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気が付いたら猫でした…  作者: 小根畑 昌平
第3章 3日目
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17_サクラの赤ん坊


「サクラさん、レーニャちゃんを渡してもらえますか?」おばあさんがサクラに声をかける。

「トゥルペ、なにをするの?」サクラがおばあさんに質問をしながら、俺をおばあさんに渡す。

「はい、レーニャちゃんは良い子ですね~」おばあさんが声を上げながら、サクラから渡された俺を優しく撫でる。

『あっ、あっ、気持ちいいぃ~』俺はおばあさんのテクニックで気持ちよくなって、「ゴロゴロ」と喉を鳴らす。


「ネルケ、布を広げて。」おばあさんが女性に指示する。

「はい、お母さん。」女性がおばあさんの前に布を広げる。

「ほら、レーニャちゃん、ここに寝てね~」俺はおばあさんに布の上に仰向けで寝かされる。

『な、なにをする気だ!あっ、あっ、気持ちいいぃ~』俺は少し驚くが、直ぐにおばあさんに撫でられて、気持ちよくなる。


「サクラさん、ネルケもよく見て覚えてください。」おばさんはそう言うと、俺を布で包んでしまった。

『あっ!なんだこれ?か、体が動かん。』俺は頭以外を布で包まれてしまった。

「覚えましたか、サクラさん?」おばあさんがサクラに声をかける。

「はい、たぶん大丈夫だと思うわ。」サクラが両手で何かを包む動作をしながら答える。


「ネルケは覚えたかい?」おばあさんが女性に声をかける。

「お母さん、もう1回やってもらえます。」女性は首を傾げて、おばあさんに声を上げる。

「ネルケ、赤ん坊が生まれたら、またゆっくり教えてあげるわ。」おばあさんが優しく女性に声をかける。

「はい、お母さん。」女性が素直に答える。


「赤ん坊?ネルケ、あなた子どもを授かったの?」サクラが女性に声をかける。

「はい、サクラさん。恥ずかしいです。」女性がお腹と顔に手を当てて、恥ずかしそうに顔を赤らめる。

「そう、それはおめでとう。」サクラが優しく女性に声をかける。

『おめでとう!』俺も「ニャー!」と女性に声をかける。


「それで、このベルトにこうしてっと。」おばあさんが声を上げて、なにかをしている。

「はい、完成です。サクラ様、これを肩からかけてください。」おばあさんがそう言うと、布に包まれた俺が持ち上げられる。

『えっ、えっ、なにこれ?』俺は布から出た頭を左右に動かす。


「なるほど、これならレーニャちゃんを抱いたまま、両手が使えるわ。」サクラが嬉しそうに声を上げる。

『えっ、えっ、どうなってんの?』俺はサクラの顔を見上げながら心の中で呟く。

「はい、昔ザイルが赤ん坊のときには、そうやって抱いて、畑仕事に行ったものです。」おばあさんが説明する。

「まぁ、レーニャちゃん、サクラさんの赤ん坊みたい。」女性が俺の顔を覗き込んで、楽しそうな声を上げる。


「トゥルペ、ありがとう。町での用事がすんだら、また寄るわね。」サクラがおばあさんに声をかける。

「はい、お待ちしてます。」おばあさんが答える。

サクラはおばあさんに優しく微笑むと、部屋を出て家の外に向かう。


「あら、この馬は…」家の外に出ると馬がいた。

「はい、2年前に生まれて、サクラさんにソウリュウと名前を付けてもらったやつです。」男性が声を上げる。

「まぁ、あの子がこんなに大きくなったの。」サクラが嬉しそうに声を上げて、馬に近づくと馬の頭を撫でる。

『よ、よろしくね!』俺は馬と目が合い、「ニャー!」と声を上げる。


「そうだ、サクラさん、もうすぐお昼ですけど、食事をされていきますか?」男性がサクラに声をかける。

「ありがとう、でも今日中に戻りたいから、町で何かを食べるわ。」サクラが男性に答える。

「ソウリュウちゃん、よろしくお願いね。」サクラが声を上げた瞬間、フワッと上に持ち上がる感覚がした。


「それじゃ、ザイル。夕方には戻って来れると思うから。」サクラが斜め下を見つめて、声を上げる。

「はい、行ってらっしぃませ。」男性の声が聞こえた。

「それじゃ、レーニャちゃん、行くわよ。」サクラが声を上げると、「パカ、パカ」と馬の蹄の音が聞こえてきた。

『えっ、もう馬に乗ってるの?』俺はサクラに「ニャ?」と声をかける。


「なーに、レーニャちゃん、大丈夫?。」サクラが俺の顔を見つめて声をかける。

『大丈夫だよ!』俺はサクラに「ニャー!」と答える。

「ちょっと、スピード上げましょうかね。」サクラがそう言うと、「パカラ、パカラ」と言う音が聞こえて、布から出ている俺の頭に優しく風があたる。


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