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気が付いたら猫でした…  作者: 小根畑 昌平
第7章 7日目

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38_実に興味深い


「今日も我らに生きる糧を与えてくれた、全ての生命たちへ、またその生命たちを育んだ火、水、土、風の4つのエレメントに感謝を捧げる。それから、今日この日、帝都の学校に通うあなたたちと、一緒に糧を得ることは幸甚の至りである。」エルシアが目を閉じ両手を胸の前で組んで声を上げる。

長いテーブルの両脇には、学ランとセーラー服を着替えた少年少女が、両手を胸の前で組んで目を閉じている。


『今日の食事は、前に食べた鳥のササミだな。』俺はエルシアの傍のテーブルの上で、ササミの入ったお椀を前に腰を下ろして、前足を伸ばして姿勢を正している。

「いただきます。」エルシアが声を上げる。

「いただきます!」エルシアに続いて、少年少女たちが声を上げる。

『いただきま~す!』俺も「ニャ~!」と声を上げると、お椀の中のササミにかぶりつく。


「ホントだ!いただきますした!」少女の声が聞こえて、俺が顔を上げると、少年少女が一斉に俺を見つめていた。

「すごい!すごい!」少年が楽しそうな声を上げる。

「みんな、食事中ですよ。大きな声を上げないでください。」少年少女の後ろに立っている、メイド服の女性が声を上げる。

『あらら、みんな怒られちゃった。』少年少女たちのバツが悪そうな表情を見て、俺は心の中で呟く。


『やっぱり、いただきますする猫って、みんな驚くのかな…』俺は心の中で呟くと、またお椀の中のササミにかぶりつく。

「そうだ、クロウ、マティルデは、今年で卒業ですね。卒業後はどうするか、決まっているの?」エルシアが右に座っている少年少女に声をかける。

『あっ!先頭にいた少年と少女だ。』俺は顔を上げて、少年少女を見つめる。


「それでは、私から。」少年少女が互いを見つめた後、頷いて少年が声を上げる。

「私はカゾの村に戻って、両親を手伝って、米や野菜を作ります。それから、村の子どもたちに読み書きを教えようと、考えております。」少年がエルシアに爽やかに説明をする。

「そうですか、クロウ立派です。」エルシアが少年に声をかける。


「ありがとうございます。」少年がエルシアに頭を下げる。

『ふ~ん、この少年は、カゾの村の少年なんだ。クロウって名前か。』俺は心の中で呟く。


「私は、コウノスの町に戻って、許嫁と結婚します。それから、将来は父の後を継いで、コウノスの町長になるつもりです。」少女が朗々とエルシアに説明をする。

「そうですか、マティルデ、あなたが町長になるのを楽しみにします。」エルシアが少女に声をかける。


「ありがとうございます。」少女がエルシアに頭を下げる。

『ふ~ん、この少女は、コウノスの町?あれ、聞いたことあんな?…、まぁ、いいや、マティルデって名前か。えっ!結婚…』俺は心の中で呟く。

『良くはわからんが、結婚するような年齢なのか?』俺はマティルデを見つめて、首を傾げる。


「あら、ヤダ。可愛い…」俺と目が合ったマティルデが、口を押えて声を漏らす。

『まぁ、いいや。』俺はマティルデから視線を外して、お椀のササミを食べようとする。

「ダニエル、ラース、アンナ、来年はあなたたちが、年長となります。クロウ、マティルデのように、下の子たちの面倒を良く見てくださいね。」エルシアが左に座っている少年少女に声をかける。


「はい、勿論です!」少年少女が声を合わせて、元気に答える。

『えっと、誰が誰?』俺は少年少女を見つめて、心の中で呟く。

「ホントに可愛いですね、レーニャちゃん。」少女が俺を見つめて、声を上げる。


「アンナ、そうなのよ。さっきは私の顔を見て、首を傾げてたのよ。」マティルデが声を上げる。

「レーニャちゃん、マティルデさんが綺麗だから、見とれちゃったの?」少女が俺に声をかける。

『そうじゃないけど、この少女はアンナって名前か。』俺はアンナを見つめる。


「しかし、実に興味深いですね。」アンナの隣の少年が声を上げる。

「ラース、どういうことだ?」声を上げた少年を隣の少年が見つめて声を上げる。

『ラース、この少年はラースって名前か。じゃ、隣がダニエルだな、覚えたぞ。』俺はラース、ダニエルの顔を見つめる。


「ほらほら、今ダニエルを見てるよ。」ラースがダニエルに声をかける。

「えっ!」ダニエルがラースから視線を俺に移す。

「ねぇ、さっきから食べるのを止めて、人の話を聞いてる見たいなんだ。」ラースが嬉しそうな声を上げる。


「食事は、もういいのかい?」ダニエルが優しく微笑んで、俺に声をかける。

『あっ!忘れてた。』俺はダニエルから視線を外すと、お椀のササミにかぶりつく。

「アハハハ、なんか今、思い出したように食べ始めなかったか?」ダニエルが笑いながら、声を上げる。


「フフフフ、レーニャはホントに不思議な子なの。」エルシアが嬉しそうに声を上げる。


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