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気が付いたら猫でした…  作者: 小根畑 昌平
第5章 5日目

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39_お箸の持ち方


「殿下、アルベルタ様、エルシア様、こうして一緒に食事をさせていただくとは、我々一族の宝となります。」男性が声を上げて、囲炉裏の前で平伏すると、フジとスモモと小僧が同じように平伏する。

「よいよい、気にするな、私は皆で食事をするのが、好きなんだ。」殿下が微笑みながら、平伏している男性たちに声をかける。

「うん、美味しいものは、みんなで分けて食べると、一層美味しくなるんだ。」アルベルタが殿下の横で、声を上げる。


「ありがたき、お言葉、感無量でございます。」男性が平伏しまま声を上げる。

「コタロウ、フジ、スモモ、コゲンタも頭を上げなさい。その体制では、食事が出来ないでしょう。」エルシアが4人に声をかける。「ハッ!」男性が声を上げると、4人が頭を上げる。

『この髭面の親父がコタロウで、この小僧がコゲンタか。』俺は顔を上げた男性と小僧を見て、心の中で呟く。


「それでは、食べましょう。フジ、スモモも取り分けるのを手伝って。」サクラがフジとスモモに声をかける。

「はい!」フジとスモモが声を合わせて、返事をすると囲炉裏の近くに来る。

サクラとフジ、スモモがお鍋の中から、野菜や肉をお椀に取り分けて行く。

『お鍋か…、なんか良いなぁ~、エルシアも嬉しそうだな。』鍋を見つめて、ウキウキしてるエルシアを見つめて、俺は心の中で呟く。


「ところで、この卵はなにに使うんだ?」殿下が目の前に置かれたお椀を見つめて声を上げる。

「それはですね、その卵をといて、鍋からとった食材を、付けて食べるんですよ。」フレヤが殿下に説明をする。

「フレヤ、これは、どう使うのだ?」アルベルタが箸を持って、斜め隣のフレヤに質問をする。


「アルベルタ様、手をお貸しください。良いですか、1本はこのようにペンを持つようにして、もう1本はここを通して、薬指に載せて、こうするんです。」フレヤがアルベルタに箸の持ち方を教えると、横で殿下がそれを興味深く見つめる。

「それで、このように、人差し指と中指の1本を動かすのです。」フレヤが声をかける。

「こ、こうか、フレヤ!」アルベルタが小さな手で箸を動かす。


「はい、アルベルタ様、お上手でございます。」フレヤが笑顔でアルベルタに声をかけると、アルベルタは満面の笑みを見せる。

『あぁ、箸の持ち方か、フレヤ上手だな教えるの。』俺はフレヤを見つめて、心の中で呟く。

「フ、フレヤ、こ、こうか?」殿下が声を上げて、ぎこちなく箸を動かす。

「は、はい、あっておりますが、そんなに力を入れなくても、大丈夫でございます。」フレヤが答える。


『湯気が立って、美味しそうだ~』みんなの前に大きめのお椀に取り分けられた、お鍋の具材が置かれていく。

「はい、レーニャちゃんのは、これよ。」サクラが声をかけて、俺の前に小さく切られた白いお肉が入ったお椀を置く。

『おぉ~肉だぁ~』俺はお椀の中を見つめて、心の中で呟く。


「それでは、殿下お願いします。」エルシアが声をかけると、殿下が虚を疲れた表情をする。

「うん、わかった。」殿下が溜息を漏らして、声を上げる。

『なんだ、殿下のいただきますの挨拶か?』俺は殿下を見つめて、心の中で呟く。


「今日も我らに生きる糧を与えてくれた、全ての生命たちへ、またその生命たちを育んだ火、水、土、風の4つのエレメントに感謝を捧げる。それから、モルゲンレーテ帝国、現第1皇子として、我が帝国を支える全ての民に、感謝と祝福があることを願う。」殿下が目を閉じ両手を胸の前で組んで声を上げる。

その場の全員が目を閉じて、両手を胸の前で組んでいる。

俺もお椀の前で、腰を下ろして目を閉じる。


「いただきます。」殿下が声を上げる。

「いただきます。」全員が声を揃えて、殿下の後に続いて声を上げる。

『いただきまーす!』俺も「ニャー!」と声を上げると、お椀の中の肉にかぶりつく。


『ん?』俺が視線を感じて、お椀から顔を上げると、フジとスモモが両手を前に組んだまま、驚いた表情で俺を見つめていた。

「どうしたんだ?2人とも、呆けた顔をして。」コタロウがフジとスモモに声をかける。

「あんた、あの子、今いただきますしたのよ…」フジが俺を指して、コタロウに答える。


「はぁ?寝ぼけてんのか、お前…」コタロウが困った表情で、フジに声をかける。

「本当だよ、お父さん。今、殿下がいただきますって、言った後にニャーって鳴いて、食べ始めたんだから。」スモモがコタロウに声をかける。

「お母さんもねぇちゃんも、殿下のご唱和のときになに見てんだよ。」コゲンタが困った表情で声を上げる。


「あっ!も、申し訳ありません。」フジとスモモが後ろに下がって、殿下に向かって平伏する。

「あぁ~、よいよい。それよりも、驚いたろう!アハハハ、レーニャのいただきますを、私も最初に見たときは驚いたぞ~」殿下が嬉しそうに笑いながら声を上げる。


「えっ!」コタロウとコゲンタが驚いた表情で、殿下を見た後、俺を見つめる。


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