44_これが、デンシャだよ!
『えっ…、子どもたち1人1人には、無限の可能性がある…』俺は心の中で呟く。
『ホホホ…、そうかレーニャは、クラウス皇帝と同じことを考えたのか~』ミンツチが嬉しそうな声を上げる。
『そうよ、だから驚いたし、やっぱりレーニャちゃんは、面白いと思ったわ。』エレクラが声を上げる。
『ねぇレーニャ、誰からか聞いたんじゃないの?』アネモスが俺に声をかける。
『そんなことないよ。みんな考えることは…、一緒…、じゃないのかな?…』俺は答えながら首を傾げる。
『一緒ではないな…。学校は作ったが、実は庶民の子どもたちの入学は、それほど多くないんだ。』コイケヤが声を上げる。
『えぇ…、どうして?』俺がコイケヤに確認する。
『それは、そうだろう。学校に行かせれば、子どもたちは7年間、家の手伝いが出来なくなるんだ。』コイケヤが答える。
『えっ…、家の手伝い?…』俺が心の中で呟く。
『なんだレーニャ、わからないのか?』コイケヤが俺に確認する。
『いや…、家の手伝いって…、どういうこと?』俺がコイケヤに確認する。
『そうか…、レーニャは猫だから、わからないのか…』コイケヤが溜息交じりの声を上げる。
『いや、家の手伝いくらい知ってるよ!かぁちゃんの代わりに、買い物に行ったり、食器洗ったり、それから…、なんかあったかな?…』俺は首を傾げる。
『レーニャ、そんなものは手伝いではなくお使いだ。』コイケヤが声を上げる。
『いやいや、それより…、なんでレーニャは、買い物とか知ってるんだ?』ミンツチが俺に質問をする。
『知ってるよ!買い物ぐらい。かぁちゃんから買い物するメモと、お金を貰って…。あれ?…、俺のかぁちゃん、猫なのに金なんて持ってったっけ?…、あれれ?…』俺は答えながら首を傾げる。
『ホホホ…、レーニャはホントに面白いな~』ミンツチが声を上げる。
『レーニャ、家の手伝いとは、家業の手伝いだ。』コイケヤが説明をする。
『家業…、同心家業…、なんだこれ?…』俺は心の中で呟く。
『ホホホ…、レーニャ、なんだその同心家業って?』ミンツチが俺に質問をする。
『同心家業…、あれれ?…、なんだっけ?…』俺が心の中で呟く。
『レーニャ、よくわからんのだろう?』コイケヤが俺に声をかける。
『はい…、よくわからない…』俺が答える。
『ならば、しょうがないだろう。』コイケヤが声を上げる。
『レーニャ、家業とはね、その家族が生活をするための仕事よ、そしてその家族が代々従事してきた職業のことよ。』アネモスが説明をする。
『あぁ…、うん、それはわかる…』俺が心の中で呟く。
『レーニャ、人にとって家族にとって、家業は大事だ。学校に入学させるってことは、当然、家の仕事の手伝いを子どもたちは、出来なくなる。これが、どういう意味かわかるか?』コイケヤが俺に質問をする。
『えっ…、どういうこと?…』俺がコイケヤに確認する。
『学校に子どもを入学させると、7年間親元から離れて暮らすことになる。』コイケヤが答える。
『えっ!親元から、離れて暮らすの?』俺がコイケヤに確認する。
『そうよ、入学してから卒業までなら、7年間は子どもは、親元から離れることになるわね。』アネモスが声を上げる。
『えっ…、親元から7年も離れて…。えっ…、子どもたちは、7年間どこで暮らすの?』俺がコイケヤに質問をする。
『それは、学校で暮らすことになる。』コイケヤが答える。
『学校で暮らすの?』俺がコイケヤに確認する。
『そうだ、学校があるのは帝都だが、帝国の領土はとても広いだろう。そんな帝国の町や村から子どもたちが、通える距離ではない。』コイケヤが答える。
『そうか…、デンシャやバスなんて、ないのか…』俺は心の中で呟く。
『なんだ、レーニャ、そのデンシャやバスって?』ミンツチが俺に質問をする。
『えっ!知らないの?』俺がミンツチに確認する。
『レーニャ、わかるのか?なんだそのデンシャやバスとは?』コイケヤが俺に質問をする。
『うん、四角で人がいっぱい乗っていて、座れたらラッキー!…、な感じ?…』俺が答える。
『コイケヤ、アネモス、エレクラ…、レーニャはなにを言ってるんだ?』ミンツチが声を上げる。
『相変わらず、語彙力が無いわね…』アネモスが溜息交じりに声を上げる。
『レーニャちゃん、具体的にはどんなものなの?』エレクラが俺に質問をする。
『えっとね…、長くて四角い乗りものだよ。』俺が答える。
『レーニャ、こんな感じか?』ミンツチが横に長い直方体になって、俺に声をかける。
『そうそう、そんな感じがバスで、デンシャはね、それがいくつも繋がってるんだ。』俺が右前足を上下に振って、左から右に動かして答える。
『ほうほう、こんな感じか?』ミンツチが横に長い直方体を3つ繋げた形になって、俺に声をかける。
『うん、これこれ!これが、デンシャだよ!』俺が「ニャー!」と声を上げる。




