04_俺たちワイルドだぞ!
次の日、目を覚ますとかぁちゃんがいなくなっていたが、いつものことなので再び瞼を閉じて眠る。
「ニャー、ニャー」と鳴く子猫たちの鳴き声で、目を覚ます。
『あぁ、かぁちゃん帰ってきたのか。』俺が巣穴の出口を見つめると、かぁちゃんが俺たちのもとへ歩いてきた。
『ん?かぁちゃん、なんかくわえてるな。なんだろう?』かぁちゃんは、自分の顔よりも大きなものを口にくわえている。
かぁちゃんは俺たちの前に来ると、口にくわえたものを俺たちの前に落とした。
『ん?なっだこれ?』巣穴の薄暗い光の中で、目を凝らしてかぁちゃんが俺たちの前に落としたものを見つめる。
ヒャッハーとデッカーがかぁちゃんの落としたものに顔を近づけて、匂いを嗅いでいる。
かぁちゃんに目を移すと目が合ったが、かぁちゃんは直ぐにヒャッハーとデッカーが、匂い嗅いでいる姿を見つめる。
『あいつら、ちょっと邪魔だな。』俺はヒャッハーとデッカーと反対側に回り込んで、かぁちゃんの落としたものを見る。
『ひゃー!こ、これは、リアルミッキー!』俺は驚いて体が固まって動けなくなった。
ヒャッハーとデッカーは匂いを嗅いでいたが、何か気に入らないことがあったのか、ヒャッハーがデッカーの頭を前足で叩く。
デッカーも「フゥゥ…」と体を丸めて威嚇をする。
直ぐにヒャッハーとデッカーがくんずほぐれつの状態で、じゃれ始める。
俺が視線を感じて斜め上を見ると、かぁちゃんが静かな光を湛えた目で俺を見つめていた。
『やばい、俺に食えって言ってるみたいだ…』俺はかぁちゃんから視線を外すと、目の前のリアルミッキーを見つめる。
『これは、かぁちゃんが、きっと苦労して、俺たちの為に狩ってきた獲物だ。』俺は意を決して、リアルミッキーに噛みつく。
俺の牙がさっくりとリアルミッキーの皮膚を付けぬけて、肉に突き刺さる感覚が伝わってきた。
『えええぃ、ままよ!』俺はそのまま噛みついた口を横に振って、リアルミッキーの体から肉を引きちぎった。
俺は口に含んだ肉を咀嚼すると、飲み込んだ。
『大したことないな、うん、食える。』俺はそう思うと、続けてリアルミッキーに噛みついた。
俺が食べ始めたのを見たヒャッハーとデッカーが、じゃれあうのをやめて近づいて来ると俺が食べてる反対方向から、リアルミッキーに噛みついて、肉を引きちぎって食べ始めた。
気が付くと俺の横で、ナノが頑張ってリアルミッキーに噛みついていた。
『しっかり食べろよナノ、しっかり食べて大きくなるんだぞ。』一生懸命に、食べるナノの姿を見てちょっと応援してみる。
しばらくすると、俺たちの胃はいっぱいになり、それぞれ食べるのをやめると顔や口を前足で拭き始めた。
かぁちゃんは、そんな俺たちの姿を見ると、まだ残っているリアルミッキーの肉を食べ始めた。
『俺たち、ワイルドだなぁ~』そんなことを考えながら、寝床に行くと丸くなった。
『あっ!ワイルド…、まぁ…、いいや…』俺は瞼を閉じると、そのまま眠りについた。