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気が付いたら猫でした…  作者: 小根畑 昌平
第1章 1日目
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06_大きな木の下で…


俺は自分の乗っていたテーブルをヒョイと降りると、そのまま部屋のドアに向かって歩き出した。

「あら?レーニャ、どこ行くの?」エルシアが俺に声をかける。

『外に散歩に行く!』と俺はエルシアに向かって声を上げたが、「ニャー!」と鳴いていた。

「フレヤ、レーニャがどこかに行きたいみたいよ。」エルシアがフレヤに声をかける。


「あっ、ハイ!」フレヤが嬉しそうな声を上げると、部屋の出口に早足で近づいてきた。

「レーニャ、外に出たいの?」フレヤが出口の前に腰を下ろした俺を見つめて声をかける。

『そうだ、行くぞ!フレヤ!』とフレヤに向かって声を上げたが、「ニャー!」と鳴いていた。

フレヤは俺の鳴き声を聞くと、微笑んでドアを開けてくれた。


俺は開いたドアから、屋敷の廊下にスタスタと歩いて出る。

「フレヤ、ごちそうさまは?」奥からサクラの声が聞こえてきた。

「あっ、サクラ、朝ご飯、美味しかった!エルシア様、サクラ、ごちそうさまでした。」フレヤが部屋の中に声をかける。

「レーニャ、今日はこれから、どこに行くの?」フレヤは部屋のドアを閉めて、廊下にいる俺を見つめて声をかける。


俺は、屋敷の廊下をスタスタと屋敷の玄関に向かって歩き出すと、後ろをフレヤが着いてくる。

『今日は、俺のお気に入りの場所に行こう!』俺は後ろを振り返って、フレヤに「ニャー!」と鳴く。

「どこにでも、着いて行くわよ。」フレヤが俺に嬉しそうに声をかける。

俺は、また玄関に向かって屋敷の廊下を歩き出す。


廊下を抜けて広い玄関前の踊り場をさらに進んで、玄関のドアの前で俺は立ち止まると腰を下ろした。

「はいはい、外に行きたいのね。」フレヤは優しく俺に声をかけると、玄関のドアを開けてくれた。

俺は、玄関から出ると辺りをキョロキョロする、『あっちだ!』目的の場所に向かって歩き出した。

「レーニャ、どこ行くの?」フレヤが、前を歩く俺に声をかけてきた。


『すごく、良いところだぞ!』俺は後ろを振り返って、フレヤに「ニャー!」と声をかけて歩き出す。

屋敷の庭を抜けて、しばらく歩くと目的地が見えてきた。

「フフ、レーニャが来たかったところは、ここなの?」フレヤが前を歩く俺に声をかける。

『うん、ここだ!』俺はその場所を見ながら声を上げると、「ニャー!」と鳴いていた。


俺がフレヤを連れてきた場所は、緑の芝生が広がっていて、その中に緑の葉を左右に広げた大きな木が立つ場所だ。

「レーニャも、この場所が気に入ったのね。」フレヤが嬉しそうな声を上げる。

『おぉ、そうだ!フレヤに教えてあげようと…、あっ…そうか、フレヤの方が俺より前から、この屋敷に住んでるんだった…』俺は心の中で呟く。

「レーニャ、私もこの場所が大好きだよ。」フレヤは俺に声をかけて、大きな木の傍に近づくと、ポケットからハンカチを取り出した。


フレヤはハンカチを木の下に敷くと、木の幹を背にハンカチの上に腰を下ろした。

俺はフレヤに近づくと、フレヤを見つめた。

「いらっしゃい。」フレヤは座った姿勢で、俺に向かって両手を広げた。

俺は静々とフレヤの膝の上に乗って、フレヤを見つめると、フレヤの青い綺麗な瞳が、俺を優しく見つめていた。


「レーニャ、この木はね、春になると一つ一つは小さいけど、ピンク色の綺麗な花を満開に咲かせるのよ。」フレヤは木を見上げながら声を上げる。

「花が満開に咲くとね、エルシア様とサクラと一緒に、その花を見ながらご飯を食べるの。」フレヤの声は嬉しそうだ。

「そうだ、来年はレーニャも一緒に、この木の花を見て、みんなでご飯食べようね。」フレヤは俺を見つめて声を上げた。

『それは、楽しみだ!』俺はフレヤに向かって、「ニャー!」と鳴くと、フレヤの顔が笑顔で包まれた。


「レーニャ、エルシア様やサクラのことは好き?」フレヤが俺を見つめて質問してきた。

『二人とも大好きだよ!』と俺はフレヤに、「ニャー!」と鳴いていた。

「うん、私も大好きだよ。私ね、昔…、生まれてきたのがとても辛かったの…、そんなところから、エルシア様とサクラが救ってくれたの。」フレヤはそう言うと、小さく溜息をついた。

「私を救ってくれて、家族として迎え入れてくれた。今でも二人には、感謝の気持ちしかないわ。」フレヤはどこか遠くを見つめて、静かな声を上げる。


「レーニャは、いつまで私たちと一緒にいてくれるのかな?」フレヤは少し寂しそうな声を上げて、膝の上の俺を優しく撫でてくれた。

『あっ、気持ちいい~』俺はフレヤに撫でられて気持ちよくなる。

「ファ~」俺はまた眠くなってきて、大きなあくびをすると、フレヤも大きなあくびをしていた。

「レーニャ、眠くなっちゃったね…」フレヤは声を漏らすと、瞼を閉じた。


『生まれてきて、辛かったって…、まだ、フレヤは子供じゃないか…』俺はフレヤを見つめると、瞼を閉じたフレヤから、可愛い寝息が聞こえてきた。

『眠っちゃったのか。俺は、ず~と、みんなと一緒にいるぞ。』俺は瞼を閉じたフレヤに「ニャー!」と鳴いていた。

俺にも睡魔がやってきたようで、俺はフレヤの膝の上で、丸くなると瞼を閉じた。


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