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気が付いたら猫でした…  作者: 小根畑 昌平
第5章 5日目

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33_オムレツ


「サクラ、レーニャをテーブルの上に載せる?」丸いテーブルに座ったフレヤが、同じテーブルに座っているサクラに確認する。

「私は、別に構わないけど、ハンゾウは?」サクラが同じテーブルに座っているハンゾウに確認する。

「レーニャちゃんは。不思議と行儀の良い猫ですから、私はテーブルの上でも問題ありません。」ハンゾウが答える。


「それじゃ、決まりね。」フレヤが声を上げると、俺を包んでいた布を外して、俺をテーブルの上に載せる。

「いつものように、おとなしくするのよ。」フレヤが俺に声をかける。

『了解で~す!』俺はフレヤに「ニャ~!」と答える。


『ん?』視線を感じて、隣のテーブルを見つめると、アルベルタが振り向いて俺をジッと見つめていた。

「アルベルタ、お行儀が悪いよ。」殿下がアルベルタに声をかける。

「お父様、私もあっちの席が良い。」アルベルタが殿下に声をかける。

「ご飯を食べてる間だけですよ。また、馬車では一緒にいられますよ。」エルシアが優しくアルベルタに声をかける。


『このお店、お客さん、俺たちしかいないんだけど…、儲かってないのかな?』店の中には丸いテーブルが、いくつかあるがテーブルに座っているのは、エルシアと殿下、アルベルタの席と、隣の俺たちのテーブルにしか人がいない。

「グリュックゼーレ卿、外の2人は食事は良いのか?」殿下が声を上げる。

「大丈夫で、ございます。プロバット卿、一緒に食べたいとか、おっしゃらないでくださいね。」エルシアが殿下に答える。


「身分がバレないように、しなくてはならないのか?」アルベルタが小さな声で、エルシアに質問をする。

「お嬢様、シーでございます。」エルシアが口に人差し指をあてて、アルベルタに小さな声で答える。

アルベルタがエルシアを向いて、口に人差し指をあててコクコクと頷く。


「なんで、ございますか、エルシア様。内緒話ですか?」アネモーネがワゴンを押して、エルシアたちのテーブルに近づいて、声をかける。

「そうね、秘密の話よ。」エルシアが答えると、アネモーネが優しく微笑む。


「さぁ、当店自慢の料理をご用意しましたので、召し上がってください。」アネモーネがエルシア、殿下、アルベルタに声をかけると、ワゴンからお皿をテーブルの上に並べだす。

「なんだ、この大きなオムレツは…」殿下が驚いた声を上げる。

「ホントだ~、大きい~」アルベルタは嬉しそうな声を上げる。


「当店自慢のシュトラウスの卵のオムレツになります。それから、こちらはシュトラウスのフィレ肉を、ローストしたものになります。」アネモーネが料理の説明をする。

「ほぉ~、シュトラウスの卵と肉か…」殿下が料理を見つめて、声を上げる。

「お父様、シュトラウスとは、途中の牧場にいた鳥のことで、ございますか?」アルベルタが殿下に声をかける。


「あぁ、そうだよ、アルベルタ。そうか、シュトラウスの卵は大きいと聞いたが、このオムレツはいくつ卵を使っているのだ?」殿下はアルベルタに答えた後、アネモーネに質問をする。

「はい、卵1つでございます。」アネモーネが優しく微笑んで答える。

「ほぉ~、卵1つでこの大きさになるのか…」殿下は少年のように目を輝かせる。


アネモーネがワゴンを押して、俺たちのいるテーブルにやってくると、テーブルの上にお皿を並べだす。

「アネモーネの料理は、久しぶりだなぁ~」フレヤがテーブルに並んだ料理を見て、嬉しそうに声を上げる。

『ホントだ、このオムレツでかい…、シュトラウスって、あのダチョウのことか…』俺はテーブルの上のオムレツを見つめて、心の中で呟く。


「はい、可愛いお客さんには、こちらになります。」アネモーネが俺の前に小さな皿を置く。

『なんだ、これ?なんの肉?』小さな皿の上には、小さく切った赤身の肉が山になって載っていた。

「あら?気に入らなかったかしら?」アネモーネが心配そうな声を上げる。


「アネモーネ、大丈夫だよ。レーニャはお行儀が良い猫なんだよ。」フレヤがアネモーネに説明する。

「お行儀の良い猫?」アネモーネがキョトンとした顔でいる。

「まぁ、そこで、見てて。」フレヤがアネモーネに微笑んで声をかける。


「エルシア様、お願いします。」サクラがエルシアに声をかける。

「今日も我らに生きる糧を与えてくれた、全ての生命たちへ、またその生命たちを育んだ火、水、土、風の4つのエレメントに感謝を捧げる。それから、今日この日、殿…、ウウン、皆で一緒に糧を得ることは、幸甚の至りである。」エルシアが目を閉じ両手を胸の前で組んで声を上げる。

みんなも、エルシアと同じように目を閉じて、両手を胸の前で組んで目を閉じている。


俺は小さな皿の前で、前足を揃えて腰を下ろして姿勢を正す。

「いただきます。」エルシアが声を上げると、「いただきます。」と全員が揃えて声を上げる。

『いただきまーす!』俺も「ニャー!」と声を上げると、皿の上のよくわからん肉にかぶりつく。


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