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気が付いたら猫でした…  作者: 小根畑 昌平
第6章 6日目

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28_俺にもわかるぞ!


「お父様、これから行くところは、どんなところなんですか?」アルベルタが隣に座っている殿下に質問をする。

「あぁ、私もどんなところかは、わかっていないのだが、フランツの話では、とても美味しいものが食べられるそうだ。」殿下がアルベルタに答える。

ここは、殿下が載ってきた馬車の中である。


『良かった~、俺も一緒に行ける。どんなところなんだろう?』俺はエルシアの前に布に包まってぶら下ったままで、ワクワクしている。

「エルシア!美味しいものって、なんだろう!」アルベルタが振り向いて、エルシアに声をかける。

「さぁ、なんでしょうね。楽しみですね。」エルシアがアルベルタに優しく声をかける。


「レーニャ!なにが食べれるのかなぁ~」アルベルタが嬉しそうに俺に声をかける。

『なにが、食べれるのかなぁ~』俺はアルベルタに「ニャ~」と答える。

「お母様、鳴きました。」俺の前に座った女の子が、隣のヒラソルに声をかける。


「エルシア様、その前にぶら下げている子猫は、なんなのですか?」ヒラソルがエルシアに声をかける。

「あぁ、この子。この子は、私が山で拾って来たの。」エルシアがヒラソルに答える。

「山で…」ヒラソルと女の子がジッと俺を見つめる。


「ヤダ、可愛い…」俺をジッと見つめていた、ヒラソルが声を上げる。

「私が説明しよう。」殿下が嬉しそうにヒラソルに声をかける。

「は、はい…」ヒラソルがキョトンとして、殿下に返事をする。


「この子は、サイタマオオヤマネコで、名前はレーニャだ。」殿下が嬉しそうに説明をする。

「サイタマオオヤマネコ…」ヒラソルが口に手をあてて、驚いた表情で俺を見つめる。

「お母様、サイタマオオヤマネコって、なんですか?」女の子がヒラソルに質問をする。


「しかし、この子には鬣がないです。サイタマオオヤマネコといえば、子猫のときから頭に鬣があると、聞いております。」ヒラソルが殿下に確認する。

「あぁ、レーニャは残念だが、メスなのだ。」殿下がヒラソルに答える。

『残念なのか、メスは…』俺は心の中で呟く。


「ねぇ、お母様、サイタマオオヤマネコって、なんですか?」女の子がヒラソルに質問をする。

「あぁ、ごめんなさい。サイタマオオヤマネコというのは、昔からサイタマの山に住んでいるヤマネコでね。但し、人前にはその姿を絶対に見せないと、言われているの。だから、その姿を見た者は、幸福になれると言われているのよ。」ヒラソルが優しく女の子に説明をする。


「ポトランカ!レーニャに触ってみるか?」アルベルタが女の子に声をかける。

「えっ!アルベルタ様、よろしいのですか?」女の子が驚いた声を上げる。

「エルシア、良いよな?」アルベルタがエルシアに確認する。

「はい、問題ございません。」エルシアは布で包まれた俺を、首から外してヒラソルと女の子の前に差し出す。


「ほら、ポトランカ、頭を優しく撫でて見なさい。」ヒラソルが女の子に声をかける。

女の子は俺の顔をジッと見つめて、嬉しそうな表情をすると俺の頭を撫でる。

『うむうむ、なかなか良い感じだ…』俺は頭を撫でられながら、心の中で呟く。

「お母様、可愛い~です~」女の子が嬉しそうな声を上げる。


「エルシア様、私も触ってよろしいですか?」ヒラソルがエルシアに確認する。

「はい、問題ございません。」エルシアが明るい声で答える。

「あぁ…、なんか幸せになれそう…」今度はヒラソルが俺の頭を撫でて、声を上げる。

『俺を撫でても、多分ご利益はないぞ…』俺は撫でられながら、心の中で呟く。


「あっ!ほら、カトゥルス。あなたも、レーニャちゃんを撫でてみなさい。」ヒラソルが隣に座って、馬車の窓から外を見つめるいる少年に声をかける。

「えっ!いや、僕はいいです。」少年は一瞬こちらを見るが、顔を真っ赤にして直ぐに視線を窓の外に移す。

「あら?カトゥルス、顔が真っ赤ですけど、熱でもあるのですか?」少年にヒラソルが、心配そうに声をかける。


「どこも、悪くありません。」少年は窓の外を見つめたまま、声を上げる。

「ヒラソル、カトゥルスは病気ではない。」殿下がニヤニヤしながら、声を上げる。

「えっ!どういうことですか?」ヒラソルが、首を傾げて殿下に質問をする。


「まぁ、まぁ、ヒラソル。カトゥルス、お前の今の気持ち、私にもよくわかるぞ。」殿下はヒラソルの質問をかわして、前に座っている少年にニヤニヤしながら、声をかける。

少年は殿下を一瞬見るが、そのまま俯いてしまう。

『なんじゃらホイ!』俺は少年を不思議な気持ちで見つめる。


「カトゥルス、私もお前と同じ歳には、そうなった。エルシアは綺麗だからな、恥ずかしがることではないぞ。」殿下は俯く少年に顔を近づけて、優しく耳元で囁く。

『あぁ~、そういうこと…、少年、俺にもわかるぞ、その気持ち!』俺は少年を見つめながら、「ニャー!」と声を上げる。

殿下と少年が、キョトンとした顔で俺を見つめる。


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