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第104話 酒盛り至上主義-後編-

 


【前回のあらすじ】小生如月大我と申すものですがイズミとのイチャイチャキボンヌ。うはwwwwwBBA共邪魔すぎワロタwwwww



 つまりは俺がどうにかしてこのお邪魔虫らを酔い潰し、ホテルに連れ帰って俺はイズミと二人きりでラブラブチュッチュ、ギシギシのアンアンという訳よ。その為にはホテルに帰れるだけの余裕を残しながらも前後不覚の酩酊状態にまで陥れなければならない。このメンツで泥酔と言えば血のクリスマス事件を思い出させるが、今回ばかりはあの時レベルの泥酔が好ましい



 先程からの飲みっぷりを考慮するとまだまだほろ酔い程度、この先はありとあらゆる種類の酒でちゃんぽんさせる事で酔いを速く回してしまおう。幸い安酒だが種類の多い居酒屋だったらしくボトルで千円ほどのワインもメニューに並んでおり、後から効いてくる日本酒や甲類焼酎も充実している。こんな所で飲み会なんかした日には悪酔い必至だろうが、既に俺はここから数時間後の事を考えて胸の高鳴りが抑えられない



「えぇ~それでは僭越ながら、へへ…こちらの店で最後となりますので思う存分ハメを外して楽しみましょう。ハメを…へへへ…」


「なんだ気持ち悪い笑い方しやがって…」


「こんなおばさん達を酔わせてどうするつもりだね」


「私まだ若いですけどね」


「わ、私もまだ…まだまだ…」



 こんな他愛ない会話にも花を咲かせる気なんか一切なく、なぜなら俺は淡々と酒を注文しては飲ませ続ける使命を背負っているのだから。このセリフだけを聞けばまるで某大学のヤリサーかと勘違いされそうなので訂正させて貰うが、俺の意中の人物は一滴も飲んでいないのでご安心ください。なんならこいつらにだけは一服盛ってやればよかったな…



 そんな俺の企みにも気づかない馬鹿な女共は北海道という土地柄に完全に騙されているのか、ツマミとして注文したフライドポテトを食べて「流石道産のジャガイモだ!」とか言っているが俺には分かる。我が家のイズミちゃんが大量に食べる為いつも業務用スーパーにはお世話になっているのだが、初めて訪れたこの店で食べているこのポテトもどういう訳か食べた記憶がしっかりとある。完全記憶を持つ俺が正しければ既製品で売られている大容量サイズのフライドポテトさんで、産地カリフォルニアだってよ



 その後も一品料理を分け合い、食べる量に対して常に飲む量が上回る様に仕向けながら俺の「揚げ物にはハイボールだよな~」なんて甘言に誑かされて次々と飲み干す晴香の肌は多少赤みがかって来ただろうか?大田さんも初めて飲む種類の酒に興味津々でペースが速まっている様に見える。今回の計画を思いついた時には全員が二日酔いだった事で(まさか今日に限って酒の量を抑えられるんじゃないか…?)なんて警戒していたが案外ちょろいもんだな



 どうせ起きた時には"もう二度とあんな飲み方はしない"なんて思っていたんだろうが酒飲みなんてそんな物だよ。我慢が出来ないからまた酒に手を出して、反省しないからまた飲みすぎる。学ばないから飲み続けて手放せなくなるのは依存症の始まりとも言えるのに懲りない奴等だ。こうやって欲望に抗えなくなった者から犯罪者予備軍と呼ばれるようになってしまうのだろう…まぁこいつらの酒癖の悪さは身内でも引いてしまうくらいだからありえない話でもないのが怖い所だ



 飲み始めてまだ一時間も経ってないのにもう既にワインも一本空き、数杯のジョッキが目の前に並べられている。中々いいペースだがこれでは日付けを跨ぐ頃にちょうど酩酊と言った所だろうか…?それでは遅すぎる、少し無理矢理だが焼酎の水割りをバレない様に徐々に濃くしていこう。最終的にはほぼ原液のまま飲ませてもこいつら馬鹿だから分からんだろうし、とにかく急げ俺!このミッションを成した後には明るい未来が待っているのだから!



