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気が付いたら猫でした…  作者: 小根畑 昌平
第1章 1日目
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07_とうちゃん!


「こら、スズ。とうちゃん、仕事で疲れてるんだから、寝かせておいてあげなさい。」どこかで聞いたことのある女性の声が聞こえる。

『あれ?俺どうしたんだっけ?』眠気の中、俺が目を開けると布団の中にいた。

「あぁ~、とうちゃん起きた!」小さな子が目を開けた俺の顔を覗いていた。

『あっ、スズか~』俺はその子を見つめて、心が安らぐのを感じた。


「こら、スズ!」女性が部屋の中に入ってきたのを感じた。

「ママ、とうちゃん起きたよ!」スズは楽しそうな声を上げる。

俺は布団をめくると、ベットの上に体を起こした。

「まだ、寝てていいのよ、あなた。昨日も遅かったんだから。」女性が優しく俺に声をかける。


『あっ、シオリかぁ…』俺は、ベットの上で大きく両手を上げて伸びをしながら、大きなあくびをする。

「とうちゃん、今日は何して遊ぶ?」スズがベットの上に乗ってきて、俺に抱きついてきた。

「もう、スズったら、とうちゃん、休ませてあげなさい。」シオリはスズに窘めるような声をかける。

「いやだ!今日はとうちゃんと遊ぶの!」スズはシオリに向かって、怒った声を上げる。


「こらこら、スズ、ママにそんな口を聞くのは、やめなさい。」俺はスズを窘める。

「だってー!」スズはムッとした顔をしている。

「おいで、今日はスズとズッと一緒にいるからね。」俺はスズに向かって両手を広げる。

「キャー!」スズが俺の腕の中に飛び込んできた、『あぁ、スズの匂いがする。』俺はスズをギュッと抱きしめる。


「あなた、大丈夫?このところ、残業や休日出勤で休んでないでしょう。」シオリが俺の体を心配してくれて、声をかける。

「大丈夫だよ、ママ。それにスズといる方が、仕事の疲れが取れる気がする。」俺は腕の中のスズを見つめると、嬉しそうに満面の笑みを浮かべていた。

「とうちゃん、今日は天気がすごくいいんだよ。」スズが俺の腕の中で嬉しそうに声を上げる。

「そうか、なら公園に散歩に行こうか?」俺はスズを見つめて声をかける。


「あっ!それなら、ママも一緒に行こう!」スズはシオリを見つめて声をかける。

「そうか、それじゃ今日は公園で、みんなでお弁当食べましょうか?」シオリが微笑んでスズに声をかける。

「あぁ~、それいい~、とうちゃん!すっごくいいよね~」スズが満面の笑みで俺に声をかける。

「あぁ~、凄くいいなぁ。」俺も笑顔でスズに答える。


『あれ、俺、何してたんだっけ?』何かが引っ掛かるような感覚が俺の中で生まれる。

「どうしたの?とうちゃん。」スズが不思議そうに首を傾けて、俺の顔を覗き込む。

「いや、なんでもないよ。」俺がスズの頭を優しく撫でると、スズが俺にギュッと抱きついてきた。

「それじゃ、私、お弁当の準備、始めるわね。」シオリが俺に優しく声をかける。


「ごめんな、シオリ。」俺が声をかけると、「やめてよ、子どもがいるのに。」シオリが少し顔を赤くして声を上げる。

「あっ、そうだ。ママがお弁当作るの手伝ってくれる、良い子はいないのかなぁ~」シオリが俺に抱きついているスズに向かって声をかける。

「お手伝いしま~す。」スズが俺の腕の中で元気に声を上げると、俺から離れてシオリと一緒に部屋から出て行った。

『あぁ~、幸せだな、俺。』二人の出て行ったドアを見て、心の中で呟く。


けたたましい音楽がベットの枕元から聞こえてきた。

『チッ、誰だよ。』俺は心の中で舌打ちをすると、ベットの枕元からスマホを握って画面を見る。

画面には、【Worst place】と表示されていた。

「はい、もしもし。」俺は不機嫌な声で、スマホを左の耳にあてる。


「フフフ、よく眠ってるわね。」どこかで聞いたことがある女性の声が聞こえてきた。

『ヘッ?』と思った瞬間、俺は目を覚ましていた。

『あれ?なんか、今、夢を見てたような、あれ?あれれ?』俺は夢の内容が思い出せず、目の前を見るとフレヤが眠っていた。

『あっ、フレヤだ。』フレヤからはさっきと変わらない、スヤスヤと可愛い寝息が聞こえてきた。


「あれから、100年になるのに、こうやってスヤスヤ眠っていると、あの時と変わらず可愛いままね。」フレヤをしゃがんで見つめて、優しい声を上げた女性がいた。

『あっ、サクラだ。』俺はフレヤの顔をしゃがんで見つめていた女性が、サクラだと気が付く。

「あら、レーニャちゃん起きちゃった。」サクラは俺に気が付くと、囁くように声をかけてきた。

『サクラ、おはよう!』俺は「ニャー!」とサクラに返事を返す。


「シー、大きな声出しちゃダメよ。」サクラは唇に人差し指を付けて、俺に囁くように声をかける。

「このまま、寝かせておいても良いんだけど、ベットまで連れて行きましょうね。」サクラは囁くように声を上げる。

サクラは静かに優しく、フレヤの背中と膝の後ろに腕を滑り込ませると、そのままお姫様抱っこして立ち上がった。

俺は慌てて、フレヤの膝の上から、ヒョイと地面に降りる。


「あら、そのままフレヤの上に乗ってても良かったのに。」サクラは地面に降りた俺を見つめて、声をかける。

サクラはスタスタとフレヤを抱いたまま、屋敷の方に向かって歩き出した。

『そうだ、今日はフレヤと一緒にいるって決めたんだ。』俺はサクラの後をヒョコヒョコと着いて行く。

『あれ?さっきサクラが100年とか、言って無かった?いや、聞き違いだろう。』一瞬頭の中によぎった言葉を打ち消すと、サクラの後を着いて歩き出した。


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