35_おにぎりルーレット
「今日も我らに生きる糧を与えてくれた、全ての生命たちへ、またその生命たちを育んだ火、水、土、風の4つのエレメントに感謝を捧げる。それから、今日この日、新しい家族を迎えて、一緒に糧を得ることは幸甚の至りである。」エルシアが目を閉じ両手を胸の前で組んで声を上げる。
サクラもフレヤも、エルシアと同じように両手を胸の前で組んで目を閉じている。
「いただきます。」「いただきます。」エルシアが声を上げると、続けてサクラとフレヤも声を上げる。
サクラの木の下に大きな布を敷いて、真ん中におにぎりの入ったバスケットを囲んでエルシアとサクラとフレヤが丸くなっている。
エルシアもフレヤもサクラも、バスケットの中からおにぎりを1つずつ手に取る。
「そうだ、フレヤは好き嫌いはないの?」サクラがおにぎりを手に取ったフレヤに声をかける。
「好き嫌いって、なに?…」フレヤが首を傾げる。
「人によって様々ですが、例えばナスとかピーマンとか、フレヤは食べれる?」サクラがフレヤに質問をすると、エルシアが手に取ったおにぎりをジッと見つめる。
「ナスもピーマンも、食べれるよ。」フレヤが答える。
「そう、それは良かったわ。どんどん食べなさい。」サクラが微笑んでフレヤに声をかける。
「うん!」フレヤが返事をして、手に取ったおにぎりを食べ始める。
「あら?エルシア様、どうされたんですか?」サクラがエルシアに声をかける。
「う…、うん、今日のおにぎりの中には、なにが入っているのかなぁ~っと、思って…」エルシアが声を上げる。
「そうですね、いろいろと入れてみましたので、食べてからのお楽しみって、ところでしょうか。」サクラが嬉しそうに微笑みながら声を上げる。
「あぁ!」おにぎりを食べていたフレヤが驚いた声を上げると、エルシアが驚いた顔でフレヤを見つめる。
「あら?フレヤ、どうしたの?」サクラがフレヤに確認する。
「ひき肉が入ってたの…、美味しいい。」フレヤが答えて嬉しそうに声を上げると、エルシアが安堵した顔をする。
「フレヤ、なんのひき肉なのかわかる?」サクラがフレヤに質問をする。
「う~ん…、美味しいんだけど…、なんの肉だろう?」フレヤが首を傾げる。
「それは、鶏肉ね。」サクラがフレヤのおにぎりを見つめて声を上げる。
「そうか、これが鶏肉か…」フレヤはおにぎりをまた食べて声を上げながら頷く。
「他にも、いろいろ入ってるからね。」サクラがフレヤに微笑んで声をかける。
『これって、おにぎりルーレット…』俺が心の中で呟く。
『あらら、レーニャちゃん、なにそのおにぎりルーレットって?』エレクラが俺に質問をする。
『いや、だって、おにぎりの中身がわからないんだよ。ひょっとしたら、エルシアの嫌いなナスやピーマンが、入ってるかもしれないじゃん。これは、エルシアにとっては、凄くドキドキだぜ。』俺が答える。
『あらら、それがおにぎりルーレットなの?』エレクラが俺に確認する。
『う、うん…、おそらく…』俺が答える。
『あらら、なによ、そのおそらくって…』エレクラが溜息交じりに声を上げる。
「エルシア様、どうしたんですか?」フレヤが次のおにぎりをバスケットから手に取って、エルシアに声をかける。
「うん、なんでもないわ、食べるわよ。」エルシアが答えて、おにぎりを食べ始める。
『さぁ…、中身はなんだ…』俺が見つめると、エルシアが安堵した顔をする。
「エルシア様、おにぎりの中はなんだったんですか?」フレヤが嬉しそうにエルシアに質問をする。
「味付けをした茹で卵よ。」エルシアが答える。
「次は、なにが入ってるのかな?」フレヤが手に持ったおにぎりを見つめて嬉しそうに声を上げる。
『あぁ…、フレヤにとっては、ワクワクなんだな。エルシアもサクラも嬉しそうだ。』俺はフレヤとフレヤを見つめて優しく微笑むエルシアとサクラを見つめてホッコリする。
「さて、私も、もう一ついただこう。」エルシアがバスケットからおにぎりを1つ手に取る。
「あれ?これは、なんだろう?」おにぎりを食べていたフレヤがおにぎりを離してジッと見つめる。
「あぁ…、それはレバーペーストね。」サクラがフレヤのおにぎりを見つめて声を上げる。
『あっ!エルシアが固まった…』エルシアがおにぎりを手に持ったまま固まる。
「フレヤ、食べれる?」サクラがフレヤに確認する。
「うん、大丈夫。不思議な味、初めて食べた。」フレヤが嬉しそうに声を上げるとまたおにぎりを食べる。
「あら?エルシア様、どうされたんですか?」サクラがおにぎりを持って固まっているエルシアに声をかける。
『なんだエルシア、サクラに念を送ってるのか?…』エルシアはサクラの目をジッと見つめる。
「エルシア様、早く食べないと、フレヤに全部食べられちゃいますよ。」サクラは微笑んでエルシアに声をかけると、バスケットからおにぎりを手に取る。




