29_ヨッカブイの正体
「私は、このまま可愛い寝顔を見ていても、良いですよ。目の保養になります。」サクラが声を上げる。
「目の保養…、そうね…、今だけだもんね。この子もやがて大きくなっちゃうのか…」エルシアが寂しそうに声を漏らす。
サクラはエルシアの横顔を見つめて、哀しそうな顔をする。
『ねぇエレクラ、フレヤはいつ起きるの?』俺がエレクラに質問をする。
『もうしばらくしたら、起きるわよ。』エレクラが答える。
『あっ!そうだエレクラ、捕まったパウルとレプティリアンは、どうなったの?』俺がエレクラに質問をする。
『パウルは捕えられた後、マンソンジュの国の法により裁かれたわ。』エレクラが答える。
『懲役どのぐらい、くらったの?』俺がエレクラに確認する。
『懲役…、懲役じゃないわよ、死刑よ。』エレクラが答える。
『ありゃま…』俺は心の中で呟く。
『レーニャちゃん、説明したでしょう。国に対しての反逆、そして帝国に対する裏切り行為、捕まった翌日に首を切り落とされたわ。』エレクラが説明をする。
『レ、レプティリアンは、どうなったの?』俺がエレクラに質問をする。
『レプティリアンは、帝国に身柄を引き渡されたわ。』エレクラが答える。
『帝国に引き渡された…、どうして?』俺がエレクラに確認する。
『マンソンジュの国には、他国の者を裁く法はないわ。だから、帝国に引き渡したのよ。』エレクラが答える。
『ふ~ん、そういうものなの?』俺がエレクラに確認する。
『そうね、そういうものね、どこの国も一緒よ。』エレクラが答える。
『帝国に引き渡されたレプティリアンは、殺されちゃったの?』俺がエレクラに質問をする。
『そうね、あのレプティリアンも、殺されちゃったわね。』エレクラが答える。
『帝国で死刑になったの?』俺がエレクラに質問をする。
『ううん、死刑ではないわ、暗殺よ。』エレクラが答える。
『暗殺…』俺は心の中で呟く。
『ねぇエレクラ、ひょっとしてハンゾウの手の者が、レプティリアンを暗殺したの?』俺がエレクラに質問をする。
『違うわよ。キョサツトに暗殺されたのよ。』エレクラが答える。
『キョサツトに?…、キョサツトって、仲間じゃないの?なんで暗殺されたの?』俺がエレクラに確認する。
『捕えられたレプティリアンは、命惜しさに自分たちが大陸で行っていることについて、知ってることを全部しゃべっちゃたのよ。』エレクラが答える。
『大陸で行っていること…、どんなことしてたの?』俺がエレクラに確認する。
『例えば、レーニャちゃんも見たでしょう、エリスの村がどうなったのか?昔から、大陸では小さな村の住人が、一夜でいなくなることが、たまにあったのよ。』エレクラが答える。
『えっ…、一夜で住人がいなくなるなんて、そんなことたまにあるの?』俺がエレクラに確認する。
『そうね、100年ぐらいに1度あるか、ないかぐらいよ。』エレクラが答える。
『でも、そんなことがあったら、大騒ぎになるんじゃないの?』俺がエレクラに確認する。
『うん、大騒ぎになるわよ。でもね、住人がどこに行ったのか、なぜいなくなったのか、エリスの村もそうだったけど、誰もわからないでしょう。』エレクラが答える。
『あぁ…、確かに…、そうなるのか…』俺は心の中で呟く。
『それに、小さな村の住人がいなくなるのは、他の国でもあってね。しばらくは大騒ぎになるけど、やがてみんな忘れてしまうわ。』エレクラが説明をする。
『忘れる?…、ちょっと待ってよ、人が大勢いなくなってるんだよ。忘れちゃって良いの?』俺がエレクラに確認する。
『レーニャちゃん、実はね、住人たちの意思で、他の国に移り住む場合もあるのよ。』エレクラが答える。
『えっ…、そんな自由に移り住んで、良いものなの?』俺がエレクラに確認する。
『そうね、それに関しては、別に規制はないわ。移り住んだ国が、それを承認すればね。』エレクラが答える。
『あぁ…、だからレオンハルトは、サイタマに行くって言ってたんだ…』俺は心の中で呟く。
『そうね…。でもね、その中でもいくつかは、村の住人がエリスの村のように殺されたり、または生きたままレプティリアンの国プラーヌスに連れて行かれたのよ。』エレクラが説明をする。
『大規模な、人攫いだな…、』俺が心の中で呟く。
『それからね、帝国もそうだけど、他の国でも、子どもが行方知れずなることが、たまにあったのよ。』エレクラが説明をする。
『子どもが行方知れず…、ひょっとして、それってヨッカブイっていう怪しいおじさん?』俺がエレクラに確認する。
『あぁ…、今ではあまり聞かなくなったけど、レーニャちゃんよく知っているわね、人々の間で語られていた伝承ね。でも、答えは違っていて、キョサツトが子どもを攫っていたのよ。』エレクラが答える。
『ヨッカブイの正体は、キョサツトだったの?』俺がエレクラに確認する。