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気が付いたら猫でした…  作者: 小根畑 昌平
第6章 6日目
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07_あっ!俺メス猫だった…


『町だぁ~』俺は馬車の窓に前足をかけて、街並みを見ている。

『あぁ、ここも一緒だ~』道行く人は、馬車を見るとみんな頭を下げたり、直立不動で右腕を胸の前で水平にしてる。


「そうだサクラ、どこに行くかハンゾウから、聞いてる?」エルシアがサクラに声をかける。

「はい、確認はしておりませんが、おそらくパッセル様のところかと、思います。」サクラが答える。

「パッセルのところか…、あっ!そういえばサクラ、前にパッセルに、キュウコンされたんだよね~」エルシアが揶揄うようにサクラに声をかける。

『球根?』俺は馬車の窓から離れると、エルシアの膝の上に載る。


「エルシア様、何年前の話をされているんですか。」サクラがムッとした表情で、エルシアに声をかける。

「レーニャ、昔ねサクラがね、結婚してくださいって、言われたんだよ。」エルシアが膝の上の俺を見つめて、嬉しそうに声をかける。

『あぁ、球根じゃなく求婚ね。』俺は心の中で呟く。


「エルシア様、レーニャちゃんにそんなこと、教えてもわかるんですか?」サクラが呆れた感じで、エルシアに声をかける。

『わかるよ~!』俺は振り返って、サクラを見つめて「ニャ~!」と声をかける。

「あら、レーニャちゃん、フフフフ…」サクラが俺を見つめて微笑む。


『サクラは綺麗すぎて、逆に結婚してくださいって、俺だったら言えねぇ~な~、スゲーな求婚した奴…、男として尊敬するぜ…』俺は微笑むサクラの顔を見つめて、心の中で呟く。

『あっ!俺メス猫だった…』俺はサクラから視線を外して、心の中で呟く。


「ガコン」と馬車に振動が伝わり、馬車が止まったのがわかった。

「エルシア様、サクラ、到着したよ!」馬車の扉が開いて、フレヤが嬉しそうに馬車に乗り込んできた。

「到着したよ!じゃないでしょ、エルシア様がいらっしゃるのよ。」サクラがフレヤを叱る。


「あっ!申し訳ありません。エルシア様、到着致しました。」フレヤが慌てて、エルシアに頭を下げる。

「良いわよ。それよりフレヤ、なにか嬉しそうじゃない?」エルシアがフレヤに声をかける。

「あっ!申し訳ありません、着いたところが、パッセルの屋敷だったもので…」フレヤが俯いて、声を上げる。


「フレヤ、呼び捨てはダメでしょう。パッセル様とお呼びなさい。」サクラがフレヤを窘める。

「はい、ごめんなさい…」フレヤは俯いたまま謝る。

「フレヤ、昔の知人に会うのに、嬉しくなることは、悪いことではありません。但し、人には立場というものがあります。ここは、もう私の領内の外なのです。言動には気を付けなさい。」エルシアがフレヤに声をかける。


「はい、エルシア様、わかりました。」フレヤが顔を上げて、エルシアを見つめて声を上げる。

「それで、レーニャをまた?」エルシアが優しく微笑んで、フレヤに声をかける。

「あっ!はい、その通りです。」フレヤが嬉しそうに答える。


『俺を?あぁ…』俺は既にこの後、どうなるかを認識する。

「ほら、レーニャ、いらっしゃい。」フレヤがエルシアの横に布を広げて声をかける。

『はい、はーい!』俺はエルシアの膝の上から、布の上に載ると横になる。


「ご飯食べるときは、また外してあげるからね~」フレヤが俺に声をかけて、布で俺の体を包んでいく。

「どうしたのサクラ?」エルシアがサクラに声をかける。

「いえ、レーニャちゃんは、物覚えがホントに良いなと、思いまして…」サクラが横になった、俺の顔を覗き込んで声を上げる。


「それは、サクラ違うよ。レーニャは賢い子で、ある程度、人の言うことを理解してるんだよ。」フレヤが声を上げる。

「フレヤはレーニャが、人の言ってることが、わかると思ってるの?」エルシアがフレヤに声をかける。

「いえ、レーニャだけではありません。犬や馬もきっと、人の言ってることを、全部とは言いませんが、理解していると昔、トゥルペが教えてくれました。」フレヤが俺の顔を見つめて、エルシアに答える。


「よしできた!」フレヤは声を上げると、俺を包んだ布を体の前にぶら下げる。

『合体ー!』俺は「ニャー!」と声を上げる。

「フフフフ、レーニャ、お転婆はダメですからね。」フレアの前に布に包まれて、ぶら下った俺を見つめてエルシアが声をかける。

『了解でーす!』俺はエルシアに「ニャー!」と答える。


「さぁ、エルシア様、馬車を降りましょう。」サクラがエルシアに声をかける。

「うん。でも、突然押し掛けて、大丈夫なのかしら?」エルシアが立ち上がりながら、首を傾げる。

「エルシア様、パッセル…様のことですから、きっと大丈夫でございます。」フレヤが少し言い難そうに、エルシアに声をかける。


「フフフフ、そうね、大丈夫ね。きっと!」エルシアがフレヤに微笑んで、声をかける。


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