05_木登りしてみた
俺が子猫だと気づいてから、何日ぐらいたったのだろうか、最近は体も大分大きくなった気がしている。
かぁちゃんが狩ってくるものを、食べているおかげだと思う。
かぁちゃんは、リアルミッキーの他にもモグラやたまに野鳥を狩ってくる。
俺たちはかぁちゃんがいない間、巣穴を出て近くでじゃれあったりするようになった。
『生肉ばっかりだよな~、あぁ…焼肉食いてぇ~』と俺は自分でも意味のわからないことを考えている。
ヒャッハーとデッカーは、相変わらず元気にじゃれあっている。
『あいつら、仲いいなぁ~』俺がボンヤリそんなことを考えてると、尻尾に違和感を感じる。
俺は直ぐに反転すると、尻尾の違和感の原因がわかった。
俺の尻尾にナノがじゃれてきたのである。
『まだまだ、小さいなナノは、きっとデッカーが、お前の分まで大きくなったんだろうな。』と思いながらナノを見つめる。
ナノは小さいながらも背中を丸めて、「フゥゥ…」と声を上げて、俺に攻撃しようとしている。
『ほんと、可愛いなぁ~ナノは』そんなことを思いながら、俺はナノに抱きついた。
ナノは俺のハグから必死に逃れようとするが、俺はガッチリとホールドしてナノの頭や首の辺りを甘噛みする。
ナノが動きを止めた、『ん?どうしたナノ?』と思った瞬間だった。
俺の前足をすり抜けて、ナノが脱出に成功する。
『ほほ~、やるようになったな、ナノ』俺がナノを見つめると、ナノは一目散に巣穴の中に走って隠れてしまった。
俺はナノを追いかけようとも思ったが、『そう言えば、俺は猫なんだよな。』と考えて、山の中をまじまじと見渡す。
『木に登れるかな?やってみよう!』俺は近くの木に飛びついた。
木の幹にガッチリと前足と後足の爪が引っ掛かった。
『よし、これならいけるかも。』俺は後足を踏ん張って、右前足を前に出す、続けて左前足を前に出す。
『ん?ここから…、よし。』次に右後足を前に、左後足を前に出す。
『フフフ…、勝ったな!』俺は心の中でほくそ笑むと、前足、後足を使って木の幹を登り始めた。
途中まで上ると、横に伸びた枝があったのでそこに飛びつく、『やべ!落ちる。』前足は枝を掴んだが、後足が宙に浮いている。
『ええい!』俺は前足に力を入れて体を枝の上に載せると、後足を何とか枝にかけて、そこからはスルッと、体全体を枝の上に載せることが出来た。
『フー、危なかったぜ…』俺はここがどういうところか知りたかった。
枝の上から辺りをキョロキョロと見ると、周りにあるのは木、木、木である。
下を見るとヒャッハーとデッカーが「ニャー!ニャー!」と俺を見て声を上げていた。
『結構、高いなここ。』と思っていると、ヒャッハーとデッカーが木の幹に飛びついて、俺と同じように登ってきた。
しかし、デッカーは体が重いのか猫としての運動能力が、悪いのか途中まで登ってきたが、ズリズリと下に下がって行ってしまった。それとは違って、ヒャッハーはスルスルと登ってきた。
『デッカーはウンチだな~、良しこれからは、あいつをデッカイウンチって呼ぶか~。長いな…、うん、略してデンチだな、あいつは』と考えていると、ヒャッハーが俺がいる枝に載ってきた。
ヒャッハーも辺りをキョロキョロしていたが、前足で枝を抱えるような体制をとった。
『変な格好だな、ヒャッハー。』俺は心の中で呟く。