06_トンネル入ったのか…
「エルシア様、ウンリュウちゃんとソウリュウちゃんを連れて参りますので、少々こちらでお待ちください。」俺たちが屋敷の玄関から外に出ると、サクラがエルシアに声をかける。
『エルシア、サクラは、馬小屋に行ったのか?』俺は上蓋の格子の窓から見えるエルシアに「ニャ?」と声をかける。
「ん!レーニャ、どうしたの?直ぐに、出発するわよ。」エルシアが俺を見つめて声をかける。
『あぁ…、なんでもないよ!』俺はエルシアに「ニャ、ニャ!」と答える。
「フフフ…」エルシアが俺を見つめて嬉しそうに微笑む。
『あらら…、レーニャ、なにこれ?…、どうしたの?』声が聞こえて見つめると、アネモスが側面の格子窓の前にフワフワと浮いていた。
『あっ!アネモス、おはよう!』俺はアネモスに「ニャー!」と声をかける。
「ん!レーニャ、どうしたの?」エルシアが俺に声をかける。
『あぁ…、アネモスが来たんだよ!』俺は上蓋の格子の窓から見えるエルシアに「ニャー!」と答える。
「ニャーか…、レーニャ、ひょっとして、バスケットの中から出たい?」エルシアが俺に声をかける。
『あぁ…、大丈夫だよ!』俺はエルシアに「ニャ、ニャ!」と答える。
「そう、良かったわ。」エルシアが微笑んで俺に声をかける。
『レーニャ、おはよう。ところで、ねぇレーニャ、なんでこの中にいるの?』アネモスが俺に質問をする。
『あぁ…、このバスケットはね、俺を入れて安全に運ぶためのものなんだよ!』俺が答える。
『ふ~ん…、なるほどね…』アネモスがキョロキョロと見渡しながら声を上げる。
『サクラが作った、俺専用のバスケットなんだよ。』俺がアネモスに説明をする。
『あの娘たちも、いろいろ考えるのね…』アネモスが溜息交じりの声を上げる。
「そうだ、レーニャ、今日はヴォルケのハンバーグが、食べれるわよ。」エルシアが俺に声をかける。
『おぉ…、ヴォルケのハンバーグか…、楽しみだね!』俺は上蓋の格子の窓から見えるエルシアに「ニャー!」と答える。
「フフフ…」エルシアが俺を見つめて嬉しそうに微笑む。
『ねぇ、レーニャ、今日はなにを話しながら行こうか?』アネモスが俺に声をかける。
『あぁ…、そうだね…、なにを話しながら行こうか…』俺はワクワクしながら心の中で呟く。
『コインの裏表じゃないのか?』声が聞こえて上を見つめるとコイケヤが上蓋の格子の窓の外にフワフワと浮いていた。
『あぁ…、コイケヤ…、あっ!そうだよ…、忘れてた…、話が途中だったよね。』俺が心の中で呟く。
『レーニャ、その話の続き、聞きたいの?』アネモスが俺に声をかける。
『うん、だって、気になるもん!』俺はアネモスに答える。
「パカ、パカ」と蹄の音が聞こえる。
「エルシア様、ウンリュウちゃんとソウリュウちゃんを連れて参りました。」サクラの声が聞こえる。
「ソウリュウ、今日はよろしくね。」エルシアが声を上げる。
「エルシア様、そちらはウンリュウちゃんです。」サクラが声を上げる。
「えっ…、サクラ、こっちがウンリュウなの?」エルシアがサクラに質問をする。
「当り前です、まだ若いソウリュウちゃんは、エルシア様を乗せるには早いです。」サクラが答える。
「あれ?ねぇサクラ…、ひょっとして、殿下の即位式で私が乗ったのは、このウンリュウ?」エルシアがサクラに質問をする。
「はい、そのウンリュウちゃんです。」サクラが答える。
「そうか、ごめんなさいね。名前間違えちゃって、ウンリュウ、今日はよろしくね。」エルシアが声を上げる。
「エルシア様、参りましょうか。」サクラが声を上げる。
「うん、わかったわ!」エルシアが声を上げるとフワッとした感じが体に伝わる。
『エルシア、馬に乗ったのか?』俺が側面の格子の窓から外を見つめると、地面がさっきより下に見えた。
「レーニャ、行くわよ。」エルシアが俺に声をかける。
『うん、わかった!』俺は上蓋の格子の窓から見えるエルシアに「ニャー!」と答える。
「エルシア様、私の後を付いて来てください。」サクラが声を上げる。
「うん、わかったわ!」エルシアが声を上げると「パカ、パカ」と蹄の音と共に景色が流れていく。
『出発だ…、あれ?なんか、だんだん早くなってきたぞ…』俺が見つめていると、景色の流れが速くなっていく。
『レーニャ、馬が走り出したのよ。』アネモスが俺に声をかける。
『あぁ…、そうか…』俺は流れる景色を見ながら心の中で呟く。
『レーニャ、もう直ぐ暗くなるぞ。』コイケヤが俺に声をかける。
『暗く…、あっ!真っ暗になった…、トンネル入ったのか…』俺は心の中で呟く。
「パカラ、パカラ」と馬の蹄の音がトンネルの中に響き渡る。
『そういえば、ウンリュウとソウリュウは暗くないのかな?』俺は心の中で呟く。
『大丈夫だ、サクラが明かりを点けて走っているんだよ。』コイケヤが俺に説明をする。




