46_ジャンジャンバリバリ
『年齢という問題では無いな。』コイケヤが俺に声をかける。
『年齢じゃない?』俺はコイケヤを見つめて、首を傾げる。
『前に話したろ、こいつらは化け物だと。』コイケヤが俺に声をかける。
『エルシアたちは、化け物じゃない!』俺は心の中で叫ぶ。
『そうだったな、これは、すまん。レーニャにとっては、大切な家族だったな。』コイケヤが優しく俺に声をかける。
『う、うん…』コイケヤが素直に謝ったので、俺は頷く。
『エルシアもサクラも、不老の者だ。300年近く歳をとっていない、結婚などしてみろ、旦那が先に老いてしまう。』コイケヤが呆れた声を上げる。
『えっ!でも、ユスクドの森で、一緒に暮らせば良いんじゃないの。』俺はコイケヤに確認する。
『なんじゃ、それは?』コイケヤが俺に質問をする。
『あれ、だって、ユスクドの森に長いこといると、人は不老の者になるって、聞いたよ。旦那さんも一緒に暮らせば、不老の者になって、老いることなく、ずっと一緒にいられるじゃん。』俺はコイケヤに説明をする。
『ん?誰がそんなことを言ったんだ?』コイケヤが俺に質問をする。
『えっ!エルシアが殿下に説明してた…』俺がコイケヤに答える。
『…』俺の頭の中に点が3つ飛び込んでくる。
『なるほどな、そういうことか…』コイケヤが、なにかわかったような声を上げる。
『えっ!なに?』俺はコイケヤに確認する。
『いや、なに、なんでもないよ。』コイケヤが素っ気なく答える。
『えー!なになに?気になる。』俺がコイケヤに確認する。
『いや、まぁ、仮にそうだとしてだ。こいつらは、結婚してなにをするんだ?』コイケヤが俺に質問をする。
『仮に?…、まぁ、いいか。うん、結婚してね、子どもを作るの。』俺がコイケヤに答える。
『こいつらが、子どもを作って、どうするんだ?』コイケヤが俺に質問をする。
『えっ!子どもを作ったら、育てるに決まってるじゃん!あれ?ちょっと待てよ…、エルシアも旦那も不老ってことは…、あぁ!子どもが、ジャンジャンバリバリ出来ちゃう!』俺が心の中で叫ぶ。
『それで、産まれた子どもは、どこで育てるんだ?』コイケヤが俺に質問をする。
『ん?あぁ、そうか、ユスクドの森の外で育てないと、子どもは成長しないや、カゾの村とかカバカリヤの町で育てれば、良いんじゃないかなぁ~』俺がコイケヤに答える。
『…』俺の頭の中に点が3つ飛び込んでくる。
『なんか、ビックリしてる?』俺がコイケヤに確認する。
『いや、ちょっと呆れてるだけだ。』コイケヤが素っ気なく答える。
『呆れてるって、なんだよ…、アネモスと違って、コイケヤは表情が、ないからなぁ~』俺は心の中で呟く。
『なんだ、レーニャ!』コイケヤが俺に声をかける。
『いえ、なんでもありません。』俺がコイケヤに答える。
『レーニャよ、お前は不老の者というのを勘違いしている。』コイケヤが淡々と声を上げる。
『勘違い…?』俺はコイケヤを見つめて、心の中で呟く。
『よいか、レーニャよ。不老の者は、ただ歳をとらないのではない、成長が止まっているのだ。』コイケヤが説明をする。
『成長が止まっている…』俺は心の中で呟く。
『そうだ、こいつらは成長が止まっている。あのフレヤって娘は10歳から、サクラは20歳、エルシアは17歳から、成長が止まっている。』コイケヤが説明をする。
『17歳…、永遠に17歳のまま…、あれ?なんか、スゲー、イヤな気持ちになった…』俺はなぜか、胸が苦しくなる。
『レーニャよ、子どもは母親の胎内で成長し、産まれてくる。しかし、母親が成長しないのだ。おそらく、こいつらは、子どもを身籠ることも、産むことも出来ないんだよ。』コイケヤが淡々と説明をする。
『子どもの産めない体…、あっ…』俺はエルシアが子守歌を教えてくれた後、涙を流したのを思い出す。
『エルシア…』俺は哀しくなって、エルシアの体に頭を付ける。
『どうした、レーニャ?』コイケヤが優しく俺に声をかける。
『ねぇ、コイケヤ。エルシアたちを不老の者から、普通の人に戻せないの?』俺はコイケヤに質問をする。
『さぁな、私にもわからん。』コイケヤが答える。
『うん…、そうか…』俺は俯く。
『それより、レーニャよ。他に聞きたい話は、無いのか?』コイケヤが明るく俺に声をかける。
『あぁ、あるある。えっとね、レプティリアンの侵攻と、クラウス皇帝について、知りたい!』俺はコイケヤを見つめて、心の中で声を上げる。
『ほぉ~、クラウス皇帝の話か!う~ん、あいつも面白いやつだったなぁ~』コイケヤが懐かしそうに声を上げる。
『そうか…、コイケヤは、クラウス皇帝のことも…』俺は大きなあくびをする。
『やべ…、また…眠くなってきた…』俺はそのまま意識を失う。
ここまで読んでいただいた方へ
ここまで読んでいただき、それよりも拙い文章にお付き合いいただき、本当にありがとうございます。m(_ _)m
軽い気持ちで書き始めて、7日目書き終えました。
ここまで、書いてこれたのも、全てはブックマーク登録をしていただいている方たちのお陰だと、思っております。
改めて、感謝の念しかありません。
時々、読み返すと、最初に書きだしたころと、表現が変わったり紆余曲折していることが、多々見受けられます。
最終章まで書き終えたら、全面見直すつもりでおります。
さて、これから8日目となりますが、これからレーニャは帝都でなにを見るでしょうか?
8日目以降もお付き合いいただければ、幸甚の至りです。
2022年8月28日 小根畑 昌平




