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気が付いたら猫でした…  作者: 小根畑 昌平
第5章 5日目
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37_藁葺屋根の1軒家


「あら?レーニャ、起きたの?」フレヤが俺を覗き込んで、声をかける。

『スズ?…、あれ?』俺はフレヤの膝の上に仰向けで、横になっていて、目をパチパチとさせる。

「どうしたんだ、レーニャ?」フレヤが俺の頭を撫でて、声をかける。

『なんか、夢見てたような…、あれ?、スズ…』俺は頭を撫でられながら、少し胸の中が苦しいような感じになる。


『まぁ、いいか、いつの間にか寝てたんだ。』俺はフレヤの膝の上に立ち上がると、伸びをして大きなあくびをする。

「しかし、よく眠るものだな~」殿下の声がして、俺が見つめると殿下が俺を見つめていた。

『あっ、アルベルタも寝てる。』殿下の膝に頭を載せて、アルベルタがスヤスヤと眠っている。


「眠る子で、猫ですから、レーニャはいっぱい寝ます。」フレヤが俺の頭を撫でて、声を上げる。

「なるほど、眠る子で猫か。そうしたら、アルベルタも今は猫だな。」殿下がアルベルタの頭を優しく撫でる。

『あっ!外は真っ暗だ!』俺は馬車の窓から、外を見つめて心の中で呟く。


「ガコン!」と振動が伝わって、馬車が停止したようだ。

『ここは、どこだ?』俺はフレヤの膝から降りて、馬車の窓に前足を載せて外を見る。

『あっ!家がある。』窓の外には、小さな藁葺屋根の1軒家がほんのり明かりを灯していた。


「殿下、到着したようです。」エルシアが殿下に声をかける。

「そうか。アルベルタ、起きなさい。」殿下が優しく眠っているアルベルタの体を起こす。

「ん、う~ん。」アルベルタが寝ぼけた感じで、目を開ける。


『アルベルタ~!』俺は馬車の窓から、離れてフレヤの傍に行くと「ニャ~!」と声をかける。

「あっ!レーニャ~」アルベルタが俺を見つめて、嬉しそうに声を上げる。

「殿下、アルベルタ様、エルシア様、それでは馬車を降りましょう。」フレヤは俺を抱きあげると、馬車の扉を開けて外に出る。


馬車を降りたフレヤが、ゆっくりと辺りを見渡す。

『フレヤ、なんかあるのか?』俺はフレヤに「ニャ?」と声をかける。

「レーニャ、ここは山の中なんだから、おとなしくしていてね。」フレヤが腕の中の俺に声をかける。

『了解で~す!』俺はフレヤに「ニャ~!」と答えて、周りを見ると木が生い茂っていた。


フレヤが開けた馬車の扉から、エルシア、殿下、アルベルタの順で下りてきた。

「エルシア、ここが今日泊るところか?」殿下がエルシアに質問をする。

「はい、先ほどお話ししましたが、ここならシビラキの町のシュリンゲの屋敷に泊まるより、安全でございます。」エルシアが殿下に答える。

『安全?なにが、安全?』俺は藁葺屋根の1軒家を見つめて心の中で呟く。


「これはこれは、エルシア様、お久しぶりでございます。」藁葺屋根の家の扉が開いて、中から女性が出て来て声をかける。

「すまないなフジ、突然押し掛けてしまって、1晩だが世話になる。」エルシアが女性に声をかける。

「いえいえ、とんでもございません。この時期でも山は冷えますので、ささ、殿下とお嬢様も早く中にお入りください。」女性が微笑んで答える。


「殿下、アルベルタ様、中に入りましょう。」エルシアが殿下とアルベルタに声をかけて、藁葺屋根の家に入って行く。

殿下とアルベルタは藁葺屋根の家を、キョロキョロと見ながら入って行く。

「フジ、スモモとコゲンタは?」フレヤが女性に声をかける。


「はい、スモモは中でサクラ様と一緒に、晩御飯の支度をしています。コゲンタはハンゾウさんと主人と一緒に、周辺を見回りに行きました。」女性がフレヤに答える。

「そうか、私も出来ることしないとな。」フレヤが後ろを振り返って、馬車を見つめる。

「フジ、私、あの子たちを、馬車から外してあげるから、レーニャをお願いできる?」フレヤが女性の前に俺を差し出す。


「あら?フレヤおねぇちゃん、この子はどうしたんですか?」女性が俺を見つめて、フレヤに声をかける。

「うん、4日前にエルシア様が、山で独りぼっちだったらしくて、拾ってきたんだ。」フレヤが答える。

「ふ~ん、そうなんですか。子猫ちゃん、良い方に拾われましたね。」女性は俺を見つめると、優しく微笑む。


『はい、とっても良い方に拾われました~』俺は女性に向かって「ニャ~」と声をかける。

「あら、可愛い~、子猫ちゃん。」女性は声を上げて、俺をフレヤから受け取って優しく、胸に抱いた。

「フジ、その子の名前は、レーニャだから。」フレヤが女性に声をかける。


「あら、そうなんですか、可愛いお名前ね、レーニャちゃん。」女性はそう言うと、胸の中の俺の頭を優しく撫でた。

『はーい!レーニャで~す!』俺は女性に「ニャ~!」と答える。

「フフフ、可愛い~、それじゃ、レーニャちゃんも中に入りましょうね。」女性は俺に声をかける。

『この人の名前は、フジって言うのか。』俺はフジに抱かれながら、家の中へ入って行く。


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