱えている輩と相違ない。ここに居る面子と何が違うというのだろうか?



「大田さん最近さ、なんか太って来てない?」


「い、いえ…これは昨日のお酒が残って顔がむくんでいるだけで…」


「前にさ、イズミと一緒にスリーサイズ測った事あるじゃない? 今も出来る?」


「ぷ…ぷらいばしーですので…」



「…なんか途端に大丈夫そうな気がして来たぞ」


「なんなら私らの方がスタイル良さそうに見えるしな…」


「悪いわよそんな事言っちゃ…」



 こんな些細な微差でも喜びを感じてマウントを取り合ってしまうとは…これだから女は嫌いだ。どれだけスタイルが良かろうが若かろうがどのみちイズミの足元にも及ばないというのに…虚しい物だ。そんな通称"イズミ以下"の皆さんに参加して貰う今日のレクリエーションはこちら!!




「ポロリもあるかもよ!? 不健康を覆せドキドキツイスターゲームー!!!」



「これって…エッチな動画で見た事ある奴だわ!!」


「…朝陽ちゃん?」


「朝陽さん…やっぱり…」


「こんな女がエステなんか行っちゃダメだろ」



 少しでも若返る様に、年増だらけの大運動会が今始まる──



 つづく!!




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