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気が付いたら猫でした…  作者: 小根畑 昌平
第1章 1日目

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32_サクラの部屋


「それで、ゲンジロウ、村の者は帰したか?」おじいさんが、ゲンジロウに質問をする。

「はい、皆には明日3人の葬儀を行うことを伝えて、帰しました。」ゲンジロウは障子戸を閉めると、その場に正座して答える。

「うむ、ヨロクの亡骸はどうした?」おじいさんが、ゲンジロウに質問をする。

「今夜はここに置いておくことにしました。」ゲンジロウが答える。


「サツキはどうした?」おじいさんが、ゲンジロウに質問をする。

「ヨロクの傍にいます。」ゲンジロウが少し俯いて答える。

「大丈夫そうか?」おじいさんが、ゲンジロウに質問をする。

「はい、ヨロクの亡骸を見た後、泣き崩れてしまいましたが、今はツツジが傍に着いています。」ゲンジロウは俯いたまま答える。


「うむ。」おじいさんは声を漏らすように頷く、エルシアとサクラ、フレヤも悲しそうな表情をする。

「エルシア様、サクラ様、フレヤさん、お願いがあるのですが。」おじいさんが声を上げる。

「なんですか?ヒコタロウ。」エルシアがおじいさんに確認する。

「今夜はここに泊っていただき、明日3人の葬儀に出てもらえないでしょうか?」おじいさんが頭を下げながら声を上げる。


サクラとフレヤがエルシアを見つめると、「承知しました。」エルシアが優しい声で答えた。

「ヒコタロウ、ならば今夜は、私の部屋に2人を泊めましょう。」サクラが優しい声でおじいさんに声をかける。

「はい、承知しました。それでは、夕食の準備を進めますので、エルシア様、サクラ様、フレヤさんは、お湯に入って疲れを癒してください。」おじいさんが3人をそれぞれ見つめて、声をかける。

「それでは、エルシア様、フレヤ、私の部屋に行きましょう。」サクラが2人に声をかけると立ち上がった。


「えっ!サクラの部屋に泊れるの?」エルシアが嬉しそうな声を上げる。

「エルシア様。」サクラがエルシアを見つめて、少し窘めるような声をかける。

「あっ!」エルシアが口を手で押さえて、バツが悪そうな顔をする。

フレヤは口を手で押さえて、笑いを堪えてるような表情をしている、おじいさんもゲンジロウも俯いたままだが、おじいさんの肩だけが小刻みに震えているような感じがした。


「それでは行きましょう。」サクラはエルシアとフレヤが立ち上がるのを確認すると、障子戸を開けて廊下に出る。

フレヤに続いてエルシアが廊下に出ると、「ヒコタロウ、ゲンジロウ、世話になります。」エルシアが部屋の中に振り向いて声をかける。

「はっ!」おじいさんとゲンジロウが返事を返した。

サクラは障子戸を閉めて、「では、こちらです。」と声をかけると廊下をスタスタと歩き出した。


『サクラの部屋?えっ、なんでサクラの部屋がここにあるんだ?』俺がそんなことを考えて、フレヤの肩に前足をかけて後ろを見ると、エルシアがなぜか嬉しそうにしていた。

『ワクワクなのか、サクラの部屋は?』俺は心の中で呟く。

しばらく、廊下を歩いて行くと、大きくは無いが塀と同じ白い壁で、屋根が瓦の一軒家が見えてきた。


廊下が一軒家に向かって、橋のように伸びていて、上を見ると廊下に屋根がかかっていた。

「こちらです。」サクラが部屋の前で、板戸を開いて後ろを振り返る。

「入っても良いの?」エルシアが嬉しそうに声を上げると、部屋の中に入って行く。

俺もワクワクして、フレヤの腕から飛び降りるとエルシアに続いて部屋の中に入る。


『真っ暗闇じゃ、あ~りませんか。』俺は暗闇の中で、キョロキョロする。

「カチ!カチ!」と後ろで金属がぶつかるような音がして、振り向くと四角い障子の箱が明るく灯った。

『おう、これは、なんだっけ?あれ、なんか名前があったな~、ランプじゃないし、ランタンでもないし…』俺が首を傾げて考える。


「行燈の明かりって、いいわね~」エルシアが行燈を見つめて声を上げる。

『それだ!行燈だ!』俺は思わず「ニャー!」と鳴いた。

「どうしたの、レーニャ?」急に大きな声で鳴いて、エルシアが俺を見つめてクスクスと笑う。

サクラとフレヤを見ると、笑うエルシアを見つめて優しく微笑んでいた。


「さて、それでは着替えますか。」サクラは声を上げると、エルシアの傍に行って鎧を手際よく外していく。

エルシアが嬉しそうにワクワクしているのが、見ていてわかった。

フレヤを見ると既にパンツだけになっていて、部屋の奥に歩いて行く、俺も後ろをヒョコヒョコと着いて行く。

部屋の奥には四角い木でできたタンスがあって、フレヤはタンスの下から2段目の引き出しを開ける。


『なんだ?小さなメダルでも、探してるのか?』俺はフレヤを見つめて心の中で呟く。

フレヤはタンスからなにかを出して、慣れた手つきで袖を通すと帯を締める。

『あっ、浴衣だ!』淡いピンク色の浴衣を着たフレヤを見つめて俺が心の中で呟く。

「なに、それ、フレヤ!サクラ、私もあれが良い。」浴衣姿のフレヤを指さして、スッポンポンのエルシアが声を上げる。


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