 そしてここから四時間が過ぎ、午後九時を回った頃…



 おかしい…とっくに落ちていてもおかしくない量を飲み続けているというのに未だに楽しそうに顔には笑みを浮かべているだと…?まさかとは思うがこいつらトイレに行く度に吐いてるんじゃないだろうな?当初の思惑通りに何度もトイレに立ち、余計にアルコールも回っている筈なのに…酒を飲み続ければ強くなると言うが昨日の今日でこんな変化が起ころう筈も無く、もはやここまで来てしまえば抗体と言えるレベルで…ん?抗体?



「それにしてもあれだな、ウコンって本当に効くもんなんだな」


「それはそうさ、あれだけの謳い文句で効果が無いなんて事になったら詐欺で訴えられてもおかしくは無いんだからね」


「これで今日は大我さんに迷惑かける事なく楽しめますね朝陽さん!」


「そうね、私たちもしっかり反省してるんですもの!」



 はは~ん…こいつら去年のクリスマスの事を反省して事前にウコンを飲んで来たって訳か…という事は肝臓の働きを促進してアルコールを分解し、酔いが回るまでには俺の想像しているよりも大分と時間が掛かるって事か。しかしいくらウコンと言えども万能な訳も無く!その効果は毒の進行を遅らせるだけに過ぎず、いずれその牙は脳まで届き奴等の意識を刈り取るだろう!!楽しみにしておくがいいウコンよ…ふっふっふ…



 それから数時間後



「申し訳ありませんオーダーストップで…」


「だってよ、まぁそろそろ帰るか」


「だね、大我クンご馳走様」



 全然酔わんじゃないか。なんだってそんな健常なんだよ、ウコンどんだけだよ



 まさかとは思うがこいつら馬鹿すぎて"ウコンを飲んだら酔わない"と脳内で思い込み、プラシーボ効果のおかげで本当に酔う事はないと脳も錯覚してるんじゃないのか!?そもそも俺が奴等の知能を見誤っていたのか…?そんな知能を削ぎ落とされた反射だけの脊椎動物みたいな人間が居る訳無いだろう…そう思いたいが正直こいつらならあり得る…朝陽さんに至ってはラムネと媚薬の違いも分からなそうだもんな…



「じゃあどこかで飲み直しましょうか? それともホテルに戻って皆で…」



 おいおい冗談じゃないぞ、そんな事になったら絶対に俺達の部屋で集合するに決まっている。親の寝ている隣で…なんてAVの企画物でしか見た事無いぞ!まぁ実際に俺が見ているのは娘の寝ている隣で娘の彼氏と…というシリーズなんだが。いや今はそんな事を言っている場合じゃない!どうにかしてこの悪魔どもを自分の部屋で寝かさなければ!!



「じゃあ私の部屋で飲み直しましょうか、私も久しぶりにお仕事以外で沢山お酒が飲めて楽しいわ♪」


「いいんですか? じゃあ大我さん達も一緒に…」


「なんだ大我、早起きしすぎて目がほとんど開いて無いじゃねーか? こりゃもう寝た方が良さそうだな…」


「そうそう、イズミちゃんも一緒に寝たらどうだね」



 どういう事だ…?ここに来て俺の思惑通りに事が運んで、というか…こいつらまさか俺の思惑を察して?



「そうね、お腹もいっぱいだしそうさせて貰おうかしら」


「あ、あぁ…そうだな」



 この様子だとイズミも満更じゃない感じというか…期待してる!?俺みたいにイズミだってこの旅行先というシチュエーションに興奮して俺の事を求めていたに違いない!!果てしない大空と広い大地のその中で果てたいと思っていたに違いない!!ええいもう辛抱たまらん!!こうなったら明くる朝まで止めどなく沸き上がる俺の欲望を発散して……



 なんて出来る訳も無く…



 実の親達からあんだけ期待の眼差しで送り出されて勃つ方がどうかしてるだろう…絶対最中に顔思い出すわ…というかイズミも普通に眠たかっただけらしく、ベッドに入ってからは俺の方を見る事も無く寝たわ。このイライラとムラムラをどう発散するべきか…



 そんな時にふと俺の頭をよぎったのが今朝大田さんの部屋で見たあの魔法のカードだった──



 * * *



 翌日の目覚めは良好、変わりない朝の景色が俺とイズミを迎えてくれた。どういう訳かイズミは俺の顔とゴミ箱とを交互に見比べては怪訝な顔をしている、なにかおかしな事でもあったのだろうか?皆目見当もつかないが…



 今度から出先での処理はトイレにて行おうと学びを得た朝だった



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