20_ケイセイサイミン
「大きな船ですか…」サクラが声をもらしながら、首を傾げる。
「そうだな、なんて言ったら良いんだろう?そうね~、丁度パッセル…様のお屋敷が、海に浮いてる感じかな?」フレヤが途中言い難そうにサクラに説明する。
『パッセルの屋敷が、海に浮く…、メチャメチャデカい船だなぁ~』俺は心の中で呟く。
「フレヤ、パッセル様のお屋敷は、大きいのですよ。あれだけの大きなものが、海に浮きますか?」サクラがフレヤに声をかける。
「サクラ~、フレヤの言ってることは、ホントだぞ。」アルベルタがサクラに声をかける。
「えっ!」サクラが茫然とした表情で、アルベルタを見つめる。
「フフフ…、サクラ、なんとかはなんとかにしかずよ。」エルシアがサクラに声をかける。
「はい?」サクラがキョトンとした表情をする。
「エルシア様、百聞は一見にしかずです。」フレヤがエルシアに声をかける。
「そう、それ!」エルシアが声を上げる。
「はい、わかりました。あれ?エルシア様は、大きな船をご覧になったことがあるんですか?」サクラがエルシアに質問をする。
「私が帝都の学校に通っていたときに、エルシア様が帝国会議でいらしていて、エルシア様とトゥルペと私の3人で見に行ったのよ。」フレヤがサクラに説明をする。
『トゥルペ…、えっ!どういうこと?』俺は首を傾げる。
「えっ!それじゃ、そのとき、私はなにをしていたの?」サクラが中空を見つめて、声を上げる。
「たしか、あのときは、キュール、…様の剣のお相手をしていたはずよ。」フレヤがサクラに説明をする。
「あぁ…、そうか、あのときか…」サクラがなにかを思い出したように呟く。
『キュールの剣の相手?』俺はサクラを見つめたまま首を傾げる。
「あら!どうしたのレーニャちゃん?」サクラが首を傾げて、俺に優しく微笑む。
『あっ!なんでもないよ~!』俺はサクラに「ニャ~!」と声をかけると、振り向いてお椀の中のマグロにかぶりつく。
「お母様、フレヤさんて帝都の学校に、通われていたんですか?」カトゥルスが声を上げる。
「そうよ、あなたも来年から通うことになるから、フレヤさんはあなたの先輩になるわね。」ヒラソルが説明をする。
「えっ!帝都の学校に入れるのは、たしか13歳以上ですよね?フレヤさんて、おいくつになられるんですか?」ポトランカが声を上げる。
「こら、ポトランカ!そんなことをお聞きになってわ。」ヒラソルがポトランカに声をかける。
『フレヤは100歳越えだぞ!』俺はマグロ食べながら、心の中で呟く。
「ヒラソル様、構いません。私は100歳ちょっとになります。」フレヤが答える。
「100歳…」ポトランカが声を漏らす。
「もう、しょうがないわね~、ごめんなさい、フレヤさん。」ヒラソルがフレヤに謝ってる。
「いえいえ、100年も生きてますから、年齢など気になりません。」フレヤが声を上げる。
『ごちそうさまだぁ~』俺はお椀の中のマグロをたいらげて、顔を上げるとエルシアが寂しそうな表情をしていた。
『どうしたんだろう?エルシア…、あっ!顔洗わなくちゃ!』俺は毛づくろいを始める。
「あらあら、今日もレーニャちゃん、綺麗に食べたわね~」サクラが俺に声をかける。
『うん、ごちそうさまだよ~!』俺はサクラに「ニャ~!」と声をかけると、サクラが優しく微笑む。
「そうだ、カトゥルス様は、帝都の学校でなにを専攻されるんですか?」フレヤがカトゥルスに質問をする。
「はい、お父様の後を継ぐために、剣術と兵法、それからケイセイサイミンを専攻しようと考えてます。」カトゥルスが答える。
「まぁ、ケイセイサイミンを…」フレヤが感心した声を上げる。
『ケイセイサイミン?なんだろう、催眠術の一種か?』俺は心の中で呟く。
「はい、このカーマは、帝国では帝都に次ぐ大きな町です。それだけ、税収も多いのですが、少しだけでも民の暮らしが、良くなるように、税を使いたいと思いまして。」カトゥルスが答える。
「カトゥルス様は、良い町長になりそうですね。」ヒマワリが嬉しそうな声を上げる。
『税収?ケイセイサイミン?…、あぁ…、経世済民のこと…』俺は心の中で呟くと、また毛づくろいを続ける。
「そうだ、フレヤさんはなにを専攻されたんですか?」カトゥルスがフレヤに質問をする。
「はい、私は工学と魔法学です。」フレヤが答える。
「魔法学ですか、あの学問は専攻される方が、ほとんどいないと聞いてますが…」カトゥルスが驚いた声を上げる。
「カトゥルス、帝都の学校で始めて、魔法学を始められたのは、実はフレヤさんなのよ。」ヒラソルがカトゥルスに声をかける。
「えっ!それじゃ、それまで魔法学って、無かったのですか?」カトゥルスがヒラソルに質問をする。
「そういうことに、なるわね。」ヒラソルが答える。
『えっ!フレヤって、無かった学問を始めちゃったの?』俺はフレヤを見つめて、首を傾げる。




