01_今日の晩御飯は?
『フカフカだぁ~』俺は干されて取り込んだばかりの布団の上で、うつ伏せに寝転んでいる。
「こら、アキオ。早く部屋に運んじゃいなさい。」かぁちゃんが俺に声をかける。
「えぇ~、もうちょっと、こうしてたい。」俺はかぁちゃんに答える。
「なにやってるの?アキオ。」声がして振り向くと、ねぇちゃんが立っていた。
「フカフカなんだよ~!」俺はねぇちゃんに答える。
「ふ~ん、どれどれ。」俺の体の上にねぇちゃんが、乗ってくる。
「重いよ、ねぇちゃん!」俺は下敷きになって、声を上げる。
「こらこら、アキナまで、なにやってるの~」かぁちゃんが呆れた声を上げる。
「う~ん、可愛い弟とのスキンシップ!」ねぇちゃんは声を上げると、そのまま俺を布団に押さえつけるように、体を上から押し付ける。
「ホントだ!フカフカだぁ~!」ねぇちゃんが嬉しそうに俺の耳元で声を上げる。
「ねぇちゃん、重いよ~」俺は体を動かして、ねぇちゃんの下から這い出そうとする。
「なんだと~、このおねぇちゃんが、重たいだと。」ねぇちゃんは声を上げながら、這い出そうとする俺を押さえつける。
「アキナ、そんなことしてて、いいの?これから、出かけるんでしょう。」かぁちゃんが声を上げる。
「あっ!そうだった。本屋さん行かなきゃ。」俺を抑え込んでいた、ねぇちゃんの体が背中から離れる。
「本屋さん!ねぇちゃん、なに買いに行くの?」まだ俺の尻の上に跨っているねぇちゃんに、俺が質問をする。
「ん!、参考書よ…」ねぇちゃんが溜息を付きながら、俺に答える。
「参考書か、マンガの本じゃないんだ。」俺はねぇちゃんに声をかける。
「アキオも今のうちよ~、マンガなんて読んでいられるのも、あと5年もしたら、私と同じ立場になるからね~」ねぇちゃんが俺に声をかける。
「ねぇちゃん、なんで大学は受験しなきゃいけないの?」俺がねぇちゃんに質問をする。
「こらこら、アキオはその前に高校も、受験しなきゃいけないのよ。」ねぇちゃんが俺に声をかける。
「えっ!高校も受験しきゃいけないの?」俺がねぇちゃんに確認する。
「そうよ、決まってるじゃない。義務教育は中学までよ。」ねぇちゃんが俺に答える。
「ふ~ん、受験生になるまで、5年もあるのか…」俺は5年の年月が、長いものに感じた。
「こらこら、アキオ、もう5年しかないのよ。フフフフ…」ねぇちゃんが俺に声をかけて、笑い声を上げる。
「そうだ、アキナ。晩御飯なにが食べたい?」かぁちゃんがねぇちゃんに声をかける。
「えっ!まだ、考えてないの?」ねぇちゃんが確認する。
「うん、昼はそうめんだったから、夜はなににしようかと思って…」かぁちゃんが声を上げる。
「それじゃ、カレーにして!かぁちゃんのカレーが食べたい!」ねぇちゃんが声を上げる。
「えぇ~、カレーかぁ~」俺が声を上げる。
「なに、アキオ。なにか食べたいものがあるの?」かぁちゃんが俺に質問をする。
「夏休みだし、お寿司がいい!」俺が答える。
「お寿司か~、それもいいわね。うん、私も今日はお寿司がいい!」ねぇちゃんが声を上げる。
「そう、わかたっわ。それじゃ、今日は手巻き寿司にしようか。」かぁちゃんが声を上げる。
「やったー!マグロだぁ~!」俺は嬉しくて声を上げる。
「そしたら、アキナ、お金渡すから、帰りにスーパーで手巻き寿司のネタ買って来てよ。」かぁちゃんがねぇちゃんに声をかける。
「うん、わかった!」ねぇちゃんが答える。
「ねぇちゃん、早く買い物に行けよ!」俺がうつ伏せになりながら、声を上げる。
「なんだ~、アキオ~、その言い方は~、そんな口の利き方をする悪い子には…、コチョコチョコチョコチョ~」ねぇちゃんが俺の脇腹をくすぐり始める。
「キャハハハハ!やめて~、キャハハハハハ…」俺はくすぐられて、笑い声を上げる。
「もう、アキナ。アキオから離れなさい。」かぁちゃんがねぇちゃんに声をかける。
「は~い。」ねぇちゃんが返事をして立ち上がる。
「アキナ、ちょっと待って、今買うものメモするから。」かぁちゃんが声を上げる。
「ねぇちゃん!マグロだぞ!」俺は布団の上に上半身を起こして、メモを書くかぁちゃんの隣に立っているねぇちゃんに声をかける。
「マグロ?、ふ~ん、スーパーで売れ切れてなきゃ、いいわね~」ねぇちゃんが俺を揶揄うように声をかける。
「絶対!マグロ!買って来てよ!」俺はねぇちゃんに声をかける。
「わかったわよ~。あっ!そうだ、アキオも一緒に来る?」ねぇちゃんが俺に声をかける。
「行かな~い!」俺は声を上げると、また布団の上にうつ伏せになる。
「もう、つれないなぁ~」ねぇちゃんが声を上げる。
『あれ?なんだこれ?ねぇちゃんじゃない…』俺の体が布団の上で、なにかに押さえつけられる。
『う…、お、重い…、や、ヤバい…、た、助けてー!』俺は「ニャー!」と声を上げて目が覚める。
『あら?真っ暗!てか、重い…』俺はズリズリと這い出して、体を押さえつけていた正体を確認する。
『あら!アルベルタ?』俺の目の前には、スヤスヤと寝息をたてるアルベルタがいた。




