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気が付いたら猫でした…  作者: 小根畑 昌平
第5章 5日目
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19_エルシア、目覚める


「うん、このスープ、ホントに美味しい~」アルベルタが、スープをスプーンで口の中に入れて声を上げる。

「お母様、私、サクラさんの手料理を食べるなんて、幸せでございます。」ローゼがゲルプに声をかける。

「うん、私もよ。」ゲルプも嬉しそうに答える。


『ん?』俺は鼻をクンクンと鳴らす微かな音を聞いて、顔を上げてエルシアを見つめる。

俯いていた、エルシアが目を閉じたまま顔を上げる。

『あっ!エルシアが鼻クンクンさせてる。起きたのかな?』俺はエルシアを見つめる。


「サクラ~」エルシアが目を閉じたまま声を上げる。

『また、寝言か?』俺がエルシアを見つめていると、ボーっとした感じで目を開ける。

「お目覚めですか、エルシア様。」ハンゾウがエルシアに声をかける。

「あぁ、ハンゾウ…」まだ、ボーっとした感じで、エルシアがハンゾウを見つめて声をかける。


「おはよう、エルシア。」アルベルタがエルシアに声をかける。

『おはよう、エルシア~』俺もエルシアに「ニャ~」と声をかける。

「あら、アルベルタ様、レーニャ、おはようございます。」エルシアが挨拶を返すが、目がまだ半開きである。


「それより、なんか良い匂いがしてるんだけど…」エルシアが声を上げる。

「エルシア様もお食べになりますか?」ハンゾウがエルシアに声をかける。

「うん、、お食べになります。」エルシアがハンゾウに答えると、ハンゾウがワゴンの上の鍋から、スープを皿に入れてエルシアの前に置く。


エルシアが皿のスープをスプーンで口の中に入れて、「フゥー!」エルシアが大きく息を吐き出す。

「あぁ、起きたわ。やっぱり、目覚めにはサクラのスープが一番ね。」エルシアが目を開いて、声を上げる。

「あっ!エルシア様、申し訳ありません。先にいただいております。」ゲルプがエルシアに声をかける。

「ん!気にしないで、サクラのスープはどう?」エルシアが、ゲルプとローゼを見つめて声をかける。


「大変おいしゅうございます。」ゲルプが答えると、エルシアが嬉しそうに微笑む。

「そうだ、ハンゾウ。殿下は?」エルシアがハンゾウに質問をする。

「お隣でございます。」ハンゾウが答えて、エルシアが隣を見て驚く。


「あら、やだ。殿下も眠ってしまわれたのね。」エルシアがハンゾウに確認する。

「はい、お2人並んで、スヤスヤとお休みでした。」ハンゾウが答えると、エルシアが顔を赤くする。


「そうだ、ハンゾウ、屋敷の中と、サクラとフレヤは?」エルシアが指令室の中を見渡して、ハンゾウに質問をする。

「はい、屋敷の中はもう片付いているかと思います。サクラ様とフレヤさんは、屋敷の片付けに集まった兵士たちに、給仕をしていらっしゃいます。」ハンゾウがエルシアに答える。


「そうだ、ハンゾウ、殿下とアルベルタ様のお着替えと、あとゲルプとローゼ、それから私の着替えを持って来てくれるように、サクラに伝えてくれる。」エルシアがハンゾウに依頼する。

「かしこまりました。ときに、殿下は起こさなくてよろしいですか?」ハンゾウがエルシアに質問をする。

「もう少し、お休みいただきましょう。」エルシアが優しく答えると、ハンゾウは黙って頷いて指令室を出て行った。


「レーニャはなにを食べているの?」エルシアが俺に声をかける。

『サクラの鶏肉団子~!』俺はエルシアに「ニャ~!」と答える。


「そうだ、エルシア様、少し伺ってもよろしいですか?」ローゼがエルシアに声をかける。

「な~に、ローゼ。」エルシアがローゼに優しく答える。

「この猫ちゃんは、なんでこんなにお行儀が良いのですか?」ローゼがエルシアに質問をする。

「それがね、私にもわからないのよ。不思議な子なのよ。」エルシアが俺を見つめて答える。


「あと、この猫ちゃんなんですけど、ホントに山でお拾いになったんですか?」ローゼがエルシアに質問をする。

「うん、そうよ。この子は家族を失って、独りで山の中に隠れていたの。」エルシアが答える。

「家族を失って…」ローゼが急に目から涙を流す。

『えっ!どうしたの?』俺が驚いて、ローゼを見つめる。


「そうか、ローゼ、あなたも、家族を失っていたわね。」エルシアがローゼに声をかける。

「はい、私が帝都の学校に行ってるときに、家が全焼して、両親も弟たちもみんな死んでしまいました。」ローゼが涙を拭いながら、声を上げる。

「ごめんなさいね、嫌なことを思い出させてしまって。」エルシアがローゼに優しく声をかける。


「いえ、今は優しいお父様とお母様が、いらっしゃいます。」ローゼが微笑んでエルシアに答える。

「ローゼ、忘れてるわよ。素敵な旦那様もでしょう。」エルシアが声をかけると、ローゼの顔が真っ赤になる。


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