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気が付いたら猫でした…  作者: 小根畑 昌平
第0章 気が付いたら
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06_一家団欒


木に登った俺が枝の上から下を見つめていると、「ニャー!」と声を上げてナノが巣穴から飛び出してきた。

『ん?なんだ!』俺は気になって、ナノが向かう先を見ると、かぁちゃんが帰ってきた。

かぁちゃんは、口にデッカー改めデンチよりも大きな何かをくわえている。


『かぁちゃん!』と叫ぶと「ニャー!」と声を上げていた。

『かぁちゃんが帰ってきたってことは、飯だ!』俺は木を降りようと後ろを振り向くとヒャッハーがそこにいた。

『ヒャッハー、降りるぞ。』俺は「ニャ~」とヒャッハーに声をかける。


俺が声をかけてもヒャッハーは、前足で枝を抱えた姿勢から動こうとしない。

『ん?どうしたんだ、ヒャッハー。』ヒャッハーは動こうとしない。

『あっ、こいつ登ったはいいが、降りれなくなってんのか。』俺はヒャッハーをジッと見つめる。


『しょうがねぇな、俺が見本を見せてやるよ。』俺は木の枝の上でヒャッハーを飛び越えると、木の幹に飛びついた。

俺は登ってきた順番とは逆に、後足と前足を交互に木の幹に引っかけてスルスルと降り始めた。

かぁちゃんが俺たちに気が付いて、「ニャーオン!」と木の下で声を上げる。


『しまった、顔が上だとどこまで降りたか、わかんねぇや。』俺は木の降り方を失敗したと思った。

かぁちゃんが「ニャーオン!」とまた声を上げる。

ふと上を見るとヒャッハーが頭をこちらに向けて木の幹にしがみついている。


『おう、ヒャッハー凄いじゃないか。』俺は感心する。

ヒャッハーは木の幹を前進するように降り始めた、『やべ、ぶつかる。』俺も木の幹を後退するように降りる。

しかし、ヒャッハーの降りるスピードは速く、どんどん俺に近づいてくる。


『おいおい、ちょっとスピード落とせ!』俺がそう思った瞬間だった、ヒャッハーはうまく木の幹に爪をかけられなかったのか、そのまま落下してきた。


『ギャー!』俺が思った瞬間、ヒャッハーの体が俺にぶつかると、俺の足の爪が木の幹から外れてしまう。

そのままヒャッハーと一緒に俺の体も、落下し始めた。

『落ちる~、いや、俺は猫だ!ニャンパラリン!』と思った瞬間、本能からなのか後ろ向きに落下していた体をくるっと回転させて地面に足から着地した。


『おぉー、無事だ。』前足も後足も痛くない。

『良かった~、あぶねぇ~、あぶねぇ~』俺は心の中で呟く。

気が付くとかぁちゃんが近づいてきて、俺の頭や体を舐めだした。


そんな俺とかぁちゃんの横をものすごいスピードでヒャッハーが駆け抜けていく。

『ん?なんだアイツ?』と思った瞬間、『あっ!飯だ!』俺も慌ててヒャッハーの後を追いかける。

俺が3匹が食事をしているところに近づくと、いつもとは違う大きな獲物であることがわかった。


『なんだこれ?』3匹が食べている獲物をよくよく見ると、薄茶色の羽毛で頭の方を見ると赤いトサカが見えた。

『こ、こ、コケコッコー!チキンじゃないか~。おぉ、焼き鳥、焼き鳥。ん?焼き鳥ってなんだ?まぁ、いいや』俺は3匹に混じって獲物を食べ始めた。


周りを見ると、デンチがいつものようにガツガツと食べている。

『こいつは、食べることには容赦がないなぁ~』と思っていると、ナノもヒャッハーも一心不乱に食べていた。

突然、ヒャッハーが「フゥゥ…」と唸ってナノを弾き飛ばした。


『こら!ヒャッハー!ナノを虐めんじゃないよ。』俺が思っていると、ヒャッハーに弾かれたナノがヨロヨロと歩いて、俺の近くにきて食べ始めた。

『今日のは御馳走だぞ。ナノもいっぱい食べるんだぞ。』俺の近くで食べ始めたナノを見てそう思った。

気が付くと、いつもは俺たちが食べるのを静かに見ているかぁちゃんが、俺たちに混じって獲物を食べている。


『みんなで食べると、なんか美味しいなぁ~、かぁちゃん。』俺は獲物を食べるかぁちゃんを見つめながら思った。

俺の視線に気が付いたのか、かぁちゃんが顔を上げて俺を見つめる。

『かぁちゃん、今日は美味しいぞ!』俺はかぁちゃんに「ニャー!」と声をかける。


俺がまた獲物を食べ始めると、かぁちゃんも同じように食べ始めた。

俺はみんなで食べることに、何とも言えない幸福感を味わった。


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