25_レーニャはまだ眠っているの?
「アキオ、このぐらいだ。」トモノリが声を上げる。
「えっ!ここは、どこ?」俺は辺りをキョロキョロすると、部屋の中に段ボール箱がいくつも山積みになっていた。
「ここは、どこって…。アキオ、大丈夫か?俺ん家だよ。」トモノリが声を上げる。
『あれ?さっきまで、教室にいなかったか?…』俺が心の中で呟く。
「トモノリくん、引っ越しするの?」山もっちゃんの声が聞こえる。
『あら?3人組もいる…』俺が振り返ると山もちゃんとメグミン、シオちゃんが立っていた。
「違うよ、俺のオフクロの店の横に古本屋があったろ?」トモノリが俺たちに声をかける。
「あぁ…、あの古本屋か…」俺が声を漏らす。
「あの古本屋が立て替えて、マンションになるらしくてさ。そんで古本屋のオヤジが建て替え終わるまで、ちょっと本を預かってくれないかって、オフクロが頼まれちゃってさ…」トモノリが説明をする。
「へぇ~、それで、この段ボールの山って、その古本屋の本なのか?」俺がトモノリに確認する。
「うん、それで、古本屋のオヤジからさ、読みたい本があったら、勝手に箱から出して読んで良いぞって、言われてるんだ。」トモノリが答える。
「そんな、勝手に読んで良いって言っても、これって商品なんでしょう?」山もっちゃんがトモノリに質問をする。
「あぁ…、そこは大丈夫だよ。勝手に読んで良いのは、この箱とこの箱の中だけだからさ。」トモノリが足元の2つの段ボール箱を指して答える。
「他の箱は、開けちゃダメなの?」メグミンがトモノリに質問をする。
「うん、なんか貴重な本もあるらしくて、段ボール箱に赤く”開けるな!”って、書いてあるだろう?」トモノリが答える。
「ひょっとして、それをどこかに持って行くと、我々は大金持ちになれるのか?」俺がトモノリに確認する。
「アキオくん、大金持ちになる前に、泥棒さんになっちゃうわよ。」山もっちゃんが俺に声をかける。
「そうか、泥棒さんにはなりたくないな…」俺が声を上げる。
「それで、この2つの箱なんだけど、どっちも文庫本が入っているんだ。」トモノリが声を上げて2つの段ボール箱の蓋を開ける。
「うわ…、いっぱい入ってるな…」俺が覗き込むと段ボールの中に文庫本がぎっしりと入っていた。
「ほらアキオ!こっちに、時代劇の本が入ってるぜ。」トモノリが俺が覗き込んだ別の段ボール箱を指して声をかける。
『どれどれ、おぉ…、”大阪の夏と六文銭”、”新・新選組”なんだこれ?”同心家業 空蝉”、”同心家業 風刃”、なんだこれは、同心家業シリーズか…』俺が並べられた文庫本を見つめて心の中で呟く。
「ドウシンカギョウ、カラセミ?」シオちゃんが俺の横から段ボールを覗き込んで声を上げる。
「シオちゃん、それはねウツセミって読むんだよ。」トモノリが声を上げる。
「ウツセミ…、へぇ~」シオちゃんが声を上げる。
「そしたら、トモノリくん、こっちはなんて読むの?カゼハ?」シオちゃんが文庫本を指してトモノリに質問をする。
「そっちはね、フウジンって読むんだよ。」トモノリが答える。
『へぇ~、これでフウジンって読むんだ…』俺はシオちゃんの指した文庫本を見つめて心の中で呟く。
「ねぇ、トモノリくん、私たちも借りて良いの?」山もちゃんがトモノリに声をかける。
「あぁ、良いよ!」トモノリが答える。
『ふ~ん…、フウジンか…。あれ?なんか、俺…、忘れているような…』俺は心の中で呟く。
「アキオ、どうしたんだ?」トモノリが俺に声をかける。
「ううん、なんでもない、俺これを借りる。」俺は”同心家業 風刃”の文庫本を手に取って答える。
「それじゃ、私こっち!」シオちゃんが”同心家業 空蝉”の文庫本を手に取って声を上げる。
「私、これにする!」山もっちゃんが違う箱から文庫本を手に取って声を上げる。
「う…ん…」腕を組んだメグミンが段ボール箱を覗き込んで声を漏らす。
「なんだ、メグミン、決まらないの?」トモノリがメグミンに声をかける。
「ねぇ、トモノリくん、なんかお勧めの本はないの?」メグミンがトモノリに確認する。
「お勧めなんてないよ。こういうときは、直感で選ぶもんだよ。」トモノリが答える。
「そうですよ、エルシア様、迷ったときは直感です。」山もっちゃんがメグミンに声をかける。
『あぁ…、そうだね直感だね。えっ!エルシア様…』俺は山もっちゃんを見つめて心の中で呟く。
「サクラ、それだと、私が決めたことになっちゃうでしょう!」メグミンが山もっちゃんに答える。
『はい…、サクラ…』俺はメグミンを見つめて心の中で呟く。
「ねぇ、それよりサクラ、レーニャはまだ眠っているのかしら?」メグミンが山もっちゃんに質問をする。
『えっ…、レーニャ…』俺が心の中で呟くと目の前が真っ暗になる。




